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Archive for the ‘医学・科学一般’


斜めに寝るのはボケの兆候?

昨年暮れのBMJクリスマス特集論文集の中から、これを紹介するのを忘れていた。原題は”Lying obliquely—a clinical sign of cognitive impairment: cross sectional observational study“(認知障害所見としての斜め寝:横断的観察研究)、ヴュルツブルク大学神経学講座の研究者によるものである。

研究の主眼は、自発的にベッドに横になったとき、ベッドの縦軸との角度が大きくずれて、斜めになって寝てしまう老人患者には、認知障害があるのではないかと言う事を確かめる事にある。

論文著者たちは神経疾患で入院中の60歳以上の患者110例について、寝ている時の姿勢をデジタルカメラで撮影し、体軸の角度を測定した。全く別の研究者によって彼らに三種類の認知能力テスト(MMSE・DemTect・時計描写テスト)が行われ、それぞについて寝ている時の角度との相関を見た。なお、角度測定とテストは同日に行われた。

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CPRには「象のネリーさん」が一番

毎年楽しみにしているBritish Medical Journalのクリスマス論文特集であるが、どうも二~三年前に有料化してからと言うもの、もう一つはじけたものがない。といいつつ、ネタも無いのでひとまず紹介。

幾つかある中で、一番伝統的路線を守っているのが、CPR、いわゆる心肺蘇生術として行われる「心臓マッサージ」をするとき、どんな音楽を流すと効率的か、という内容の論文

130人の非医療従業者ボランティアに、訓練用ダミーを使って心臓マッサージをやってもらい、その際、音楽なし、童謡「象のネリーさん」、ディスコ曲”That’s the way i like it“を流すというのを順不同に行い、その効率をみると言うもの。

心マは一分間に約100回の頻度で、一定の力をかける必要があるが、どの条件が最も効率的だったかというと、「象のネリーさん」だったと言うのが結論。音楽なしと”That’s the way i like it”では、頻度も圧迫力も一定しなかったそうだ。

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家庭争議:冗談関係の疎外形態として

引き出しの奥から、昔々の研究会レポート原稿が出てきた。20年以上前の「ニューアカ」ばやりのころのものだ。本物はもっとくだくだしい考察が書かれているが、ここでは大幅に割愛し、今の考え方も加えて書き直してみた。

症例は例によって、本人が読んでもわからないほど大幅に翻案してある。「個人情報」がどうしたというような、人に説教できる機会を見つけたいだけのつまらんおせっかいには取り合わない。

ある時、40台の女性が私の外来を訪れた。夫が付き添ってきたようであるが、彼女だけが入室してくる。表情は苦悶に歪み、瞼は涙で腫れぼったい。曰く、自分は会社員として20年来働いているが、今朝仕事に行こうとしても体が動かず、玄関で踞ってしまったと。

数年前から精神的変調を自覚していたが、ここ1~2年がとにかく辛い。仕事はいそがしく人員は足らない。同僚は協力してくれず、自分だけに負担がかかってくる。一応、眠れるし食欲もあるので身体だけは持っているが、職場で思わず泣き出したこともある。

そんな風に立て板に水のごとく現状を述べる彼女を見て、私は少々困惑する。正直、仕事の不満を言われてもなぁ。嫌なら辞めればいいのでは?と言うしかないぞ、と思うのだ。

そんな私の思いを見てとったのか、彼女はしばしの沈黙の後、また話を続ける。本当は一番辛いのは家庭内なのだと。夫と実母の関係がうまくいかず、いつも家の中はギスギスしている。間に入ってとりなそうとするだけで胸苦しい思いをしてしまう。

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医学隠語としてのドイツ語

ツイッター経由で「医療者間で使われるドイツ語隠語の造語法に関する考察」(注:PDF)なる論文を知り、一読。今の時代、どこまでドイツ語が医学業界内で隠語として機能しているのか、私は多少疑問であるが、この論文によれば結構生き残っていると言うことである。

看護大学の教官が書いた論文と言うことで、看護婦さんの間で今も使われているものを主に集めたようであるが、確かに医師よりは看護師用語として使われることの方が多いかもしれない。最近は慣れたが、看護婦さんから「Aさんの家族にムンテラお願います」といわれるたび、いまだに少し狼狽えるものなぁ。

