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2004年5月10日  MRIで双極性障害治療? [医学・科学関連]

理化学研究所脳科学総合研究センター研究員の最上氏の日記より。

最近では、ちょっと大きい病院ならおいてあるMRI装置によって行うことの出来る、「エコープラーナー磁気共鳴分光画像法(EP-MRSI) 検査」をうけた双極性障害(躁うつ病といったほうが通りがいいかも)の人たちに、かなりの割合で気分改善が見られたという論文の紹介である。

抜粋を読む限りでは、30例中23例の双極性障害の人に気分改善効果があったとしている。ただし健康な人との比較とか、ランダム化を意識した双極性障害を持っていて偽のEP-MRSI検査を受けた人との比較はとりつつも、双極性障害というのだから躁状態かうつ状態のどちらかであったと思われるのに、その点への言及がないのがちょっと残念。派手な躁状態のときに、MRIみたいなうっとおしい検査を素直に受けてくれるは思えないので、うつ状態だと考えていいんでしょうかね。

いわゆるECT(電気けいれん療法)にかわるものとして注目されている、 rTMS (repetitive transcranial magnetic stimulation) (連続経頭蓋磁気刺激法)とほとんど同じ効果がそれで得られるというのだが、大体、「エコープラーナー磁気共鳴分光画像法(EP-MRSI) 検査」というのがようわからん。何かの原子動態を画像化する方法なんでしょうかね。私なんかは全体の形態をみるT1強調像と、細かな壊死巣を見るためのFLAIRぐらいしかオーダーしないので、そんな検査の名前すらしらなんだし、当然それで回復傾向が得られたというようなラッキーにめぐり合った事もない。

ただですね。長年重症うつの極にあったような人がMRI検査を希望するというような事があれば、それ自体回復サインのひとつだとも思えるので、ホントにMRIによって改善が得られたのかというのには、かなりの懐疑を覚えてしまうのは確か。MRIというのはいうならば強力な磁場で原子の位置を一定の方向にそろえ、それがウニャウニャと元に戻っていくときに出す電磁波の解析から組織内の位置情報を得る装置なのだから、ついでに脳内の化学物質のリセットもやってくれるのではないかと期待させないでもないが。でも、原子と脳内物質分子では全然オーダーが違うけど。

遷延しがちの重症うつ病をみていると、教科書なんかには書いてない奇妙な現象に出会って当惑することがよくある。たとえば、回復期にてんかん発作を起こすようなことは結構見られるが、普通は「抗うつ剤の副作用」で済まされてしまう。ずっと同じ薬を使っていても同じことがあるので、副作用だけで済ませるとはとても思えない。

私はこの現象について、機能を回復しつつあるニューロン群が、「せーの」とばかりに同期した神経インパルス発射してしまい、それが全般化するのではないかという「と」系の仮説を打ち立てている。そうして患者さんにも協力してもらい、不用意な薬物変更や安易な抗てんかん薬加薬を避けて様子を見るようにしているのだが、同じ発作がまた起こることは滅多になく、明らかにそういう事態を経た場合の回復率は高いように感じている。

私の怪しげな経験は別にしても、まだまだ一般的な臨床の場面(ちょっと高度先端系ではあるが)でも新しい発見をする可能性はあるのだと思わせるという点で、件の論文はなかなかに面白い報告であろう。これがより豊かな治療指針につながることを望みたいものだ。

投稿者 webmaster : 2004年5月10日 23:32

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コメント

電磁波が脳機能に影響する…なんだか典型的な「と」の分野のような気が。
すでに北杜夫の世界ですね。

時に鬱症の回復期にある癲癇症状に関する所見ですが、ワタクシ納得してしまいました(大笑)。

投稿者 小狸工房 : 2004年5月11日 22:40

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