ドルフィンセラピー:怪しいデータ・怪しい効果

<Anthrozoos:Sept 2007収載論文抜粋より>イルカ介在療法”Dolphin-Assisted Therapy (DAT)”はある種の疾患や発達障害に対する治療的選択として、次第にポピュラーになりつつある。飼育されたイルカと一緒に泳いだり、触れあう機会を得ることで、治療効果を期待する、というものだ。
しかし、この治療的介入活動の有効性に対して、信頼できる科学的根拠が欠けているという指摘がなされている。本論文では、1998年から8年間の間に発表されたDATの効果に関する主要論文5つを検討した。
そして、それらすべての論文に方法論的欠陥があり、正当性を主張するにはいくつかの困難が内在していることを示した。DATは一次的な気休め以上のものではなく、有効な治療として認められるための証拠を欠くものだと結論付けられる。<Via><元論文全文(PDF)>
この論文が取り上げた治療報告論文は、いずれもコントロール群の作り方に問題があるようだ。偽薬群を作るわけに行かないので、二重盲検はもちろん、一重盲検だって出来ない。そこで、イルカと同程度に興味を持たれるような動物をコントロールに選ぶとか、クロスオーバー法(治療期と対照期を作って順序を入れ替える)を採用するなどの工夫が必要だが、対象研究にはそうした努力が決定的に欠けているらしい。
イルカ療法は絵になりやすいからか、TVの特番などでたまに取り上げられ、「奇跡の療法」などと持ち上げられていることがある。たしかに、様々な困難を抱えて心を開く余裕を失っている人が、フレンドリーなイルカと遊ぶという希有な体験を通じて、仮の安らぎを得るのも悪いことではないとは思う。
しかし、イルカと一緒に過ごすだけで発達障害に伴う症状やら遷延うつ病などが根拠なくコロコロ治れば苦労はないわけで、あくまでQOLを高めるためのペット療法の一種だというのがごく普通のとらえ方だろう。西欧人はイルカ・クジラへ信仰心に近いものを持っているようなので、イルカとのふれあいと言えば、理屈抜きに癒されてしまうのかも知れんが。
日本ドルフィンセラピー協会のサイトを見ると、そこでは「イルカ介在療法」と「イルカ介在活動」を分けて取り扱っているようで、「治療」の方向性をそれほど強く主張してはいないようだ。「イルカとの触れ合いの有用性を調査検討し、社会に還元する」という方針だが、その割りには活動参加費が高いのではないかと思わないでもない。
かわいいイルカと戯れるのは好みの問題で、そうしたい人に機会を提供することは自由だと思うが、どうもその背景に作られた幻想に依拠した、いささか小ずるいソロバン勘定が見え隠れするような気がする、というのは考えすぎですかねぇ。


4 月 17th, 2008 at 11:15 PM
かなり前に日本のこの手の団体だったかグループが、詐欺疑惑かイルカ虐待疑惑で騒がれたような・・・。
かなーり前でほとんど覚えていませんが虐待のほうだったかな???
私なんぞ水に入るだけで心臓やら呼吸やらが苦しくなって泳ぎを楽しむどころではないので、水中関連全部Outですね。
4 月 18th, 2008 at 2:13 AM
ワンニャンで十分だと思いますが。
イルカにも好みがあり、気に入らない相手だと体当たりしたり尾びれでぶっ叩いたりするとか。
イルカのプラシーボ…サメと泳ぐとか。
4 月 20th, 2008 at 5:57 PM
イルカのプラシーボはイルカ型ぬいぐるみとか浮き輪でいいんじゃないでしょうかね。