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2004年04月23日  ペットと痴呆性疾患 [医学・科学関連]

一昨日、かなり部分的な経験に基く「印象」から、無責任な想像を書き散らしたら、予想外の反応があって少々あわてている。大概の「臨床的知見」と称するものは狭い経験をもっともらしく言い立てているものがほとんどなので、オレはこう思うぞということでかまいはしないのだけれど、文献的な裏づけが形だけでも出来れば説得力が増すかと、仕事もさぼって文献検索の一日である。

結論として、特定のペットへの態度と何らかの疾患への結びつきを示唆するような学説を見つけることは出来なかった。1998年にシドニー大学で行われた「動物、公衆衛生、公共政策シンポジウム」での基調報告が、動物と健康のかかわりという研究に対する総合的レビューとしてよくまとまっていたので、以下の概説はそれを利用させてもらっている。

それによると、高齢者の生活全般に関するクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の問題として、ペットの有用性を調べるような研究はほどほどに存在する。その多くの主張は、ペットと一緒に暮らしている高齢者は、社会とのつながりが緊密で、他の家族メンバーとの関係もよく、そもそも、社会的階層もより高いとする。まあ、当たり前といえば当たり前。

身体疾患に関しても、同様の肯定的結果を掲げるものが多い。心疾患の際、その救命率を調べると、ペットオーナーのほうが高いのだそうだ。精神疾患に関しては、入院患者や施設入所者にたいするペット療法の効果という形での検証が中心になる。これは普通の高齢者施設でのペットの導入がかなり有用であるのと比べ、今ひとつ明確な効果は示せないものが多いようだ。それらの施設で働く人に対しては、はっきりとしたストレス対策となるらしいのだけれど。

繰り返すようだが、これらの研究では「ペット」でひとくくりされていて、その種類についてはあまり区別されていない。どうも犬の場合が多いらしいが。いわゆるコントロール群を作ることを意図したらしい研究で、一般の高齢者施設に観賞魚の水槽を導入した場合と、そのビデオ映像を流す場合との比較というのがあったが、傑作なことに、ビデオ映像のほうが圧倒的な好影響を入所者に残したそうである。観賞魚ってのは、ペットというより、映像として機能しているんですな。

というわけで、「痴呆性疾患の人には猫嫌いが多い」という、私の大胆な決め付けを文献的に支持するものは得られなかった。もちろん、高齢者一般への健康に対するペットの有用性が示される一方で、痴呆性疾患への効果がイマイチはっきりしないということから勘ぐれば、かなり牽強付会とはいえ、ある程度は私の印象も正しい部分があるのかな、とは思える。

あとは個別例について地道にデータを集めるのと、何らかの統計的調査を行う機会をうかがうということだろう。それにしても、うちの病棟の介護猫は最近色気づいてしまって、職務を放棄して外に飛び出してはメス猫追いかけるばかりである。ちゃんと去勢手術受けさせたのにな。患者さんが関心持たないというより、あいつが患者さんに関心持ってないだけかも知れん。

投稿者 webmaster : 2004年04月23日 22:52

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コメント

いつも、読ませてもらってます。

ところでねこの件ですが、思うにねこは「見る」から、嫌な人は嫌なんじゃないかな、と思います。

ねこは、犬などに比べて正面に目がついてますので、ほかの動物に見つめられたときよりも、視線を感じやすい(見られてると思いやすい)のではないでしょうか。

投稿者 すずき。 : 2004年04月24日 03:50