ヒットラーのフィギュア発売される?
英国大衆紙”Daily Mail”4月23日の記事によれば、ウクライナで、アドルフ・ヒットラーのアクションフィギュアの売り出し準備が進行中との事である。
記事は、すでに首都キエフのスーパーマーケットには、ブーツや、鉤十字章のついたトレンチコートセット付き総統の全長40cmフィギュアが備えられている、と伝えている。人形には、ヒットラーの生活史とその死に関するデータも添付され、100英ポンド(二万円強)で売られるとのことだ。
この売り出し決定は、ウライナにおける極右勢力の台頭を踏まえたものだという。外国人排斥主義と極端な民族主義は、ヒットラーの時代と同様、現在のウクライナでも伸長しつつあるのだ。
こうした風潮は、もっぱら過去の悲劇を知らない若い世代を中心に広がっているが、批判勢力はナチスがこの国で何をしたかを忘れてはいない。ナチス占領時代、ウクライナでは150万のユダヤ人を含む300万人が死んでいる。ヒットラーはウクライナをロシアとの緩衝地帯にするため、第三帝国の奴隷が済む国に変えようとした。
ウクライナの法律では、ファシズムを宣伝する活動はすべて禁止されているが、この人形は既にこの夏に発売するための準備が整いつつある。販売責任者によれば、「これはバービー人形みたいなものですよ。子供たちは総統の服を脱がせたり、勲章をつけたり、頭部の取り換えをして遊べるのです。当然、彼と一緒に死んだ彼のサングラスは平和主義者のジョン・レノンと同じタイプなんですよ。もしこのフィギュアの売れ行きが良好なら、大法官コスチュームのヒットラーや、有刺鉄線で囲まれたガス室や火葬所を備えた強制収容所模型などの発売も検討中しています」とのことである。
世の中、いろんな趣味の人がいるからなぁ、と一時は思ったのだが、法的規制の問題もクリアせずに派手に売り出しするのは商売としてリスクが大きすぎるのでは、と疑問を感じてしまう。販売責任者のコメントもなんぼ何でもネタっぽい。そうこうする間、Wikinewsでこの記事のソースはかなり怪しいと記されるにいたる。
このニュースを事実としてほぼ同文で報道した”The Trumpett.com“は、元記事を削除して訂正記事を掲載している。「このフィギュアは、米国や英国のオタク向けショップで少数が売られてはいるが、ウクライナで大量に発売されるという事実はない。ウクライナで300万人が死んだというのも間違いだ。当時、ウクライナはソ連の一部であって、正確な死者を確認することは困難だが、それでも一千万人近くが死んだと推測されている」。
なんぼ脳みそが半分とろけたネオナチであっても、このフィギュアをご神体にして政治活動をすることはあるまいと思われる。これに朝晩「ハイル!」とやってりゃ、その連中にまず脅威なんか存在せんでしょうな。それより、BBC、テレグラフ、メール紙と、大手が揃ってころりと騙されたのが面白い。どこの国でも、既成マスコミがその想像力を失ってしまっている証拠のような気がして、別の意味で暗澹とした気分になるニュースと言えましょうか。

