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白癬症の謎

2009年6月22日 at 10:49 pm in 医学・科学一般, 日常・随想 | 5 コメント »

白癬症、いわゆる水虫というものと付き合い始めて、何年経つだろう。自分では高校の柔道場かプールでうつされたと思っているが、はっきりしない。とにかくそれ以来、悪化と軽快を繰り返しながら幾星霜なのである。

昔は抗真菌剤が一般に使われていなかったので、カビとそれに寄生された皮膚ごと腐食させるフェノールが入った薬を使っていた。商品名タムシチンキといえば、覚えておられる方も多いだろう。やたらにしみるのを我慢して使っていれば、やがて一皮むけてしばらくの間は症状が出ないのである。

そのころでも処方薬には、あまり効かない抗真菌薬はあった。商品名は忘れたが、茶色だったかドドメ色で、靴下や下着が汚れて困ったものだ。そのうちデルマシドというもうちょっと効く薬が発売され、それがエンペシドという薬に入れ替わって行った。(専門医ではないので、この辺の経過には誤解があるかもしれない)

これらの薬は、フェノール含有薬みたいにしみる事も無く、根気よく患部につけておけば、まずそのうち一時的ではあれ治癒が得られた。その後、1日1回つければいいタイプが出てきたが、効き目という点ではあまり変わりはないし、何より直ったと思っていても、そのうちまた元の黙阿弥になるのは同じ。

まあ、それを40年ほど続けてきたわけである。「直ったと思っても、根気よく薬をつけないと仕方がないんだなぁ」で済ませてきたのだが、最近、どうもその考え方には根本的な間違いがあったのではないかと思わせる体験をした。

きっかけは爪白癬である。以前、巻き爪になってしまい、形状記憶合金のバネで減圧を図ったり、爪にヤスリをかけて巻き込み力を弱め、一応の改善を得たのだが、そのとき以来、両第1趾(あしゆび、と読むらしい)が白濁してしまった。いじっているうちに、爪に白癬菌が感染してしまったのだろう。

誰もオヤジの足元なんか注視していないのはわかるのだが、見苦しいのは事実。白癬菌の出撃基地にもなるらしいし、ここはちゃんと治療しようと考えたのである。心臓の薬ならいざ知らず、見苦しいと言う以外、さして自覚症状もない状態に対して、半年薬を飲み続けなんてのはちょっとやってられない。

そこで、イトリゾールという薬を1週間大量に飲み、3週間休んでまた服薬というのを3回繰り替えす、パルス療法というのが楽そうなので、それを採用する。実際に投薬を受けると、あまりの高額さにしばし言葉を失い、かなり後悔したのだけれど。

さて、それを1週間飲んでいるとき、これだけ大量の抗真菌薬を飲むのだから、趾間白癬の方に薬を塗る事も無かろうと考えたのは当然の成り行きである。そういう状態にこの飲み薬をつかうときの、4倍の量を飲むのである。少なくとも服薬している間だけでも、いわゆる水虫は引っ込んでしまうに違いない。

ところが、実際はそうならなかった。外用抗真菌剤を塗るのをやめたら、趾の間には禍々しいびらんがすぐに再発し、かゆみと痛みが同時に来たのである。はて、これはどういうわけであろう。もしかして、飲み薬による薬疹系統のものかと思ったが、外見はどう見ても白癬症そのものである。しかたなく外用薬をつけるが、ビランになっているのでタムシチンキ並にしみる。

これはビランそのものに対処したほうがいいだろうと考え、ステロイド軟膏をつけることにした。大量の抗真菌薬を飲んでいるのだから、局所は炎症への対応をするだけでもよかろうと、いささかルーズな考えをとったわけ。

ところがあいにく、ステロイド軟膏が家にない。あるのは、皮膚カサカサ対策に置いてあったワセリンだけである。ええい、褥瘡の湿潤療法というのがあるぐらいだから、ワセリンでビラン部分を覆って保護するだけでよかろうと、ワセリンをたっぷり塗っておく。

