バカバカしい物語
もし世界に二つとないユニークな文学作品を読みたければ、これ以上のものはないだろう。シェイクスピア作品の改変や、その実験的パフォーマンスなんかをやっているらしい詩人(多分)、ナイジェル・トムによる、長大長編小説、”The Blah Story(バカバカしい物語)”がそれである。
どこがユニークかというと、全13巻に別れていて、短い巻で728ページ、最長の巻で812ページ、英単語30万語から60万語が詰め込まれている。装丁も違うし、そもそも英語と日本語の情報量はかなり違うので一概に比較は出来ないが、おそらく中山介山の大菩薩峠や、山岡荘八の徳川家康なんか目ではない大長編小説ではないだろうか。その第一巻の出だしはこんなもの。
It was a blah blah blah blah blah for blah blah blah in blah. Blah blah blah blah, blah to blah about blah blah blah. Blah decided blah blah blah blah. Blah blah very blah blah blah blah a blah. Blah blah blah blah. Blah blah blah, blah blah blah blah.
単語はほとんど”Blah”(バカバカしい)ばかり、と言うわけ。一応、3人の登場人物が出てきて、それなりのストーリーがあるらしいんだけど。訳してみようかと思ったが、とても訳せそうにない。アマゾンの説明に寄れば、「ナイジェル・トムは言語とその意味の障壁を破壊し、最上の物語に生気と強度を持ち込んだ。『バカバカしい物語』-それは言葉に想像力を吹き込み、イメージを解き放つ新機軸である」、とのこと。
何と言っても、ほとんど”Blah”という単語ばかりを延々と書き連ねた本にちゃんと装丁し、30ドルから40ドルという価格を付けて売る(8巻は無料とのこと)というのが新機軸であろう。つまり出版という行為も含めてアートパフォーマンスにしているわけ。単にロングテール狙いの新商売かも知れませんがね。
なお、内容だけが読めればいいと言う人向けには、アマゾンから各章のPDFにリンクが張られているので、それを熟読していただきたい。ちょっとリンクミスがあって、初めの方の章は読めないが、まああんまり関係ないでしょう。部分的な内容だけならこの紹介ブログを参照していただきたい。<Via>
なお、「世界に二つとない」などと書いたが、研究論文の分野なら同じような試み(PDF)はすでにあるらしい。こちらはさらに内容不明。印刷見本をそのまま論文として提出したのかも。


