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Archive for the ‘医学・科学一般’


医学隠語としてのドイツ語

ツイッター経由で「医療者間で使われるドイツ語隠語の造語法に関する考察」(注:PDF)なる論文を知り、一読。今の時代、どこまでドイツ語が医学業界内で隠語として機能しているのか、私は多少疑問であるが、この論文によれば結構生き残っていると言うことである。

看護大学の教官が書いた論文と言うことで、看護婦さんの間で今も使われているものを主に集めたようであるが、確かに医師よりは看護師用語として使われることの方が多いかもしれない。最近は慣れたが、看護婦さんから「Aさんの家族にムンテラお願います」といわれるたび、いまだに少し狼狽えるものなぁ。

私らが研修医だった頃は「ムンテラ」と言う言葉は、今とはちょっと違う意味で使われていた。これはドイツ語の口=Mundと治療法のテラピーを組み合わせ、「口療法⇒言葉で説明して安心させる」というような意味で、それも「適当にその場限りの言葉でごまかす」という素人蔑視のニュアンスが含まれていたものだった。もちろん日本の造語で、ドイツで通じる言葉ではない。

それがいつの間にか、インフォームド・コンセントを得るための正当な説明まで、内部的にはムンテラと呼ばれていたりする。もちろん、そんな言葉を使わず「説明」といえばいいと正統的なことを言う人はいるが、日ごろ説明=ムンテラですんでいるので、今更もと戻りしないようだ。

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アニメ・キャラのエスニシティ

anime_characterアニメに登場するキャラクターには、当然その民族的出自が設定されている。多くのアニメは日本製であることから、彼らの多くは日本人、もしくは日系である場合が多い。

しかし、それらが海外公開される時には、視聴者はそのキャラクター達の民族性をその意図とは違うものとして受け取っている場合が多いと言う。ノースカロライナ大学でジャーナリズム・マスコミ学を専攻するエイミー・シロン・リューは、その乖離について初めて実証的な研究を行った。

リューは1958年から2005年の間に公開されたアニメの主要登場キャラ3098人の中からランダムに341人を選び、上図のように背景、着衣を抹消した絵柄を作成し、更にランダムに90キャラを選んだセットを1046人の被検者に見せた。そして、そのキャラがアジア系であるか、欧米白人系、その他であるかを判定させた。

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ハダカデバネズミは癌にならない

naked_mole_rat「米国科学アカデミー紀要」の最新号に、”Hypersensitivity to contact inhibition provides a clue to cancer resistance of naked mole-rat.”(ハダカデバネズミの癌抵抗性は接触性細胞抑制の過敏がカギ)という論文が発表されている。

全くの門外漢なので、見当外れの理解をしているのかもしれないが、ざっとその背景も調べてみると、極めて興味を引かれるものだった。まず何よりも「ハダカデバネズミ」というインパクトあふれる名前。なんか『デバ』というのがマズいらしく最近は正式名を『ハダカモグラネズミ』にしたらしい。いずこも同じ言葉狩りですな。

画像検索で調べたら、Fallout3という核戦争後未来社会を舞台にしたゲームにでてくる雑魚キャラのひとつだった。こんなのが巨大化するとヤだね。それはとにかく、この種にはいまだかって、癌だけでなく、腫瘍というものが発見された事が無いのだと言う。そこで、彼らの癌抵抗性の原因を、いろいろな研究者が探っているわけ。

ウィキぺディアで調べたら、この連中はアフリカの一部に生息しているだけだが、「哺乳類では数少ない真社会性の社会構造を持つ」動物であるという。つまり、蟻とか蜂みたいに、女王と限られた数の雄だけが生殖し、他のメンバーは彼らが住む長いトンネルの維持とか、食料調達だけをやるという。それらの個体は生殖能が抑制されているが、そのメカニズムは今のところ不明らしい。

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分裂病者の時間体験

愛読ブログであるKyupin先生の日記に「患者さんの過去の出来事について」という記事がアップされていた。分裂病(ゴメン、私はどうにも「統合失調症」という間抜けな病名に馴染めない)の患者さんが、とんでもなく昔のトリビアルな記憶について、脈絡なく話しだすことがあると指摘しておられる。

確かにそのとおりであるが、それについての考察があるかと期待したが、「単純に考えれば『思考の障害』であろうが、ある種の『認知の障害』と言うこともできる」と言う指摘のみで、さらりとまとめられていた。Kyupin先生のことであるから、これをもっと追求していたら、かなり面白い議論が展開されたのではないかと思った。そこで力不足ながら、私がそれを幾分なりともやってみようと思う。

私がはじめて、分裂病者の体験には時間的な軸に大きな変容があるのではないかと思ったのは、まだ研修医のころだ。初発の患者さんや、慢性期ながらなお活発な異常体験を訴えている人の話を聞き書きしていると、どうにも言語的表現に混乱が生じるのである。ごく単純な言い方をすると、彼らの訴えは「食言」だらけで、聞き直すたびに内容が揺らぐのである。

