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Archive for the ‘医学・科学一般’


未だアスペルガー・ADHDを知らず

スミルノフ先生のブログでこういう記事が紹介されていたので読み、今でもこうした「社会が障害を規定する」というような考え方が生きているんだなぁと感心する。スミルノフ先生の論調は、それに対する「はてブ」コメントに、フーコーやら中井久夫についての言及がやたらに多い事への感想に移るのだが、全くその思いには同意するしかない。

ホント、疾患の社会性なんてテーマで中井やフーコーを出してくるってどんな連中なんだよ。お前らみんな人文社会系の研究者か、と言いたくなる。私も短い間医学部学生を教えていたことがあるが、そこそこの偏差値が要求される筈の医学生に、社会歴史関係の結構有名な学者の名前やその学説を紹介しても、当惑以外の反応が返ってきたことはない。

しょうがないので、症例として漱石なんかを出すがそれもダメ。大衆文学なら良かろうかと、大量殺人の関連で、横溝正史の「八つ墓村」を例に出してもきょとんとしている。連中には国家試験の問題集を覚えこむ以外の関心はないのである。当然、それが卒業後も続くわけで、医師一般の「教養」というものの平均値は、かなり低いと思ってまず間違いない。

もっともそれがまずいことかと言うとそうでもない訳で、臨床をちゃんとこなして行く上では、つまらん人文社会系耳学問なんぞはかえって邪魔になる事の方が多いと言えるかもしれない。ましてや、フーコーや中井久夫の場合、少なくとも精神医学分野においては、人間理解の一助となるよりは、素人系の勘違いを触発する危険の方が高いと思われる。

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有名人の知り合いを装うのはやめたほうがいい

他者に自分を印象づけようとして、有名人とのつながりを強調すると言うのはよく行われる戦術の一つである。著名な人との密接な関係を主張することで、その人の本来の能力や魅力以上のものが相手に伝わるに違いないと人は期待するのだが、果たしてこれは効果的な戦術なのであろうか。

チューリッヒ大学の心理学研究者によると、この「有名人と知り合い」戦術(英語では”name-dropping”と言うそうな)は無効であるばかりでなく、その人本来の好印象の可能性をも損なう悪手であるという。

研究者たちは被験者となる学生たちをランダムに二群にわけ、それぞれに違うバージョンのメールを送った。一つはメールの送り手がテニス選手のロジャー・フェデラーの熱心なファンであると自己紹介するもの。もう一つは自分はフェデラーの親しい友人であると言うものである。それぞれのメールを受け取った被験者たちとの面接の後、その際の第一印象を聞き取り調査し、結果が分析された。

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斜めに寝るのはボケの兆候?

昨年暮れのBMJクリスマス特集論文集の中から、これを紹介するのを忘れていた。原題は”Lying obliquely—a clinical sign of cognitive impairment: cross sectional observational study“(認知障害所見としての斜め寝:横断的観察研究)、ヴュルツブルク大学神経学講座の研究者によるものである。

研究の主眼は、自発的にベッドに横になったとき、ベッドの縦軸との角度が大きくずれて、斜めになって寝てしまう老人患者には、認知障害があるのではないかと言う事を確かめる事にある。

論文著者たちは神経疾患で入院中の60歳以上の患者110例について、寝ている時の姿勢をデジタルカメラで撮影し、体軸の角度を測定した。全く別の研究者によって彼らに三種類の認知能力テスト(MMSE・DemTect・時計描写テスト)が行われ、それぞについて寝ている時の角度との相関を見た。なお、角度測定とテストは同日に行われた。

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CPRには「象のネリーさん」が一番

毎年楽しみにしているBritish Medical Journalのクリスマス論文特集であるが、どうも二~三年前に有料化してからと言うもの、もう一つはじけたものがない。といいつつ、ネタも無いのでひとまず紹介。

幾つかある中で、一番伝統的路線を守っているのが、CPR、いわゆる心肺蘇生術として行われる「心臓マッサージ」をするとき、どんな音楽を流すと効率的か、という内容の論文

130人の非医療従業者ボランティアに、訓練用ダミーを使って心臓マッサージをやってもらい、その際、音楽なし、童謡「象のネリーさん」、ディスコ曲”That’s the way i like it“を流すというのを順不同に行い、その効率をみると言うもの。

