お口の中が薬品箱やぁ~「抗生物質を食べる細菌」発見

4月4日に発刊された”Science”最新号記事より。
「バクテリアが栄養源として抗生物質を選ぶ、ということはおよそありそうにはない。しかしながら、ハーバード大学の研究者たちは、抗生物質を貴重な炭素源として栄養にするバクテリアを土壌内から発見し、培養することに成功した。
重要な点は、これらのバクテリアは多くの種類にまたがっていて、いくつかは人間や家畜の病原菌となる種類に近いものも含まれており、当然、極めて強い抗生物質耐性を持っていたということである。
これらのバクテリアが食べる抗生物質は、ペニシリンのように菌類が産生した天然物由来物質に限られるわけではなく、合成抗菌薬であるシプロフロキサシン、レボフロキサシンなども含まれる。
この今まで知られていなかった抗生物質を食べる細菌群は、病原菌が抗生物質耐性を獲得する際の潜在的遺伝子プールとなっている可能性が高い」。<以上”science cite track”メールより引用。解説記事と元レポート抜粋から多少内容追加>
今まで抗生物質耐性菌が出現するのは、遺伝子の変異によって耐性が獲得され、それが伝搬する常識的経路だけだと思われていたが、はじめから抗生物質耐性があるばかりか、他にいくらでも栄養となるものが存在する環境で、あえて抗生物質を好んで食べる細菌群がいたというのは、いささか驚きの研究結果である。
もちろん、昨今の抗生物質濫用がその根本原因である可能性が否定されるものではないが、シプロフロキサシンやレボフロキサンの様な、最近合成された抗菌剤まで食べる菌が、簡単にそこらの土の中から見つかったということの説明には、より大胆な仮説が要求されるように思う。なんか、耐性菌の蔓延を防ぐために安易な抗生物質使用を見直そう、なんてのが少々アホらしくなるような気にもなる、なんて言うと怒られるか。
もっともこちらの記事が言うように、人間が発見する数億年前から地球に存在したペニシリンなどの自然抗生物質と共存してきた細菌達なのだから、人間ごときの浅知恵で合成した物質など、想定内であるのかも知れませんな。自然に対して、もっと謙虚になれと言うことですか。



4 月 8th, 2008 at 8:07 PM
かねてより試験管レベルの実験では薬剤耐性菌が発生する頻度を説明しきれないとの噂はありましたが…
菌類は効率よく遺伝情報を交換できるネットワークを形成しているとか。
もちろんここに何らかの知性が介在するなどという馬鹿げたことを口にする気はありませんが。
何億年もの歴史を持つ菌類のこと、生存を巡る戦いはリアルタイムで繰り広げられているのでしょう。
それというのも医薬品メーカーではその辺を飛び回るハエを苗床にしてこれらの菌が「培養」されるという危惧がありまして。
ハエたちが自覚の無いままこうした遺伝情報をせっせと仲介しているのかも知れません。