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Archive for the ‘医学・科学一般’


ハダカデバネズミは癌にならない

naked_mole_rat「米国科学アカデミー紀要」の最新号に、”Hypersensitivity to contact inhibition provides a clue to cancer resistance of naked mole-rat.”(ハダカデバネズミの癌抵抗性は接触性細胞抑制の過敏がカギ)という論文が発表されている。

全くの門外漢なので、見当外れの理解をしているのかもしれないが、ざっとその背景も調べてみると、極めて興味を引かれるものだった。まず何よりも「ハダカデバネズミ」というインパクトあふれる名前。なんか『デバ』というのがマズいらしく最近は正式名を『ハダカモグラネズミ』にしたらしい。いずこも同じ言葉狩りですな。

画像検索で調べたら、Fallout3という核戦争後未来社会を舞台にしたゲームにでてくる雑魚キャラのひとつだった。こんなのが巨大化するとヤだね。それはとにかく、この種にはいまだかって、癌だけでなく、腫瘍というものが発見された事が無いのだと言う。そこで、彼らの癌抵抗性の原因を、いろいろな研究者が探っているわけ。

ウィキぺディアで調べたら、この連中はアフリカの一部に生息しているだけだが、「哺乳類では数少ない真社会性の社会構造を持つ」動物であるという。つまり、蟻とか蜂みたいに、女王と限られた数の雄だけが生殖し、他のメンバーは彼らが住む長いトンネルの維持とか、食料調達だけをやるという。それらの個体は生殖能が抑制されているが、そのメカニズムは今のところ不明らしい。

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分裂病者の時間体験

愛読ブログであるKyupin先生の日記に「患者さんの過去の出来事について」という記事がアップされていた。分裂病(ゴメン、私はどうにも「統合失調症」という間抜けな病名に馴染めない)の患者さんが、とんでもなく昔のトリビアルな記憶について、脈絡なく話しだすことがあると指摘しておられる。

確かにそのとおりであるが、それについての考察があるかと期待したが、「単純に考えれば『思考の障害』であろうが、ある種の『認知の障害』と言うこともできる」と言う指摘のみで、さらりとまとめられていた。Kyupin先生のことであるから、これをもっと追求していたら、かなり面白い議論が展開されたのではないかと思った。そこで力不足ながら、私がそれを幾分なりともやってみようと思う。

私がはじめて、分裂病者の体験には時間的な軸に大きな変容があるのではないかと思ったのは、まだ研修医のころだ。初発の患者さんや、慢性期ながらなお活発な異常体験を訴えている人の話を聞き書きしていると、どうにも言語的表現に混乱が生じるのである。ごく単純な言い方をすると、彼らの訴えは「食言」だらけで、聞き直すたびに内容が揺らぐのである。

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腋窩臭に左右差はある/ない?

auxillary_odor<引用>腋窩の臭いの原因といわれる5 alpha-androst-16-en-3-oneの量を、6人の男性被検者で調べたところ、その差は個人によってかなり変動があったものの、利き腕の方から多量に分泌されていることが統計的優位なレベルで示された。

利き腕の腋窩を剃毛し、ポピヨンヨードで消毒したところ、5 alpha-androst-16-en-3-oneの量は劇的に減り、非利き腕の量を下回った。腋窩の皮脂腺活動に左右差は無かったことから、腋窩臭原因物質は皮膚表面で前駆物質から細菌活動によって作られることが示唆された。(論文抜粋参照)

利き手のほうが活動量が多く、汗も出るし皮膚への刺激も多くなり、結果として細菌繁殖が多くなって悪臭物質が作られる、ということなんでしょうかね。抜粋読んだだけなので、想像するしかないが。とにかく、このオーストラリアの研究者による1982年の論文は、腋窩臭には左右差があると主張する唯一のものなんだそうで、Pubmedの関連論文を読んでも、左右差なんか無いというものばかりである。

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講演原稿

本日、ここで皆様がたの前で、「精神疾患にどのように向き合うか」というテーマについてお話させていただける機会を得たことは、まことにもって光栄であります。皆様はこの地域において、精神科ケースワーキングやその関連業種に就いておられると聞いておりますが、はたしてその関心に見合う内容の話が出来るか、少々危惧もいだいております。

私はご覧のとおり、ベテランというのもいささか恥ずかしい窓際精神科医ではございますが、それなりに30年余を精神科領域医療で過ごしてきました。そこでは、皆様には信じられないようなものも見て来ました。オリオン座の近くで燃えた宇宙船、タンホイザーゲートのオーロラ、そんな思い出も時がきたら消えていきます。えっと、何の話でしたっけ。

まず、精神科医療とは何か、というところから話をはじめたいと思います。よく言われることですが、世界には多くの職業がありますが、精神科医というのは二番目に古い職種なのだそうです。当然、一番目は何かという疑問が出る訳ですが……、えーっと、聴衆の皆様は圧倒的に女性が多いということを忘れておりました。申し上げにくいのですが、時間を膨らませる必要からあえて申しますと、これは売春だといわれておるのですね。

