引掻くと何故痒みが楽になるのか
ウェイク・フォレスト大学医学部の研究者による最新論文より。
「『痒み』という感覚が、どのような脳活動を示すかという研究は今まであったが、それが引き起こす『引掻く』行為の意味について調べられた事はなかった。本研究は、13例の健康人を対象に、ファンクショナルMRIを使って、下肢を『引掻く』行為が脳活動に及ぼす変化を観察した」。
そんなわけで、グループが13例の健康人被験者をつかって、30秒間下肢を引掻いた時の脳活動変化をfMRIで調べたところ、不快感や嫌悪感を感じる脳部位活動が著明に抑制されることが判明した。
抑制部位は不愉快な知覚体験の嫌悪感に関わる前帯状回、およびその関連記憶に関わる後帯状回であった。引掻き刺激が強いほど、この部位の興奮は弱くなった。
また、引掻き刺激は一方で、特定の脳部位活性を高める事も示された。痛み知覚に関わる二次体性感覚野と、強迫的行動に関わる全前頭野である。研究者は、いったん引掻きはじめると、強迫的に繰り返してしまう理由が、これで説明出来るのではないかと推測している。
研究者たちは、治癒困難な慢性掻痒症の治療薬を開発する際の基準になると、本研究の意義を強調している。<ウェイク・フォレスト大学プレスリリースより>
引掻き行動は痒みを抑制すると言うより、不愉快な感覚と記憶を抑えるわけだから、パニックとか不安発作抑制の行動療法に使えるんではないか、なんて瞬間思ってしまった。もっとも、その機序から言うと、血まみれになるほど引掻いてしまう場合もあるわけだから、ほとんどリストカットと同じかも。
やっぱ、多少気の利いた学術研究が明らかにする事なんぞ、人がその本能に従って古来から開発した自己治療方策には、追いつくのがやっとと言うところですか。<Via>


