アニメ・キャラのエスニシティ
アニメに登場するキャラクターには、当然その民族的出自が設定されている。多くのアニメは日本製であることから、彼らの多くは日本人、もしくは日系である場合が多い。
しかし、それらが海外公開される時には、視聴者はそのキャラクター達の民族性をその意図とは違うものとして受け取っている場合が多いと言う。ノースカロライナ大学でジャーナリズム・マスコミ学を専攻するエイミー・シロン・リューは、その乖離について初めて実証的な研究を行った。
リューは1958年から2005年の間に公開されたアニメの主要登場キャラ3098人の中からランダムに341人を選び、上図のように背景、着衣を抹消した絵柄を作成し、更にランダムに90キャラを選んだセットを1046人の被検者に見せた。そして、そのキャラがアジア系であるか、欧米白人系、その他であるかを判定させた。
その結果、実際のキャラは50%強がアジア系(と言うより日系)であり、欧米系は10%程度であるにもかかわらず、50%以上のキャラは欧米系であると判定された。被検者自身がアジア系である場合、キャラをアジア系と判定する割合は増えたものの、それでもなお欧米系出自であると判定される割合の方が多かった。
リューは、アニメーション作品の多くがディズニーアニメを手本にして作られたことから、そのキャラ作画が欧米風になっていることがこうしたアニメキャラの「エスニック・クレンジング」の原因であろうとしている。
例によって論文の抜粋と、引用解説しか読んでいないので、この調査がどこで行われたかよく判らないのだが、特に断りもないところを見ると、ノースカロライナ大学の学生を対象にして行われたのであろう。私が見たことのある数少ないアニメの登場人物のほとんどは、民族性など強調されていないので、向こうの人間がそれを見て欧米系の白人だと思うのも当然だとおもう。
おそらく、背景や着衣をそのまま見せようが、吹き替え動画で見せようが、単純なアメリカ人のこと、同じ判定をするのではないだろうか。「忍者武芸帳」とか「こまわりくん」なんかからキャラが選ばれていたら違うだろうけれど。私が子供のころ、デイズニーの「白雪姫」やミッキーマウスものを見ても、主人公は日本人だとは思わなかったけどねぇ。
研究者はアニメの特異性のような問題として取り出したかったのだろうけれど、これは単にアメリカ人のエスノセントリズムを示しているだけですな。そこが彼らの強みなんだろうけれど。
私が一番興味を持ったのは、”Animation”なんて学術雑誌が定期刊行されているという点。受け手だからこそ、客観的に研究する余裕があるんでしょうかね。この領域でも、日本の没落が来るのは避けがたいようで。



11月 11th, 2009 at 3:56 PM
どういうわけか(わけはわかるのだが)、Own Race Projectionで検索すると、この論文しか出てこない。一般的なown-race bias とは、自動車を運転していて自分と同じ車にはよく気が付くという程度のことで、アニメ(制作、販売、その他)の何の役にも立たないだろう。この論文の意図はちっともわからん。
11月 12th, 2009 at 3:58 AM
アニメというか漫画ってのは、英雄諶と同じで理想化された主人公が出て来る訳だから、日本人の書くヒーローヒロインに足長ですらっとしていて顔も顎の引き締まった西洋風の人物が描かれるのが当たり前でしょう。以前、あさきゆめみしを見せてもらって、全然日本人の顔じゃないのにびっくりしたものなあ。
というわけで、前提の「日本人キャラ=日本人がモデル」ってところが間違っているとおもうけど。
11月 13th, 2009 at 10:42 AM
日本人アイドル(三次元の!)なんかの顔立ちを、多くの日本人は「日本人的な」ものと見なしていますが、欧米人から見ると、
「欧米的な顔立ちのアジア人」
と映るようです。
日本人が「美形」を描くと欧米的になっちゃうんでしょうか。
「ゲド戦記」アニメ映画化に対して、原作者ル・グィンはこう批判しました。
「アースシーの登場人物のほとんどを有色人種にし、白人を辺境に住むやや後進的な民族にしたのは、言うまでもなく欧米の読者に向けた道徳的な配慮です」
