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外来を改装するので、不要なものを整理したいと看護婦さんが言ってくる(私はいまだに『看護師さん』という言い方が出来ない)。以前からまったく使われていないものが入った大きな戸棚があって、邪魔でしょうがないのだという。「なんか、子供のオモチャみたいなのが一杯詰まっているんですよ。捨ててもいいですよね?」
中をのぞいてみれば、ミニチュアの人形とか、動物とか、家とか乗り物の玩具みたいなものが山ほどつまっている。いわゆる箱庭療法の用具であろう。すべて、ほとんど使われた形跡のない、実にきれいな品ばかりである。
この箱庭療法用の道具というのは世界規格があって、まずその箱庭を作る場になる砂を敷いた砂箱というのがあり(大体数十センチ四方である)、そこに人形とか樹木、動物のミニチュア玩具のようなものを並べて心象風景というか、小さな世界を形成するのである。しいて言えば芸術療法というか、ある種の創作療法といえる。そう分類すると気分を害する人もいるので、あくまで箱庭療法だ、と言っておくしかないのだけれど。
これを使う立場には、多少の分派があるらしいのだが、大体はクライアントに自由に箱庭を作らせ、治療者はそれに関して若干の質問や受け取った感じを述べるぐらいで、ほとんどそれに介入することはしない。写真を撮って記録するぐらいである。クライアントのほうは自分の作った小世界を介して、自分の統合を取り戻していく(といいなぁ)というわけ。
正直言うと、かなり「と」の要素の強いユング派の治療戦略の中でも、これは特に「商売」指向が強く、アホみたいなというと悪いのだが、これにつかう木の箱とか玩具類というのは、目の玉が飛び出るような値段がつけられている。木の箱だって、別に匠の手によるいい仕事のもんでもなく、玩具類もグリコのおまけみたいなモノなのである。それなのに、マニアックな分析用の、奇矯なミニチュアもそろえたセットだと、80万円以上するのである。「開運鑑定団」も驚きの価格である。(参考にこちらなどご覧あれ)
私の意見を言えば、こんなものでよくなったと言える様な人は、十分な余裕と時間をもって自分を見つめる機会さえ与えておけば必ずよくなると言い切れる。アホな治療者による強引な介入のために、せっかくの回復チャンスを奪われるということが、このやり方なら比較的起こりにくいので、そのあたりはメリットといえるかもしれない。これを使って、なおかつアホをやる人もいますが。
それにしても、こんなもの誰が買わせたのだろう。数年前まで勤務していたという、マスコミ精神科医をやってるあの人かなぁ。変な神話的形象のミニチュアまであるので、一番高いフル規格版を買ったのであろう。もっとも、アリバイ的にすら使いこなせなかったようではあるが。
いまの心理スタッフに使ってみないかと勧めたが、まったく興味はない様子。どうせ仕事なんかないのだから、空振りでもいいからと、経験のつもりでじっくり症例を追ってみるのもいいのだけれどねぇ。病棟の片隅で関心も向けられなくなっている人に、無駄とは知りつつさまざまなアプローチをするような経験がないと、仕事している振りだけのインチキ専門家で終わるんだけど。
一応、関連大学の心理学教室に寄付を打診してみることにしたが、どうも誰も興味を示しそうにない。哀れな箱庭用具類は、このままではキャラクター類は保育所の玩具に、砂箱のほうは老人病棟で飼っているネコのトイレになってしまいそうである。砂箱だけでも5万円ほどするので、そういう豪勢なトイレが使えるネコは果報者じゃとは思うものの、少々もったいないと思わないでもない。専門家からの譲渡依頼があれば、職権濫用を承知の上で検討するので御連絡のほどを。
投稿者 webmaster : 2004年03月17日 22:47
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箱庭療法セットは、すでに譲渡先が決定してしまいました。引取りを申し入れていただいた方々には、まことに御迷惑おかけしました。
投稿者 Webmaster : 2004年03月21日 19:48
人形欲しいなあ。
ただ、並べてジオラマといっても、2-3日で飽きてしまいそう。
ヤフオクなんかで売ってしまえば以外に高値で売れたりして。
投稿者 yoda : 2004年03月19日 09:15