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2004年02月22日  人の痛みを知るということ [医学・科学関連]

"Nature"の最新更新で、"I feel your pain"と題した記事が掲載されていた。他人の痛みに共感するときには、その痛みを感じている人の脳と同じ部分が活動しているという内容である。

この記事によれば、ロンドン大学(正確には"University College of London"なんだけど、どう訳せばいいものか)の画像神経科学部門のタニア・シンガーらによって行われた研究は、他者の痛みへの共感は、それを感じている人と同様な神経活動を惹き起こすことを示す目的で行われたとのこと。実際は微妙に違うのだけれど。(元論文の概要はこちら

実験ではまず、16人の女性の手に電気ショックをあたえ、その際の脳活動部位をファンクショナルMRIを用いて観察する。次に、女性のパートナーである男性に同様の電気ショックを与える場面で(この時、手に通電される様子だけで、男性の表情は見えないようにされている)、同じ検査をうけてその違いが観察された。

実際に自分が痛みを受ける場合、島前部(大脳の横にある大きなしわの底の部分)と前帯状回皮質部(左右の前頭葉が接しているあたり)、および脳幹、小脳の活動が亢進したが、パートナーへの刺激のときには、島と帯状回の部分だけが活動亢進した。

シンガーらは、実際に痛みを体験する場合、知覚と情動両者におよぶ脳活動の亢進がみられるが、共感による再体験は情動に関わる部分だけの活動亢進であることが実証されたとしている。(自分の痛み体験による脳活動)⊃(誰のものであれ、痛みへの共感によって引き起こされる情動)といえますか。

痛みには純粋知覚的な側面と、情動的な側面があり、人はその情動的側面だけで他者の痛みを再体験するとまとめれば、いまさら言われなくても、その程度のことは自分の場合を考えればわかることなのだが、実際にファンクショナルMRIの画像上で示されると、なにかすごい事のように思えてしまうのがミソ。

それにしても、Natureの記事は最後のところで、「痛みは主観的なものだ」という、シンガーらが実証した事実の半面だけに強引にまとめてしまうというピンボケぶりが少々安易。人の痛みをうかがうことは出来ても、我が事として体験するのは実際には無理なのだ、と受け取っておくほうがよろしいのでは。

投稿者 webmaster : 2004年02月22日 21:59

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