成年後見制度適用のための鑑定書を二例同時に引き受けてしまい、まあ、締め切り前になればなんとか書けるだろうとタカをくくっていたら、その片一方は締め切り日がとっくに過ぎ、もう一つも今月末であるのに、今日になって気づいてしまう。
言い訳するわけではないが、昨年の10月に裁判所から電話で非公式に依頼を受け、正式な依頼書が届いたのは今月中ごろなのである。こののんびりペースなら、せめて一月ぐらいの余裕があるだろうと勝手に決めていたのがまずかった。
二例とも外来の患者さんで、しかも痴呆性疾患がらみで施設入所している人なので、くわしい情報を知っている人がいつもいっしょに来るとは限らない。鑑定書に要求されるのは現在の判断力と責任能力、そして今後の見通しなので、生活史やら家族構成が詳しくなくても、いいといえばいいのだが、「詳細不明」連発の公式文書というのも情けない。自分なりに事情を把握したうえでないと、本人を守るためという建前とはいえ、その法的権利にかなりの制限を加える根拠になる材料をだすのも気が引ける。
しかもその二例とも、成年後見制度をつかって、なんかメリットあるのかしら、と思うような例なのだ。疾患のために完全な判断力をうしなっているとはいえ、妙な浪費をしてしまうとか、怪しい連中に財産のっとられそうだとかの危険はありそうにもない。ただでさえ疎遠になっている家族が、この制度を使えば本人の死を待つまでもなく、さっさと縁を切れると誤解しているのではないかと思えるふしもある。
上のリンクは法務省による解説で、以前の「禁治産」制度との比較には力が入っているのだが、実際、この制度を適用された人がどのように具体的に保護されるかというのは、あんまりよく分からないのである。司法書士会によるこちらの説明をよむと、「自分たちが後見人になってあげるから大丈夫」という風にしか読めない。なんか、法務関係者のために小粒な新利権を開発しただけではないのかな、なんて思えてしまうのである。
まあ、そういう形で老人たちの貯めた金を流通にまわすのも、景気回復には必要なことなのかもしれない。何となくこの制度には穴があるようには思えるのだが、そこそこの鑑定料という形で分け前が入るとなると、問題点探すのにも腰が入らない。文句いわずに文書書くことにしようか。
さてさて、「出生地は不明であり、生下時、生育時についても詳細は不明である。学歴ははっきりしないが、20才になったころには働いていたらしい。結婚は20代後半とされるが、本人にはその記憶はなく、死別したものと思われる配偶者についての具体的情報もない」、うーん、この調子で続けると「公文書不実記載」に問われそう。
投稿者 webmaster : 2004年05月25日 23:31
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司法書士事務所に勤めている者です。
確かに成年後見制度は、その本人のためだけにあるとは
言い切れない場合があると思います。
老人ホームの費用捻出のため、本人名義の自宅を売却して現金化するなどは、本人のためと言えるでしょうが、
本人とその子が共有する不動産に抵当権を設定するため
(子が借金をするために)なんていう場合もあります。
こうなると、子の都合そのものですよね。
とりあえず、戸籍に“禁治産者”と記載されない
のがメリットでしょうか。
投稿者 midori : 2004年05月26日 22:09