「和製アニメの人物はその多くが――欧米人の目には――「白人」に見えるものですが、日本の観客の受け取り方は違うのだと聞いています。
今回のゲドもわたしが見るよりも色黒に見られるという話でしたので、そう願いたいものだと思います。
登場人物のほとんどがわたしには白人のように見えましたが、少なくとも褐色やベージュなど、微細なバリエーションはありました」
ナウシカとアシタカとゲドはみんな同じ人種に見えるなー、とは思います。
コナンはアジア人かな。
11月 13th, 2009 at 9:07 PM
アニメの登場人物なんて、いずれは目にする人の私が投影されるものでしょうから、こうした統計そのものが不毛なようにも思うのですが。
いつだったかのNHKの番組で、各国留学生の美男美女の条件をリストアップしてもらうと、アメリカの「エラが張っている」というのはなるほどなーとは思いました。アメコミヒーローなんか典型的ですね。バットマンとかマイティーマーキュリーとか。
逆に日本人であるという設定でも物語上の差別化を図るために、髪はあえて黒髪を避けて、濃紺やブラウンに描くものですが。黒髪で姫カットの女の子だと「重要な脇役」のポジションですね。
「科学忍者隊ガッチャマン」だと、アメリカの良い子たちには日本のプロダクションで製作された番組だというのが理解されなかったのは、してやったりというところですが。
要するに、万国共通で良いのです。
というか、海外でのセールスも考慮して、意識的に無国籍化しているものだし。
ゲゲゲの鬼太郎の「サラリーマン山田」なら日本人だと理解してもらえるかも。
11月 15th, 2009 at 1:08 PM
そういえば、この論文の認識・認知の問題とは別なのだが、上記のコメントを読んでいて思い出したことがある。それは、私のある学生が言ったことだ。
「日本のアニメは、登場人物はいつもかわいくてやさしい感じがし幼いが、アメリカの人物は落ち着き払っていてクールで大人だ。例えば、宮崎駿の映画『ハウルの動く城』の主人公ソフィーとディズニー制作の『リトルマーメイド』の主人公のアリエルを比較してみるとわかる。」
日本人は「甘ちゃん」が好きで、アメリカ人は「渋ちゃん」が好きなのだそうだ。因みに、この学生は女子で日本人の血と英系アメリカ人の血が半分。そこで、あなたはどっちが好きと聞いたら、どっちも、と答えた。
11月 15th, 2009 at 7:11 PM
アニメだけでなく、芸能界や現実の世界でも、”sweet”好みと”cool”好みという傾向の差が、米日にはあるような気はしますね。
特に、アメリカ人が好むアジア系女優を見ると、その思いが強くなります。
11月 17th, 2009 at 7:56 PM
どなたもご存知ないようですので。
アニメキャラは白人、それとも日本人?
http://www.youtube.com/watch?v=6FsaReX4ej0
11月 17th, 2009 at 9:49 PM
YouTubeの「アニメキャラは白人、それとも日本人?」面白かったです。ゲームの「スーパーマリオ」はラテン系のキャラクターって感じがするので全世界でヒットしたと言うのをどこかで聞いたことが有りますが、もしかしたら、世界を席巻している日本製アニメのヒーローたちが有色人種じゃ都合が悪いと言う潜在意識が白人の側にあるのかもしれませんね。
因みに個人的にはヨン様もいいけど、ブラピとかトムクルーズとかハンサムな白人俳優が好きです。
大人っぽく自立した女性が少女たちの中でも人気が有るというアメリカの傾向は、バービー人形の着せ替え衣装を見れば一目瞭然です。対するリカちゃん人形は可愛い感じですし・・・。人気が有る女性のタイプは文化や伝統的価値観の違いを反映しているんでしょうが、最近は「肉食系女子」なんて言葉も有りますし、バービー人形の叶姉妹バージョンだって有るみたいだし、無国籍化でいいんじゃないでしょうか。
キリストやマリア様もそれぞれの国の民族の人種的特徴を備えたり、当時流行の服装になっている例が沢山有りますしね。
11月 17th, 2009 at 9:55 PM
すみません、訂正です。叶姉妹の人形はバービー人形じゃなくってタカラから発売されている人形でした。