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昨夜、WOWWOWにて視聴。精神疾患で治療中の16歳の少年が、突然あらわれた不気味なウサギの着ぐるみ男に、「今から28日と6時間42分12秒後に世界は滅ぶ」と告げられ、当惑と混乱のなかにその日々をすごしていく、という話である。(参照サイトはこちら)
主人公のドニー・ダーコを演ずる、ジェイク・ギレンホールの演技、とりわけ他人には見えない巨大ウサギを相手に独語しているときの、空虚で不自然な笑みが素晴らしい。引越し美少女とデートしているときに見せる、いかにもアホなティーンエイジャーの無内容で朗らかな笑顔が、ずずずと内面にひきこまれて変容していくところなど、迫真の演技といえる。
教材のG・グリーンの小説を禁書にしようとするくせに、胡散臭い自己啓発セミナーなんぞをカリキュラムにくわえているような、ふざけた学校のシステムへの当然の反抗と、病的観念にとらわれて引き起こす妙な破壊活動が全く同次元で並び立つ、是も非もない精神と行動の変容というものをよく描いた映画だとおもえる。
ついついこだわりたくなるような小ネタがちりばめられていて、観客のほうも主人公と同じように、それらが指し示す意味を引き出そうと、無駄な努力をしてしまいがちなのだが、尻すぼみともいえる映画のつくりの中で、下衆な解釈論的見方は完全に裏切られるのである。これは純粋に「シュトゥルム・ウント・ドランク」の思春期の危機を映像化することをねらった、むしろ古典的な意図のもとに作られたものと考えるほうがよさそうだ。
ドリュー・バリモアが女教師役ででていたり、仲間が謎の解決を求めてハロウィンの日に自転車で走るシーンなどから、どうしても「E・T」を連想してしまうが、ああしたメルヘンには終わらない結末は、それが成功しているか否かはべつにして、ある意味、レアリズムに忠実な作品ということなのだろう。
あえてこの映画のモデルというか、元ネタを挙げるとすれば、それは間違いなく「ドラえもん」であると思える。あのマンガも、思春期前期の内的混乱を、絶対的なパワーとタイムトラベルで乗り切ろうとして、挫折し続ける話である。
投稿者 webmaster : 2003年11月20日 21:10