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「死が招く―ツイスト博士シリーズ」 ハヤカワ・ポケット・ミステリ。あの殊能将之氏が愛してやまぬ、フランス本格ミステリ作家、ポール・アルテの日本紹介二作目である。和訳一作目の「第四の扉」を読んだときにも感じたように、ディクスン・カーへのオマージュ作品をなぜかフランス人が書くというけったいな趣向が、なかなかの批評性を発揮しているとは思える。でも、この作品なんかちょっとやりすぎの感もあるほどで、なんだか意図的ほめ殺しを目論んでいるのではとまで感じるほど。
事件そのものは、本格推理ものとして貫壁と言えるほどのつかみではじまる。ロンドン警視庁の刑事が証人となる密室状況で、ミステリ作家が射殺死体として見つかる。その部屋の中には、ディナーの準備がしつらえられ、煮えたぎる鍋に顔と両手を突っ込み、額を打ち抜かれている死体がある。当初自殺と思われたものの、死体の推定死亡時間はその一日前なのである。
犯人はどうやってディナーの準備をして死体を配置し、そこから抜け出したのか。犯罪学者、アラン・ツイスト博士が謎を追う、というわけ。去年の3月ごろ、e-Novelというサイトで、日本人が書いたディクスン・カーのパスティーシュ短編、「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」という密室殺人物の犯人あてクイズと言うのをやっていて、あんまりトリックがバレバレだったので思わず応募したところ、正解ということで実にささやかな賞品をいただいた事があったのだが、まさかあれと同じではあるまいなと思っていたら、基本的にはトリック構成は同じものなのである。勿論、論理的にはそれ以外ありえないので、こいつが犯人ということなら、もうちょっと発端のあたりの書き方考えたらいいのにと、ぶつぶつ文句いいながら読むことになるんだけれど。(こちらの3月14日と、19日の記事を参照されたい)
フランス語で書こうが、日本語で書こうが、なんちゃんってディクスン・カーを目指せば似たような物にしかならないというところなんでしょうかな。小説自体の構成の甘さとか、登場人物たちのご都合主義的な描かれ方なんかに文句をいってもしょうがなく、正直いってこれはこれで半日を楽しく過ごさせてくれたのだけれど、あらゆる分野が次第に衰退する一方の末法の世なんだということを、いまさらながらに確認した物件だった。
私の子供時代、世界というものはどんどんと進歩し、進化し、新しいものが次々に生まれでてくるものだと信じきっていたものだけれど、そんなのまったくの幻想だったんだな、と寂しく冊子を閉じたのでした。いや、これが面白くないといっているのではないですよ。
投稿者 webmaster : 2003年07月24日 22:21
どうもお買い上げ有難うございます。あの手の稀覯本は手に入れ損ねるとまず二度とお目にかかれないとも思われるので、希少価値という意味だけでも購入する価値はあるかと存じます。
このコメントに関するテンプレートをいじっているうちに、アーカイブのほうに保存されなくなってしまい、回復できなくなってしまいました。
今後はコメントoffにして、掲示板のほうに一本化しようと思います。
投稿者 webmaster : 2003年07月27日 17:27
どこで書いたら分からないから、取りあえずこのエントリーに。
ご本買いました(『死体洗いのアルバイト』)。
のっけから「おわーい」お話しで怖がらせられました。
夜中にオシッコに行けなるかもしれない。
でも楽しませていただいてます。
投稿者 余丁町散人 : 2003年07月26日 21:33