一番目も二番目も、あまり道具が要らないサービス業である点が似通っておりまして、正直言えば、身一つあって舌先三寸でどうにでもなるとも言えないことはありません。一番目にはもう少し、具体的なフィジカルワークが必要ですが、我々の場合はフィジカルな活動に出る事はごくまれと言えましょう。どんなものかというと、関節技とか、状況を見てスタコラ逃げ出す、といったことですね。

もちろん薬というものを我々は使うのですが、一番目の方だって使うことはあると聞いておりますし、そう本質的に違うものではないのかもしれません。えっと、ただ今主催者よりメモを頂まして、医療の話に戻せという御指摘です。本当は、この一番目と二番目の対比をより詳しくたどりつつ、望まれる精神科医療サービスを探るという内容を考えていたのですが、それはまたの機会にいたしましょう。

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引越しは子供を自殺に追い込む?

購読しているMLに、ある精神科医が文化的事象について散文を書いておられるものがあり、正直言ってそう面白くは無いが、精神医学をかなり即物的な商売にしようと努力されている姿に興味を引かれるので、そのまま購読している。一時よく見た「情報商材」関連のビジネスを企画しておられるようで、私も老後の小遣い稼ぎに応用できればいいな、なんて考えるのである。

いつもは題目を読んで、削除するだけなのだが、今回、子供の自殺率と転居回数は相関するという論文の紹介があったので、珍しくその部分を読み込んだ。参照されている論文は”Frequent change of residence and risk of attempted and completed suicide among children and adolescents.”(頻回の引越しと小児期思春期の自殺企図・完遂との関連)デンマークのオルフス大学の研究者によるものである。

私は当然無料の抜粋しか読んでいないが、件の先生はちゃんと中身も読んでおられるようで、そこから得た数字も引用しながら説明したい。デンマークで1978年から1995年の間に生まれた子供全例を対象にその後を縦断的に観察すると、11~17歳の間に自殺企図した例が4160例、自殺完遂は79例あった。(どうも、17歳以降の自殺は考えに入れていないらしい。よく判らんが)(追加:2007年度のデンマークの人口、出生率から、ものすごく大雑把な計算をすると、17年間の出生総数は約100万人になる)

そして、自殺企図例の55.2%は3回以上転居経験があり、逆に10回以上の転居した経験の割合は、対照群では1.9%であるが自殺企図例では7.4%になるという。著者たちによれば、引越し回数が増えれば増えるほど自殺企図例が増え、これは出生時要因や出生順序、生育地、父親との関係性、両親の年齢などを補正してもその傾向は同様であったと言う。

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精神科医療の「現場」性

最近、ある同業者のブログにハマっている。もっぱら精神科薬物療法についての記述が中心のブログで、なかなか教えられることが多い。多分、何度かこちらのほうにもコメントをいただいた方ではないかなと思ったりするが、全然違うのかもしれない。

「教えられることが多い」と書いたが、その方の薬物療法手順をスタンダードにすべきだと思ってるわけではない。むしろ、「私はこういう使い方はしないなぁ」と感じることの方が多いのである。その方は結構漢方や民間療法も援用されるのだが、私はまず、と言うより絶対使わない。

漢方は「眠くならない風邪薬」として使うことがたまにあるぐらいで、精神症状に使うことはない。ハーブなどの民間療法も、患者さんか使いたいときに見て見ぬふりをする程度で、自分でそれを勧めたりすることはしない。

昔は、例えば「咽頭異物感症」の時に半夏厚朴湯を使うようなこともしてみたが、やはりメリットがそうあるわけでもなく、いつの間にか止めてしまった。身体疾患で肝機能障害に小柴胡湯というようなこともなくなった。何故だと言われても、無意味だと思うから、としか答えようがない。

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筋弛緩剤ようやく薬名変更

「類似した名称の別の薬と取り違えるミスで死亡事故も起きていた筋弛緩(しかん)剤『サクシン』(製造販売・アステラス製薬)の商品名が変更されることになった。取り違えやすい類似名称の薬はほかにも多数報告されているが、厚生労働省によると、ミス防止のため、すでに販売されている薬の商標を変更するのは異例という。

 サクシンは麻酔時に使われる筋弛緩剤で、呼吸停止を起こしやすく、毒薬に指定されている。1955年の販売開始以来、半世紀以上にわたり使われてきた。名称の似た抗炎症剤『サクシゾン」(同・興和)の販売が71年に始まると、医療現場で取り違えが発生し、問題視されていた。

 昨年11月、徳島県鳴門市の健康保険鳴門病院で、サクシゾンと間違えてサクシンを点滴された男性患者が死亡する事故が発覚。厚労省が誤投与防止を全国に通知し、メーカーも医療機関に注意喚起した。しかし、『ミス防止策として不十分』との指摘もあり、より危険度の高いサクシンの商品名を変更するため、アステラス製薬は『スキサメトニウム』と改めて国に申請し、今月承認された。」(讀賣新聞Web版7月25日記事より)

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