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腋窩臭に左右差はある/ない?

auxillary_odor<引用>腋窩の臭いの原因といわれる5 alpha-androst-16-en-3-oneの量を、6人の男性被検者で調べたところ、その差は個人によってかなり変動があったものの、利き腕の方から多量に分泌されていることが統計的優位なレベルで示された。

利き腕の腋窩を剃毛し、ポピヨンヨードで消毒したところ、5 alpha-androst-16-en-3-oneの量は劇的に減り、非利き腕の量を下回った。腋窩の皮脂腺活動に左右差は無かったことから、腋窩臭原因物質は皮膚表面で前駆物質から細菌活動によって作られることが示唆された。(論文抜粋参照)

利き手のほうが活動量が多く、汗も出るし皮膚への刺激も多くなり、結果として細菌繁殖が多くなって悪臭物質が作られる、ということなんでしょうかね。抜粋読んだだけなので、想像するしかないが。とにかく、このオーストラリアの研究者による1982年の論文は、腋窩臭には左右差があると主張する唯一のものなんだそうで、Pubmedの関連論文を読んでも、左右差なんか無いというものばかりである。

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講演原稿

本日、ここで皆様がたの前で、「精神疾患にどのように向き合うか」というテーマについてお話させていただける機会を得たことは、まことにもって光栄であります。皆様はこの地域において、精神科ケースワーキングやその関連業種に就いておられると聞いておりますが、はたしてその関心に見合う内容の話が出来るか、少々危惧もいだいております。

私はご覧のとおり、ベテランというのもいささか恥ずかしい窓際精神科医ではございますが、それなりに30年余を精神科領域医療で過ごしてきました。そこでは、皆様には信じられないようなものも見て来ました。オリオン座の近くで燃えた宇宙船、タンホイザーゲートのオーロラ、そんな思い出も時がきたら消えていきます。えっと、何の話でしたっけ。

まず、精神科医療とは何か、というところから話をはじめたいと思います。よく言われることですが、世界には多くの職業がありますが、精神科医というのは二番目に古い職種なのだそうです。当然、一番目は何かという疑問が出る訳ですが……、えーっと、聴衆の皆様は圧倒的に女性が多いということを忘れておりました。申し上げにくいのですが、時間を膨らませる必要からあえて申しますと、これは売春だといわれておるのですね。

一番目も二番目も、あまり道具が要らないサービス業である点が似通っておりまして、正直言えば、身一つあって舌先三寸でどうにでもなるとも言えないことはありません。一番目にはもう少し、具体的なフィジカルワークが必要ですが、我々の場合はフィジカルな活動に出る事はごくまれと言えましょう。どんなものかというと、関節技とか、状況を見てスタコラ逃げ出す、といったことですね。

もちろん薬というものを我々は使うのですが、一番目の方だって使うことはあると聞いておりますし、そう本質的に違うものではないのかもしれません。えっと、ただ今主催者よりメモを頂まして、医療の話に戻せという御指摘です。本当は、この一番目と二番目の対比をより詳しくたどりつつ、望まれる精神科医療サービスを探るという内容を考えていたのですが、それはまたの機会にいたしましょう。

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引越しは子供を自殺に追い込む?

購読しているMLに、ある精神科医が文化的事象について散文を書いておられるものがあり、正直言ってそう面白くは無いが、精神医学をかなり即物的な商売にしようと努力されている姿に興味を引かれるので、そのまま購読している。一時よく見た「情報商材」関連のビジネスを企画しておられるようで、私も老後の小遣い稼ぎに応用できればいいな、なんて考えるのである。

いつもは題目を読んで、削除するだけなのだが、今回、子供の自殺率と転居回数は相関するという論文の紹介があったので、珍しくその部分を読み込んだ。参照されている論文は”Frequent change of residence and risk of attempted and completed suicide among children and adolescents.”(頻回の引越しと小児期思春期の自殺企図・完遂との関連)デンマークのオルフス大学の研究者によるものである。

私は当然無料の抜粋しか読んでいないが、件の先生はちゃんと中身も読んでおられるようで、そこから得た数字も引用しながら説明したい。デンマークで1978年から1995年の間に生まれた子供全例を対象にその後を縦断的に観察すると、11~17歳の間に自殺企図した例が4160例、自殺完遂は79例あった。(どうも、17歳以降の自殺は考えに入れていないらしい。よく判らんが)(追加:2007年度のデンマークの人口、出生率から、ものすごく大雑把な計算をすると、17年間の出生総数は約100万人になる)

そして、自殺企図例の55.2%は3回以上転居経験があり、逆に10回以上の転居した経験の割合は、対照群では1.9%であるが自殺企図例では7.4%になるという。著者たちによれば、引越し回数が増えれば増えるほど自殺企図例が増え、これは出生時要因や出生順序、生育地、父親との関係性、両親の年齢などを補正してもその傾向は同様であったと言う。

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