そうしたらなんと、3日ほどでビランは上皮化し、痛みもかゆみも消えたのである。1回目の服薬期は終わったが、今のところ再発の様子もない。このまま次の服薬期までの3週間ほど、このままワセリン塗布で経過を見ようと思っている。

門外漢が見当外れの印象を持っただけで、専門的にははっきりした説明があるのかもしれないが、どうも、水虫=白癬菌感染による皮膚疾患というのは、物事の一面を見ただけの因果付けであるような気がする。確かに白癬菌感染はあるのだろうが、それが単一病因なのではなく、もっと複線的な要因があるのでは。

40年にわたって、抗真菌薬を塗ったり飲んだりして、一時的な改善に留まっていたのも、「根気よく治療しなかったから」ということで納得させられるのだが、本当にそうなんだろうか。明らかな病因とされていることについても、もっと多様な視点からの再検討が必要だろう。

まして病因もわからん病気を相手にしていて、単純な治療方針の押し付けをするだけの芸のなさでは、相手がよくならないのは当たり前のことなんだと自らにひきつけて反省するのだった。もちろん、トンデモに陥らないように、注意する必要はあるけどね。

調べてみれば、よく参考にしているこちらにも、似たような体験報告があったので参考に。

5 Responses to “ 白癬症の謎 ”

  1. # 1   二人目 Says:
    6月 22nd, 2009 at 11:39 PM

    >病因もわからん病気を相手にしていて、単純な治療方針の押し付けをするだけの芸のなさ
    皮膚科にもこういった先生は多いですね・・・。むしろ簡単に治る病気も多い分、躊躇無く押し付けをする傾向にあるように思います。

  2. # 2   kyoskyo Says:
    6月 23rd, 2009 at 2:47 PM

    > イトリゾール・・・あまりの高額さ
     グリセオフルビンという薬があります。建前上は表在性真菌症薬ですが、爪白癬にも効果があり、私もこれで二十年来の爪白癬から解放されました。イトラコナゾール(イトリゾール)の爪白癬の治験はグリセオフルビンを対照に行われ同等の効果・副作用であった、という文書を読んだ記憶があります。また、タ○ダのMRさんが、爪白癬にも効くのだが薬価が安いので新たに薬効を追加しないのです、と言っていたように思います。実際、薬価は桁違いに安いのです。イトリゾールパルスをすでに始めておられるようなので、今から変更する気にもならないかもしれませんが、御参考まで。

  3. # 3   webmaster Says:
    6月 23rd, 2009 at 5:40 PM

    それがねぇ。私はグルセオフルビンでひどい薬疹がでたことがあるのですわ。

    似たような薬だからと、イトリゾールのときもちょっと緊張したぐらいで。

    >薬価が安いので新たに薬効を追加しない

    この手の話は多いですねぇ。妙に政治的な高額値付けをされる薬も目立ちますし。今度出たリスパダールのデポなんぞ、詐偽みたいなもの。

    一方で、よく効くのに変な規制をかけられる薬もある。厚生官僚たちの仕切りが、かなり妙な方向に向かっているようですね。

  4. # 4   西大路 Says:
    6月 23rd, 2009 at 5:50 PM

    厚生官僚たちの仕切りが、かなり妙な方向に向かっているようですね。
    左翼な僕としてはこういう話聞くとどうにか変えていかなければと思ってしまうな。もっと市民本位な行政であってほしいと青臭い理想論が浮かんでくる。

  5. # 5   yutaka Says:
    6月 28th, 2009 at 12:14 AM

    わたしも白癬症には悩まされています。この2,3年前に気づいたことですが、職場で使っていた健康サンダル、あのいぼいぼのついたサンダルですが、それを思い切って捨てて、新しいものに換えてみると、足白癬が改善したことがあります。よくみると、いぼいぼの間にたくさんのほこりがたまっていて、そこにどうやら真菌が繁殖していたようです。それ以来、足白癬が悪化すると靴を買い直すという習慣にしています。何となく因果関係があるように思います。皮膚科のサイトでは、なさそうなのでこの話で盛り上がるのはKYかもしれませんが、自分の中では新発見ではないかと思いながら、誰にもいえないでいたので、ついコメントしてしまいました。

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