攻殻機動隊
知り合いが奇特にも、「攻殻機動隊」のDVD(劇場版2巻、TVアニメ版3巻)を全巻譲ってくれたので、数日前から必死になって通し視聴。最後の方はほとんど早送りですっ飛ばし、やっと今日無事に全巻を見終えた。気分はほとんどサイバースペース遊泳中。まだ頭フラフラしておりますわ。
物語の背景や主要登場人物などについては、こちらの方を参照して頂きたい。核戦争で東京は壊滅し、関西と九州北部がメイン舞台になっているのだが、主要人物が誰も関西弁を喋らないのが不思議。
私はそういう設定よりも何よりも、作中で何度も語られる「ゴースト」の意味がわからなくて弱った。たぶん、アーサー・ケストラーの「機械の中の幽霊」で語られるような、メカニズム要素の総和を超えた属性を意味しているんだろうと想像したが、何となく雰囲気が違う。
もっと実体があり(なにせ、それをコピーする機械が出てきたぐらいで)、なおかつアミニズム的側面をもった、「人間に自我をもたらす何者か」であるらしい。記憶機能と演算能力などの要素だけに還元出来ない、意識の独自性をもたらすもの、ということのようである。ケストラーの「幽霊」は、森羅万象すべてに存在するものだったはずで、かなり違うが、考えてみればたかが漫画映画、そんな定義にこだわる事もないですな。
ケストラーに限らず、台詞とかTV版S.A.C.シリーズの題名などに、哲学的概念が結構動員されているが、それが単なる知的ファッションなのか、ある程度内容も踏まえたものなのかというのは判断しようがない。まさに「外部記憶装置がないとついて行けない」というところ。まして、早送りなもんで。
とにかく、TV版S.A.C.シリーズで著明なように、個別性と類似性、意識と身体性というような対比的主題を重層的に繰り返しているという事は判り、それが話に深みを付けているのは事実。これが単なる戦闘美少女大活躍話だったら、早回しにせよ最後まで見つづけることは、まずなかったでありましょう。
そんなわけで、よほどのマニアか、タダで人から貰うような事でもない限り、自分で全部買うような事をすると、おそらく悔やむ人の方が多いのではないかと思う。好みは人それぞれですけどね。劇場版の一作目ぐらいは、買っても損した気分にはならんかも。




1 月 9th, 2008 at 10:42 PM
早送りで鑑賞とは、何とももったいない。
かなりの秀作だと思うんですが、まぁ、先生(専門家)の鑑賞には耐えなかったということでしょうか。
1 月 9th, 2008 at 11:28 PM
正直なところ、ヲタマンガの知的洞察というものは、どこまで行ってもスタイルの域を出られないものだと。
情報メディア内部での人格融合など、とても新しいことをやっているように見えて、結局手塚が三十年も前に気づいたことをいまさらトレースしているような。
見かけの姿とは裏腹なマトリクスを持つ「何か」なんてのは鉄腕アトムでも繰り返し語られたモチーフかと。
だからエヴァみたいにいざオチを付けようとすると、ハテ俺は結局何を言おうとしていたのかという自家撞着に陥るのでは。
ンなこと考えずに素直にメカニックアクションに没頭するのが正しい観方だと思いますのです。
1 月 10th, 2008 at 12:57 AM
人間の各種器官を機械に置き換えていって、置き換えられるものをすべて置き換えた後でもその人間のものとして残るもの……が「ゴースト」の定義ではないかと。
これはマンガの方での捉え方ですが。
映画は多分に監督の意図が混じっていて、オリジナルからかなりリミックスされています。
1 月 10th, 2008 at 1:05 AM
監督が神山健治さんのやつはストーリーが分かりやすくて好きです。
押井守さんのは小難しくて嫌いです。
1 月 10th, 2008 at 1:14 AM
ビューティフルドリーマー(劇場版うる星やつら)パトレイバーザムービー1、天使の卵 が押井監督のモノではお気に入り。攻殻機動隊は断片的に何度か見たけど面白いって気分が湧かず入り込めない。
TV版うる星やつらでは、ビデオで押井監督作品集なんてのがあった。
1 月 10th, 2008 at 10:22 AM
ワタシは単純にゴースト=魂と置き換えて観てました。
1 月 10th, 2008 at 7:09 PM
そうなると今度は魂の定義が。
ちなみに「鋼鉄の檻に閉じ込められた魂の叫び」がエイトマンの作品テーマだとか。
1 月 11th, 2008 at 9:21 AM
もし、不要になったのなら譲っていただけませんか
1 月 11th, 2008 at 11:14 PM
>もし、不要になったのなら譲っていただけませんか
既に次の譲渡先は決まっております。ご希望には残念ながら応じかねます。
1 月 14th, 2008 at 1:47 AM
勿体無い。小難しくみえるのは押井さんの「迷彩」で、難しいこと考えずに雰囲気を楽しむのが一番楽しめると思うんですが、専門家だとかえって無視できないものなんですね。
大体の部分は知的ファッションという見方で正解だと思います。特にTVシリーズは押井さんがほとんど関わらず若者に任せたのでより娯楽的になってますし。
イノセンスは身体性が一つのテーマになってます。押井さんが年をとって自分の身体に興味を持ち始めたので。しかしこの映画で一番のテーマーは「映像・音声を徹底的に作りこむこと」だったりします。考えると足を取られるという押井映画のお約束を先に知っていれば楽しめたかと思うとやはり勿体無いですねぇ。