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「ごめんください、神様」
「またお前か、モーゼ」
「そのとおりで、主よ」
「何時だと思ってるんだ、モーゼ。またコンピュータの調子が悪いのか?」
「なんでそれがお分かりで、主よ」
「私にはすべてがわかるんだ、モーゼ。忘れたのか?」
「へえ、忘れてました」
「用件をいってごらん、モーゼ」
「でも、あなた様にはすべてお分かりなんでしょう?主よ。お忘れで?」
「モーゼ!!」
「お許しを」
「いいから用件を言いなさい、モーゼ」
「その、質問なんですが、主よ。あなた様が私にメールしてこられた例の10の物件なんですが?」
「十戒のことをいっているのかね?モーゼ」
「へい、それで。あれは大事なものなんですかね?」
「『大事なものなんですかね?』とはなんていいぐさかね?モーゼ。大事に決まってるだろ。そうでなければわざわざメールなんかしないよ」
「お許しを、主よ。実は、あれをなくしちゃったんです。犬に食われたとでも言い訳しようかとは思ったんですが、あなた様にはお見通しだろうと……」
「何だね、『なくしちゃった』とは。ちゃんと保存しておかなかったというつもりかね?」
「へい、忘れておりまして」
「常に保存を忘れるでない、モーゼ」
「へい、承知で。前にもそういわれまして、そうしようとは思っていたんですが、忘れたんですな。でも、なくす前に何人かに転送してたんです」
「じゃあ、再転送してもらったんだろう?」
「さすがによく御存知で。それが、戒めなんぞ聞くわけないって野郎が一人おりまして。あの物件の言葉は変えちゃダメなんでしょうか?」
「モーゼ、意味を変えなければかまわないよ」
「その野郎がいうには、あなた様の姿勢が、その、ちょっと厳しすぎるんではないかと。それで呼び方を『10の提案』とか、『差し当たって気に留めてほしい事柄』に変えればどうかと」
「モーゼ、その話は聞かなかったことにしておくよ」
「それは『ダメだ』って意味でございましょうなぁ。それでね、その野郎は私めがスキャムを送ったっていうんですが、何のことでしょう?」
「それは『スパム』だと思うぞ」
「へいへい、そうでした。それで、私はそんなもん食わないぞ、だいたいそんなものをメールで送る方法なんか知らないと返信したんですよ」
「そうしたら向こうはどういったね?」
「御存知でしょうに。奴はあなた様の名をみだりにつかい、なんというかその、疫病を送りつけてきやがったんで。それが例の10の物件が消えた理由ってわけで」
「疫病ではない、ウィルスだよ、モーゼ」
「なんだっていいんですがね、コンピュータってのはちょっと扱いかねますわ。石板のほうに戻していただけませんかね。持ち運んで毎日読むにはちょっと重いが、あれならなくしませんので」
「私たちは新しいやり方を使うんだよ、モーゼ。コンピュータをね」
「そうおっしゃられるんではないかと、ビビってました、主よ」
「モーゼ、困った時にはどうしろと教えたかね?」
「まずこのネズ公をもって、コンピュータを操作しろと」
「それはマウスだ、モーゼ。ネズ公ではない。マウス、マウスだ。それからどうしたのかね」
「それからサポートセンターに電話しまして。あなた様より詳しいだろうとおもいまして、それにあなた様の時間を割いては申し訳ないと。ところで、ノアの箱舟にはこのネズ公は積まれていたんで?」
「マウスだ」
「もう一つお聞きしたいんですが、なんであなた様はこれをカエルと名づけられなかったんですか?」
「私が名づけたのではない。人間が決めたのだ。そうしたければカエルと呼んだってかまわんよ」
「なるほど、そうでしたか。きっと御婦人がアダムにマウスと呼ぶようにいったんでしょうな。たぶん、コンピュータのひとつをリンゴと呼ぶようにしたのも、御婦人でしょうな」
「お休み、モーゼ」
「ちょっと待ってくださいな、主よ。マウスをちゃんと使ったら動き出したみたいで。物件のいくつかが読めるようになりました」
「どの項目だね?」
「どれどれ、『汝、いかなる墓所からも画像を盗むことなかれ』ってのと、『汝、隣人の妻の個人情報を流出させるなかれ』ですな」
「コンピュータのスイッチを切りなさい、モーゼ。別の石板を送ってあげるよ」
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こちらからの引用。訳しているうちにどこが面白いのかわからなくなったが、いまさら別のネタは用意できません。
投稿者 webmaster : 2004年04月11日 22:50
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