医者は字がヘタというのは本当か?
医師は字が下手だというのは、よくジョークの題材にされる。実際、これを事実だとする研究論文もいくつか存在している。
この研究の嚆矢となったのは、1976年、メディカル・ジャーナル・オブ・オーストラリアに投稿されたH・ゴールドスミスの論文である。そこでは、多数の医師と非医師の手書き文字を比較する手法がとられた。
著者によれば、「これらの調査で医師の書いた文字が下手くそなのは明らかで、非医師との差は明白であった」という。
一方、これを否定する研究も存在する。1994年、米国インディアナ、ミシガンとバージニアで行われた調査は、内科医の書いた文章と、タイプ打ちされた同じ文章を読む時間を比較するというものだった。
その結果、手書き文を読むのには46%、内容を把握するのには11%しか余計な時間がかからなかった。「医師の書く文字は、言われるほど情けないものではない。医師たちは手書き文章でも充分コミュニケーションが出来る」というのが著者たちの結論である。
しかし、1997年、雑誌「心肺」に投稿された論文では、テキサスの研究者は反対のことを主張する。これは医師から出された投薬指示を看護婦が読めるかどうかの調査を行ったものだが「20%の指示と、78%のサインは読めないか、読むのに多大な努力を要した」というのがその結果。
1998年、ウエールズで行われた調査では、医師と管理部門、それにパラメディカル専門職の手書き文字をコンピュータ解析を用いて比較する手法がとられた。その結果、「医師たちは『出来る限り丁寧に書いてくれ』と要請されていても、なお他の職種よりも読みにくい文字を書いた」。
ただ、この悲惨な結果にも一筋の光明が見られた。というのは「文字が読みにくいのはほぼアルファベットに限られていて、数字は比較的読みやすく、薬剤の量については間違いが起こりにくいのである」。
2001年にスコットランドで行われた調査では、医師と看護師の手書き文字が比較された。その結果、医師はより早く書くが、より読みにくくなるということが明らかになった。単純な事実を発見したためか、著者たちは楽観的な意見を表明している。「読みにくい手書き文字のほとんどは、ごく一部の医師たちに責任がある」、と。<こちらより引用。リンクは当方で追加>
日本でも、医師の字は下手くそで読めないと、一般的に言われているかどうかよく知らない。同僚には達筆の人もいればそれほどでもない人もいて、そう特別だとは思えない。しかし、少なくとも私自身は無茶苦茶字が下手くそである。何しろ、自分で書いたものが読めないということもしばしばあり、時々これではイカンと丁寧に書こうとするのだが、どう工夫しても読みにくいのは同じなのである。
最近では漢字が書けなくなって来たのもあり、ほとんど書字構成失行の見本みたいな走り書きをカルテや処方箋に並べていて、それでもそう文句が出ないところを見ると、医師の字が読みにくいのは仕方がないと思われているのかもしれない。
実際に読み間違えられて事故につながりかけたこともあるので、判りやすく書く努力をするのは当然として、早期の電子カルテ普及を願う次第である。電子カルテは医師の労働強化と一元管理のための陰謀だと主張する人もいるんだが、私みたいな書字能力に問題がある人間には、メガネや車椅子にも等しい必需品だと思えるのですがねぇ。
ところで、上に示した画像は、薬剤師向けのオンライン雑誌”Phamacy Times”に連載されている「この処方箋が読めますか?」から選んだもの。日本で同じような企画があれば、私の書いた処方箋がまず一番目に選ばれるような気がする。


5 月 2nd, 2008 at 10:30 PM
病院勤めの身としてみますと、やっぱり医者には字がきたない人が多い気がします。
うちの大〇先生の書く署名は、「大」の字を構成する3画が互いにくっついていません。最初「六」かと思いました。
5 月 4th, 2008 at 12:33 AM
ソースがないので眉唾ですが。
「字が汚い」というのは頭が良い、という事だそうです。
かなり幼少の頃から脳で文字認識ができているけれども、書く技術が
伴っていない、ということで。その場合、第二国語の文字はキレイだ
そうですが。
5 月 4th, 2008 at 9:16 PM
お医者さんのどのぐらいが、読みづらい字を書く方々なのか、実際には知りませんけど。
もしもけっこう多いのだとしたら、それは、読みづらい字を書いても、何とか読み解こうとしてくださる周囲の方々の存在あればこそ、なのではないでしょうか。
ちなみに、私ごときが書いた文字は、読みにくければ、無視されるだけです。
5 月 7th, 2008 at 4:19 PM
看護婦をしていた母は、「医者は字が下手な人が多い」と言っています。母はそんな医師たちに頼まれて、診断書の代筆をしていたそうです。
わたしの経験では、東大出の医学以外を専門とする大学教授にも字が下手な人が多いように思えます。
字が下手な人ほど頭が良いかどうかは不明ですが、少なくとも彼らは、事務員として就職を有利にするためにペン字を勉強しようとは思わなかった人々であろうとは思います。
5 月 9th, 2008 at 10:52 PM
私の友人に,驚異的な悪筆が居ますが,彼らの字は「左足で書いた文字」と呼ばれておりました。汚い字をシミュレートしようとして気がついたのは,ある友人は手の位置を固定したまま,親指と人差し指だけを器用に?動かして字を書いていました。少年期に字を書くことを独学で覚えた結果でした。
昔の子供は,まともな字を書く前に,縦横斜め線,徹底的に練習させられました。いわゆるpenmanshipですね。
そういうプロセス無しで,字の書き方をほとんど独学で学んで,途中で綺麗に書こうというモチベーションを必要とする機会がなければ,かなり,悪筆になる確率が高いのでは。