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2004年06月14日  精神鑑定の勘違い [医学・科学関連]

例の佐世保の小学生による殺人事件で、加害者の女児に精神鑑定が行われることになったそうだが、どうもそれを報じるマスコミのいうことがまるで見当外れ。被害者の父親を批判するようなことは言いたくないが、この人は某新聞の記者だったにもかかわらずというか、それゆえにというか、鑑定が真実の解明に役立つことを期待するというような、典型的な勘違いを表明していたりする。

精神鑑定とは、早い話がビョーキかどうかを見極めるだけのものである。事件の真実なんかと、何の関係もないのだ。対象者がある時点で、一人前の責任能力を持っていたかどうか判定(それだってハッキリ判るわけがないのだが)をするだけ。まして刑法上、加害者とされる女児の責任能力が問われないのは初めからわかっているのだから、全く法的に意味のない作業である。これを決定した裁判官は、基本的な法知識がないのではと疑いたくなる。

命令された精神科医のほうは、いい小遣い稼ぎになるから受けるだろうが(たぶん2~3百万は取るだろうね)、病的であるか否かということに絞った、分をわきまえた鑑定をする人なのかかなり気になるところ。バラエティに出てきていい加減なことをいうような精神科医に、心の底で嫉妬しているような人だと、くだらん類推を詰め込んだトンデモ鑑定をしてしまうので、ヘタレ裁判官の責任逃れに利用されてしまったりする。

精神医学というのは、精神疾患の診断と治療のためにある技術学問なのであって、人の心の中を興味本位にのぞきこむことの役になど立たないのである。そんな当たり前のことがいい加減にされるのには、そのあたりであいまいな幻想を振りまくことで下らん商売している連中の策謀もあるのだが、そういうのに手もなくダマされるマスコミや、それに影響されるヘタレ法曹関係者の責任も大きい。当たり前の意見のほうが奇異に思われるというのは、ホント、かなわんよ。

投稿者 webmaster : 2004年06月14日 22:20

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コメント

専門家の方がそれしかありえないというならば反論はありません。
167条を挙げた意図は、条文上限定されていないならば他の規定に反しない範囲で、
責任能力判断以外の鑑定も行いうると法律上は考えられることを示すためです。

再び考えてみると、14歳未満の者に責任能力が認められないのは是非弁別の能力および
それに従って行動する能力が未熟であることが多いことのみならず、仮にその能力があっ
ても人格の可塑性にも鑑みて犯罪を不成立とする趣旨であると考えられています。
つまり、是非弁別能力を有する14歳未満と是非弁別能力を有しない14歳未満がいる
ことを法は想定していると考えられます。

もしこれが犯罪の成立不成立を判断する目的の刑事裁判ならば、14歳未満で責任能力な
しとして精神鑑定の必要はありません。
しかし、少女の処遇を決定するための少年審判では、犯行時に是非弁別能力があったか否
か(心神喪失・心神耗弱であったか否か)は重要な資料となるので、やはり精神鑑定の
必要があると考えられます。

投稿者 satou : 2004年06月17日 07:59

to マツムら:

この例でホントに2~3百万だという確信があるわけではないですが、この程度をいつもツマラン鑑定で取っていた人を現実に知っていた、ということです。

ああいうのは相場があるので、あんまりディスカウントしてしまうと、別の人に迷惑がかかるのはずだから、あの程度の額が一般的なのかな、と思うわけ。

なお、私がやるような民事の鑑定ではせいぜい5~10万です。結構手間がかかるものの、内緒の小遣いになるので、本音は嬉しかったりします。年に2回やるかどうかですが。

投稿者 Webmaster : 2004年06月16日 21:51

to satou:
>精神鑑定は責任能力の有無を知る目的で行われますが、

実際それ以上のものではありえないでしょう。刑訴法167条は一般的規定であって、精神鑑定だけを指していないので、ああいう書き方になるのは当然だと思いますよ。それが何か?という感じですが。

投稿者 Webmaster : 2004年06月16日 21:44

御説拝聴いたしました。
では注視すべきは「何の」データを「何のために」求めるかですね。
兎にも角にもマスコミを通じての断片的な情報からの軽挙妄動は私個人としても慎むべきと存じます。

投稿者 小狸工房 : 2004年06月16日 20:16

2~3百万!
そんなに取るんですか?
下世話な話ですが、そこに一番驚きました。すげー。

投稿者 マツムら : 2004年06月16日 08:33

精神鑑定は責任能力の有無を知る目的で行われますが、
時には他の目的のために行われることもあるのではないでしょうか。
刑事訴訟法の鑑定留置についての条文(167条)では
「心神又は身体についての鑑定」として、目的を責任能力判断に限定していません。

本件の場合は少女の処遇を決定するために少年審判をしているのですから、
その資料として犯行時等の精神状態を知ろうとするのは充分価値があることと思います。

投稿者 satou : 2004年06月16日 07:03

………世間の関心が並々ならないものがあるので、当局としても何らかのポーズは取らなければならないものでして。
ポーズのはずだったその結果に逆に振り回される事態にもなりかねないし。

中世ヨーロッパの魔女裁判に通じるものがあるような気がします。

投稿者 小狸工房 : 2004年06月14日 23:06