私らが研修医だった頃は「ムンテラ」と言う言葉は、今とはちょっと違う意味で使われていた。これはドイツ語の口=Mundと治療法のテラピーを組み合わせ、「口療法⇒言葉で説明して安心させる」というような意味で、それも「適当にその場限りの言葉でごまかす」という素人蔑視のニュアンスが含まれていたものだった。もちろん日本の造語で、ドイツで通じる言葉ではない。

それがいつの間にか、インフォームド・コンセントを得るための正当な説明まで、内部的にはムンテラと呼ばれていたりする。もちろん、そんな言葉を使わず「説明」といえばいいと正統的なことを言う人はいるが、日ごろ説明=ムンテラですんでいるので、今更もと戻りしないようだ。

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アニメ・キャラのエスニシティ

anime_characterアニメに登場するキャラクターには、当然その民族的出自が設定されている。多くのアニメは日本製であることから、彼らの多くは日本人、もしくは日系である場合が多い。

しかし、それらが海外公開される時には、視聴者はそのキャラクター達の民族性をその意図とは違うものとして受け取っている場合が多いと言う。ノースカロライナ大学でジャーナリズム・マスコミ学を専攻するエイミー・シロン・リューは、その乖離について初めて実証的な研究を行った。

リューは1958年から2005年の間に公開されたアニメの主要登場キャラ3098人の中からランダムに341人を選び、上図のように背景、着衣を抹消した絵柄を作成し、更にランダムに90キャラを選んだセットを1046人の被検者に見せた。そして、そのキャラがアジア系であるか、欧米白人系、その他であるかを判定させた。

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ハダカデバネズミは癌にならない

naked_mole_rat「米国科学アカデミー紀要」の最新号に、”Hypersensitivity to contact inhibition provides a clue to cancer resistance of naked mole-rat.”(ハダカデバネズミの癌抵抗性は接触性細胞抑制の過敏がカギ)という論文が発表されている。

全くの門外漢なので、見当外れの理解をしているのかもしれないが、ざっとその背景も調べてみると、極めて興味を引かれるものだった。まず何よりも「ハダカデバネズミ」というインパクトあふれる名前。なんか『デバ』というのがマズいらしく最近は正式名を『ハダカモグラネズミ』にしたらしい。いずこも同じ言葉狩りですな。

画像検索で調べたら、Fallout3という核戦争後未来社会を舞台にしたゲームにでてくる雑魚キャラのひとつだった。こんなのが巨大化するとヤだね。それはとにかく、この種にはいまだかって、癌だけでなく、腫瘍というものが発見された事が無いのだと言う。そこで、彼らの癌抵抗性の原因を、いろいろな研究者が探っているわけ。

ウィキぺディアで調べたら、この連中はアフリカの一部に生息しているだけだが、「哺乳類では数少ない真社会性の社会構造を持つ」動物であるという。つまり、蟻とか蜂みたいに、女王と限られた数の雄だけが生殖し、他のメンバーは彼らが住む長いトンネルの維持とか、食料調達だけをやるという。それらの個体は生殖能が抑制されているが、そのメカニズムは今のところ不明らしい。

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分裂病者の時間体験

愛読ブログであるKyupin先生の日記に「患者さんの過去の出来事について」という記事がアップされていた。分裂病(ゴメン、私はどうにも「統合失調症」という間抜けな病名に馴染めない)の患者さんが、とんでもなく昔のトリビアルな記憶について、脈絡なく話しだすことがあると指摘しておられる。

確かにそのとおりであるが、それについての考察があるかと期待したが、「単純に考えれば『思考の障害』であろうが、ある種の『認知の障害』と言うこともできる」と言う指摘のみで、さらりとまとめられていた。Kyupin先生のことであるから、これをもっと追求していたら、かなり面白い議論が展開されたのではないかと思った。そこで力不足ながら、私がそれを幾分なりともやってみようと思う。

私がはじめて、分裂病者の体験には時間的な軸に大きな変容があるのではないかと思ったのは、まだ研修医のころだ。初発の患者さんや、慢性期ながらなお活発な異常体験を訴えている人の話を聞き書きしていると、どうにも言語的表現に混乱が生じるのである。ごく単純な言い方をすると、彼らの訴えは「食言」だらけで、聞き直すたびに内容が揺らぐのである。

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