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3日前に「フェラチオは乳癌リスクをへらす」などという冗談記事を紹介したら、掲示板のほうで、精液アレルギーで死亡例が出ているような話とか、パートナーがコンドームなしでセックスする女性はうつ状態になりにくいなどというような報道があることが紹介されていた。ここは関連情報としてちゃんとフォローしておくべきであろうと、大雨の午後、検索を駆使して暇つぶし。
アレルギーのほうは、不妊カップルの治療ルーチンに、ダンナの精液に対する抗体を調べたりするぐらいで、そう不思議でもないような気がする。やはり、「精液の抗うつ効果」のほうが少々インパクトがたかい。
紹介されていたリンクは、女性のための総合ポータルという感じのところ。カナダの新聞記事を紹介したものだが、その元ネタはこちららしい。NY州立大学アルバニー校の心理学教授、ゴードン・ギャラップ氏が、293人の女子学生を対象に行った調査研究を解説したものである。
彼のグループは、調査対象の女子学生に対して、ベックうつ病調査票(BDI)という質問紙調査を行い、抑うつスコアを算定した。そして、彼女たちのパートナーがコンドームを使う頻度(無使用、時々、通常、常に、それと全くセックスしないの5群)に応じて、BDIの抑うつスコアが上がる傾向があることを示した。(63点満点のBDIで、無使用群から順に平均値が、8、10.5、15、11.3。無セックス群は13.5。なお、BDIでは11点以上は軽度の気分障害、17点以上だと治療的関与の必要があると判定する)
また、コンドーム無使用群では頻回のセックスが抑うつスコアを下げる傾向が明らかであったのに、コンドーム使用群では影響がなかったという結果もみられたという。ギャラップ達は、無コンドーム群が経口避妊薬を使っていることの影響や、パートナーとの関係性などの要素も検討したものの、それらではこの結果を説明しきれず、精液そのものの何らかの成分が女性の体の中で、ある種の気分高揚作用を示すのだろうという中間的結論を下している。
彼らはさらに700人を対象にした大規模調査も行っていて、同様の結果を得ているという。なお、私が調べた限りでは、彼らの女子学生を対象にした研究のほうは、昨年6月、"Archives of Sexual Behavior"に公表されているが、その後の拡大調査のほうはまだ論文化されていないようだ。また、この論文は今のところ、あまり他の研究者が参照することもないようで、ギャラップ教授自身のウェブサイトをみても、そちら方面を今後追求していこうとはしておられない様子。
BDIはやたらに主観的な言語表現に偏っている印象があり(そりゃまぁ、精神症状というのは主観的なものだけれど、もう少し身体症状を取り入れるとか、普通の気うつと、症状としての抑うつを区分けする姿勢があってもいいような)、私なんかはこんなものは絶対使わないし、その結果がちょっと違うようなことにそう意味付けしても仕方あるまいと思うが、マスコミとか個人サイトのレベルでは一時かなりウケた研究であった様子だ。
一番解せないのは、精液に抗うつ効果があるとしたら、それの供給タンクである男性側へも当然影響があってしかるべきなのに、そこにはなんら触れていない点。確かに、軽症うつ病が女性に多い印象というのはあり、男性に発症すると逆に治りにくい傾向があるというのも実感する。普通そういうのは、男性が無理を重ねて弱音を吐かないからなどと軽くいわれるのだが、それは実は自家生成抗うつ成分のために発症がすくないので、男性発症例が直りにくいのは、自家精液治療でも改善しない遷延例だからだ、なんていうような大胆な主張が、そのうちされるかもしれない。実際の治療に役立つといいんですがね。
投稿者 webmaster : 2003年10月13日 21:32