一昨日の日記で、「頻回」という言葉を不用意に使ってしまったのだが、これは本来特殊医療業界用語なので、普通の文脈では使わないようにしようと思っていたのだった。それを知ったのはちょっと前に来た医療関係の宣伝用MLで、業界系ウンチク紹介という囲み記事だったのだけれど、30年以上普通の漢語だと思って使っていた私には、ちょっと目からウロコであった。
実際、「頻回」の意味を普通の辞書、例えば手近にあった「広辞苑」「岩波国語辞典」で引いても載っていない。あちこちのオンライン辞書を引いてみると、三省堂のディリー国語辞典を使っているオンライン辞書ではダメ。ただ、gooのオンライン国語辞書は同じ三省堂の「大辞林」だそうで、そこでは意味が引ける(インフォシークでも同じ辞書を使っている)。しかし、その文例はやはり医療業界用例のようである。
Googleで「頻回」を検索すると、889件のページが表示されるが、数例の中国語ページを別にすれば、すべてが医療関係のページであった。一つだけ、「信号待ちでの消灯はやめよう!」というところが出てきて、「頻回な消灯・点灯はバルブの寿命を縮める」という車のヘッドランプの取り扱い説明書内容が説明されているのだが、このサイトもよく見れば、「交通安全と医学」という、病理医によってつくられたものであった。おそらく「何度もつけたり消したりすると……」という記述を、「頻回な消灯・点灯」という医療業界用語風に翻訳したのでは、と想像してしまう。
中国語サイトに出てくるぐらいだから、本来はちゃんとした漢語なのかもしれないが、「頻りに」という副詞がつくのだから、「回」は動詞であるべきであろう。あわせて「頻回に」と副詞として使うのは少々おかしいのである。Googleには戦前の医学博士論文にこの言葉が使われている例がでてくるので、かなり昔から医療業界用語として使われている言葉のようだ。
薬屋さんの宣伝MLで教えられるまで、これが普通の日本語ではないということに気づかなかった自分にも驚くのだが、そこまで昔から一部業界で使われていた言葉なのに、一般化しなかったというのも少々不思議である。やはり、閉鎖的な世間だった、ということなんでしょうね。
投稿者 webmaster : 2004年05月18日 22:47
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