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2003年08月20日  子どもの王様 [本とか映画とかTVとか舞台とか]

かの新進ミステリ作家、殊能将之の新作、講談社ミステリーランドなる叢書の第一回配本分である。

250ページほどの掌本で、しかも大きな活字に漢字総ルビ振りという、少年文学風というか、ある種絵本のような仕立てなので、読むのには2時間とかからない。10代初めの少年が、心的外傷をもって引きこもる友人とかかわるなかで経験する、ささやかな冒険譚である。少年の視点そのものから、自分の世界以外への怖れと興味を、うまく物語にしている佳作だと思う。昔の(可能性があったころの)丸山健二をちょっと思い出したりして。

最近の戦隊ものTV番組を、古典に先祖がえりさせたようなドラマを、うまく(という程でもないか)筋だてに生かしているところが面白い。作者からの、昨今のTVドラマ作り批判というべきか、原稿料稼ぎ書き伸ばし作戦といおうか。

主人公の少年の主観的冒険と、現実におこる事件とが必ずしもうまくかみ合っているわけではないけれど、読後もそこそこの満足が得られる一作。この作者は本来、純文系の人なんでしょうね。これで芥川賞は無理なような気がするが、三島賞なら可能な気が。

ところで、日本代表対ナイジェリア戦をみていたら、この作家が愛する「真矢みき」様がでてきて日本国家を歌っていた。直前に「芥川賞は無理」などといいつつ、これは殊能将之を国民的文豪にする為の謀略がはじまっているのでは、なんて感じてしまたのはちょっと考えすぎか。

投稿者 webmaster : 2003年08月20日 22:20