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けさの毎日新聞に、「地域医療の使命」なる署名記事が載っていた。大阪編集制作センターの千葉修平という記者が書いたものである。これは「京都府舞鶴市の市立舞鶴市民病院で内科医10人全員が3月末で一斉に辞職し、新任の副院長らも4月末に辞意を表明、病院機能の一部がまひする事態が続いている」ことによせて書かれたとのこと。そういう事態の原因は「『理念』と『経営』との対立だ」とこの記者は言う。
「さまざまな外来や入院患者に対応する『総合内科』を続けたかった現場医師らの医療理念。得意分野を限定して収益性の高い『専門内科』中心に転換しようとする病院の経営方針。この間の溝が大きくなった」からだというのだ。おかげで病院側は外来を制限し、内科入院患者をすべて転院させたらしい。これもみんな病院が、収益性ばかりを考えた結果だのこと。
おいおい、馬鹿なことをいうのもいい加減にしろよといいたい。どこの世の中で、田舎病院が変に専門化して経営効率があがるというのだ。実際の経営シミュレーションを大雑把にでもやってみるという程度の検証をする誠意など、この記者には全くないらしい。日ごろ、神話化したような理屈で病院叩きばっかりやっているから、理念と経営の対立なんて間抜けなことをいって平気でいられるのだろう。
医療経営において、何がいちばん大事かというと、それは理念を明確にし、それを人々に分かりやすく掲げることである。もちろん、その理念というのは利用者が求めるものに即応しつつ、それを半馬身ほどは超えたものである必要がある。単に「待たさず、すばやく、いうがままに治療してくれる」、というようなものだけではダメなのだ。ハッタリでもいいから、行く末を任せようと思うにたる信頼を得ることが必要である。
舞鶴のような規模の地方都市なら、辞めた内科医師たちが追求していた「総合内科」の方針はまことに現実的なものだと思う。やたらに専門細分化したって、こんな田舎でどれだけ適応例が集まるというのだ。いちばん効率のいい総合病院形態というのは「野戦病院」である、というのは医療業界では常識である。高度専門治療が必要な人は、どんどん後方専門病院にいってもらえばいいのである。
舞鶴市民病院のサイトをみれば、医師辞任の影響で混乱しているのか、もう一つサイト構造が良く分からないが、その設備をみれば別に無茶苦茶専門化したものがあるわけではない。病院当局が専門化を図るために、アホみたいな設備導入したとも思えない。あの程度なら、いわゆる総合内科をやるのにちょうどいいではないか。ライナック(放射線照射装置)はちょっと余計なようにも思うが、結構昔からありそうな物件にみえ、今回のことと関係あるとは思えない。
大体慢性赤字体質というが、大概の自治体病院というのはバブル期に無意味な拡張をやっていて、何より仕事をしない事務方が溢れかえっているのもよくみられ、なんぼ診療で実を上げようと黒字転換などできるわけがないところがほとんどである。病院当局が専門科造設でそれに対処しようとしていたのなら、昔のバブルの夢からまだ醒めていないということに他ならず、辞めた内科医たちの感覚の方がよっぽど正しかったように思う。
私に言わせれば、地の利に恵まれない田舎自治体病院の生き残る道は二つしかない。一つは事務方などの非収益部門の徹底的な人員整理で、経営効率化を図ること。医療收入よりも人件費がすでに上、という病院がゴロゴロあるというのは異常である。もう一つは、高齢化して既得利権にすがるだけの存在になっている、大方の開業医たちの生態圏を乗っ取ることである。特に今後老人の在宅ケアの必要性は格段に増えるので、そこに病院が入り込めないと厳しい。もっとも、手のかかる世話だけを引き受けて実をとる選択もありうる。やる気のある開業医たちは、それなりに個人専門商店化して頑張るだろう。
なんであれ、疾患に対して柔軟な対応を臨機応変にとることが大事で、総合的な視点を持つ医師が増えるのは、経営の観点からしても萬萬歳のはずなのだ。あ、それ専門でないからしらんというような医者が、バランスを欠いた一方的な医療を患者に強いるようなことを「高度医療」と称しているのでは、商売になどならないのはあたりまえなのである。
人員整理といっても、医療従事者はナンボ仕事しない人であっても存在するだけでも收入を生む。医者が多すぎてつぶれた病院というのは聞いたことがない。5人ぐらい入院患者をみていれば、自分の給料ぐらい稼げるのだから。その点、いくら事務方が張り切ろうとも、医師や看護婦さんがいないと医療收入にはならないのである。ただ舞鶴市民病院の場合、今年3月まで内科医が10人もいたとのことで、ちょっと医師配分に問題があったように感じないでもない。サテライト診療所つくるとか、工夫はあったのではないかねぇ。
まあ、詳しい事情を知っているわけでもないので、一般的なことしかいえないが、新聞記者のあまりにつまらない先入観というか、まるっきりものを考えていないクリシェだけの記事で間違った認識を得られることのないようにと長文を書いてみた。新聞記事にツッコミいれると、ちょっと前に身の程しらずの悪口かいた「極東ブログ」みたいな雰囲気になりますな。だいぶ格調はおちるものの。
投稿者 webmaster : 2004年05月21日 20:14
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そういえば、舞鶴というところは昔の軍港だった関係か、小さい街なのにデカい病院がたくさんあるんですよね。そういうところで高度先端系の専門化をはかろうとする経営センスというのは、ちょっと笑ってしまう。
せっかく安い給料でたくさん研修医を雇える状況だったんだから、それをうまく利用していけばいいのに。辞めた側も少々柔軟性がなかったのか。
投稿者 Webmaster : 2004年05月22日 08:21
投稿者 烏賊 : 2004年05月22日 00:03