心マは一分間に約100回の頻度で、一定の力をかける必要があるが、どの条件が最も効率的だったかというと、「象のネリーさん」だったと言うのが結論。音楽なしと”That’s the way i like it”では、頻度も圧迫力も一定しなかったそうだ。

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家庭争議:冗談関係の疎外形態として

引き出しの奥から、昔々の研究会レポート原稿が出てきた。20年以上前の「ニューアカ」ばやりのころのものだ。本物はもっとくだくだしい考察が書かれているが、ここでは大幅に割愛し、今の考え方も加えて書き直してみた。

症例は例によって、本人が読んでもわからないほど大幅に翻案してある。「個人情報」がどうしたというような、人に説教できる機会を見つけたいだけのつまらんおせっかいには取り合わない。

ある時、40台の女性が私の外来を訪れた。夫が付き添ってきたようであるが、彼女だけが入室してくる。表情は苦悶に歪み、瞼は涙で腫れぼったい。曰く、自分は会社員として20年来働いているが、今朝仕事に行こうとしても体が動かず、玄関で踞ってしまったと。

数年前から精神的変調を自覚していたが、ここ1~2年がとにかく辛い。仕事はいそがしく人員は足らない。同僚は協力してくれず、自分だけに負担がかかってくる。一応、眠れるし食欲もあるので身体だけは持っているが、職場で思わず泣き出したこともある。

そんな風に立て板に水のごとく現状を述べる彼女を見て、私は少々困惑する。正直、仕事の不満を言われてもなぁ。嫌なら辞めればいいのでは?と言うしかないぞ、と思うのだ。

そんな私の思いを見てとったのか、彼女はしばしの沈黙の後、また話を続ける。本当は一番辛いのは家庭内なのだと。夫と実母の関係がうまくいかず、いつも家の中はギスギスしている。間に入ってとりなそうとするだけで胸苦しい思いをしてしまう。

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医学隠語としてのドイツ語

ツイッター経由で「医療者間で使われるドイツ語隠語の造語法に関する考察」(注:PDF)なる論文を知り、一読。今の時代、どこまでドイツ語が医学業界内で隠語として機能しているのか、私は多少疑問であるが、この論文によれば結構生き残っていると言うことである。

看護大学の教官が書いた論文と言うことで、看護婦さんの間で今も使われているものを主に集めたようであるが、確かに医師よりは看護師用語として使われることの方が多いかもしれない。最近は慣れたが、看護婦さんから「Aさんの家族にムンテラお願います」といわれるたび、いまだに少し狼狽えるものなぁ。

私らが研修医だった頃は「ムンテラ」と言う言葉は、今とはちょっと違う意味で使われていた。これはドイツ語の口=Mundと治療法のテラピーを組み合わせ、「口療法⇒言葉で説明して安心させる」というような意味で、それも「適当にその場限りの言葉でごまかす」という素人蔑視のニュアンスが含まれていたものだった。もちろん日本の造語で、ドイツで通じる言葉ではない。

それがいつの間にか、インフォームド・コンセントを得るための正当な説明まで、内部的にはムンテラと呼ばれていたりする。もちろん、そんな言葉を使わず「説明」といえばいいと正統的なことを言う人はいるが、日ごろ説明=ムンテラですんでいるので、今更もと戻りしないようだ。

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アニメ・キャラのエスニシティ

anime_characterアニメに登場するキャラクターには、当然その民族的出自が設定されている。多くのアニメは日本製であることから、彼らの多くは日本人、もしくは日系である場合が多い。

しかし、それらが海外公開される時には、視聴者はそのキャラクター達の民族性をその意図とは違うものとして受け取っている場合が多いと言う。ノースカロライナ大学でジャーナリズム・マスコミ学を専攻するエイミー・シロン・リューは、その乖離について初めて実証的な研究を行った。

リューは1958年から2005年の間に公開されたアニメの主要登場キャラ3098人の中からランダムに341人を選び、上図のように背景、着衣を抹消した絵柄を作成し、更にランダムに90キャラを選んだセットを1046人の被検者に見せた。そして、そのキャラがアジア系であるか、欧米白人系、その他であるかを判定させた。

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