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2003年11月25日  世界を変えた100冊の本 [本とか映画とかTVとか舞台とか]

アマゾンの宣伝メールで、表題の本が紹介されていた。マーティン・セイモア=スミス という人が、「歯に衣着せぬ語り口で、古今東西の哲学、思想、宗教、科学を思う存分に論じ」たものだとのこと。マーティン・セイモア=スミス という人にまったく予備知識がなく、検索してみると、かなりの数の文学思想全般への解説書をものしている人だとわかる。イギリスの紀田順一郎氏のような存在なのかもしれない。しかし、当該本を紹介するアマゾンのサイトを見ても、他の著書は邦訳されていないようだ。たしかミステリィ解説者に、何とかセイモア=スミス という人がいたが、身内だろうか。

昔、卒後研修が始まったばかりの頃、「精神科医が読むべき100冊の本」(題名うろ覚え)なんていう、パンフレットというには分厚い解説書を薬屋さんからもらったことがある。確か、精神科医で同時にシャーロッキアンとしても高名な、小林司氏が書いたものだったとおもう。

専門分野に限らず、いろいろな本が紹介してあったのだが、半分以上はその存在もしらないようなものばかりで、いまだにそれは同じである。結局私が読んできた本というのは、業界本や教科書とか、ミステリィとかハウトゥー本以外は、自分の興味に関するかなり狭い分野のものばかりで、一般教養的なものは見事に欠落していたのだと今になって気付く。

まして「世界を変えた100冊の本」である。およそ自分とは関係ないものばかりが選ばれているのだろうと思ったが、さすがに一般常識に属するものも多く、存在だけなら知っている本が大多数を占める。しかし部分的にでも読んだことのある本はそのうちわずかに10冊、手元にはあるが開いたことすらない本があと数冊というていたらくである。

もっともこの人の本の選択には疑問もあり、例えば「毛沢東語録」なんて、あれを本といえますかね。こちらの業界的にはフロイトの「夢判断」と、ユングの「心理学的タイプ」、それとスキナーが組み合わさっているのが面妖。グノーシス派への著作もあったりする人なので、多少神秘がかりのところがあるのかもしれない。グルジェフの本もちゃんと選んでいるし。神秘主義への傾きを、即物主義でバランスとろうとしてるんじゃないのか、と読みもしないで予断をもつのは悪い癖である。

人類学系列が全くなく、その反映なのか構造主義系の著作も全然ないのも面白い。目的意識をもって現代的教養を身につけるという、実際の読書ガイドとして書かれているわけではないのでしょうな。大多数を占める超古典の数々、「ウパニシャッド」やらプラトンの「国家論」やらを、ひけらかし引用以外の目的で読むことに意味があるとは思えない。

とはいえ、原典にあたることなんか金輪際ないような本に関して、鋭い解説がしてあるらしいので、孫引きのひけらかしでも通用する私らのレベルでは、充分役に立つかも知れない。購入しても損はないかもなと、少々迷っているところ。まあ、ひけらかしだけの目的なら、松岡正剛サンのサイトでも読んでりゃ、タダなんだけど。

投稿者 webmaster : 2003年11月25日 23:45