科学研究者の20%はスマドラを使用
今年の1月、ネーチャー誌は読者に対して中枢神経刺激-認知強化薬の使用について、非公式的調査を開始していた。その結果、科学研究者のかなりの部分がそれらの薬物を使用しており、薬物使用に対する態度も複雑なものである事が明らかになっている。
先々週、米国国立衛生研究所 (NIH)はプロビジルやリタリンなどの中枢神経刺激剤による科学者の「ブレイン・ドーピング」を禁止する準備をしている、というプレス・リリースだと称する記事が、あちらこちらのブログや個人サイトで公表された。
後に、これは一部の研究者の思いつきによるエイプリルフール・ジョークである事が判明した。記事からリンクされていた世界反ブレイン・ドーピング運動のウエブサイトもまたニセモノだった。
しかし、科学研究費を得るためには、ドーピングをしていないという宣誓供述書が必要になるというもっともらしいデマを流した人もいて、中枢神経刺激剤使用に関するネーチャー誌の調査を受けた人の中には、回答を逡巡する傾向が少なからず見られた。
この調査は、昨年12月に同誌に掲載された、バーバラ・サハキァンとシャロン・モレイン-ザミールという神経科学者の投稿に触発されたものだ。彼らは自分たちの同僚を対象にして、注意集中力を強化する薬物の使用の有無を調査した。
投稿記事の中で、著者たちは読者に薬物で脳パワーを強化することをどう考えているかと尋ね、数多いレスポンスを得ていた。ネーチャー誌はそれを受けて、世界60ヶ国の研究者1400人に対し、独自に非公式な調査を始めていた。
同誌は3つの薬剤について調査している。まず、主に注意欠如性多動性障害(ADHD)治療に用いられる(大学キャンパスでは『勉強の友』と呼ばれる)メチルフェニデート(リタリン)、ナルコレプシー治療に使われるが、慢性疲労症候群や時差ボケにも使われるモダフィニル(プロビジル)、それとβ遮断剤(これは不整脈治療に使われるが、ある程度の抗不安作用もあわせもつ)である。
調査対象者が薬物使用歴がない場合、及び医学的理由で処方薬を服用している場合、全般的態度についての単純な質問に止め、認知強化目的で使用している場合には付加的質問が追加された。<Nature4月9日記事からの引用は以上>
その結果をとりまとめると、ネーチャー誌読者≒職業的科学従事者たちは、その年代によって多少の差はあるものの、全体的には20%強の研究者が、医学的必要性からではなく、学問的パフォーマンスの向上を目的にして、これらの薬剤を使用している事が明らかになった。もっとも、リタリンやモダフィニルのような中枢神経刺激薬だけでなく、β遮断薬(プレゼンの際などに「あがり防止」に使うのかな)も調査対象に含まれているので、単にアッパーにする事だけが目的とは言えない。
生データ(PDF)のダウンロードが出来るようになっていたので確認したら、薬剤の62%はリタリンで、モダフィニルは44%、β遮断剤は15%であった(2剤以上併用している人がいるので、和は100%を越える)。また、薬剤の調達先はネットショップが主であった(治療目的も含まれるので、実数は処方箋によるものの方が多い)。
この結果には、「NIHがブレイン・ドーピング規制に乗り出す」という、エイプリル・フール記事を書いた張本人までが驚きを隠していないのだが、寄せられたコメントを見る限り、薬剤の影響への危惧から、こうした使用の制限を唱える意見はむしろ少数で、年少者への制限などを条件にして、使用を肯定する意見の方が多い。
何らかの疾病によって、本来の能力が引き出せないので、少しでも元に戻るために使う、というなら判るんだが、薬剤で絞れるところまで自己の能力を絞り出そうというのは、私にはちょっと理解しがたい態度である。出来なきゃそれまでのものと割り切り、チンタラ、ナアナアでずっとやってきたからなぁ。もちろん、そこまで自分を追い込んで人類に奉仕したい方は、自己責任でいくらでもやれば良いだろうけれど。



4 月 14th, 2008 at 2:09 AM
1400人という人間を選んだ段階で何らかのフィルターがかかっているのでは? ちょっと信じられない話なので。
4 月 14th, 2008 at 4:07 AM
その昔ジャズメンがクスリに溺れたのと似たようなものでしょうか?
それとも、所謂ドリンク剤を飲むようなもの?
年取るといろんなものが枯渇してくる気がするので、解るような気がします。
4 月 14th, 2008 at 6:10 AM
何か「AKIRA」的なニューエイジ臭い今更感が漂うネタですが、
こちとらが「今更」だと思っていても、当然ながらある人々には今更でもなんでもないのだなぁ、
という、足元すくわれたような気分になることが、ネットでひまつぶししてるとしばしばあります。
4 月 14th, 2008 at 8:52 AM
>1400人という人間を選んだ段階で
これはあくまで非公式オンライン調査で、自主申告してきた人の回答を分析したものです。日本からも6件の回答が寄せられています。回答内容までは判りませんが。
対象集団を選んで回答を迫られると、逆に答えにくくなる種類の調査ですな。