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2004年08月20日  へべれけ [都市伝説・デマ・トンデモ]

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掲示板で、「へべれけ」という言葉の語源についての議論があり、「ギリシア語で言う『女神のお酌』に由来するという珍説」が紹介されていた。ギリシャの女神で「ヘベ」といえば、私らの業界でおなじみのあのHebeに違いない。精神分裂病の中でも最も難治性の思春期発症型、Hebephrenic typeのHebeである。ゼウスとヘラの娘で、青春を象徴する女神なのだが、オリンポスの神々の集まりでは、もっぱらネクターという酒のお酌が仕事という、えらく軽い扱いを受けている神様だ(クリックして現れる写真は、両親にお酌するヘベを画いた古代の陶器)。

へぇー、そんなのが「へべれけ」の語源だといわれるのかと、少々複雑な思いである。というのは、私が研修医だった頃、ヘベフレニックタイプというのはある意味、「呪いの刻印」みたいなもので、そのプレッシャーをごまかそうと、「ヤバイまでにへべれけってますよ、あの人は」なんて軽口の符丁を仲間内で使っていたものだったからだ。

詳細を確かめようと「へべれけ 語源」で検索してみれば、驚くことに、語源うんちくを語るサイトがたくさんひっかかり、すべてこのギリシャ語源説を主張しているのだ。別の意見は唯一、「へべれけ=屁々れ気」というものだけであったが、これにはまったく根拠の説明はなく、単なる一発ネタらしい。ギリシャ語説の方は、いくつかの語源辞典でも取り上げられているのだという。もっともらしく"Hebe erryke"=「ヘベのお酌」というギリシャ語そのものがなまって「へべれけ」になった、という説明を添えているところも多かった。

でも、この"Hebe erryke"というのは、どう検索してみても他言語サイトでは確認できなかった。ギリシャ語って発音記号みたいな文字で書くのだし、これは一般アルファベットでの書きなおしだろうから、多少のずれはあるかと、ちょっとづつ変化させたもので調べたのだが、先ほどの日本語サイト以外はまったく出てこない。やけくそで、"hebe serve drink greek"などと、とっかえひっかえして調べてみたが、似たような発音でお酌を表す表現が、他の言語圏にも伝えられている例を発見することはできないのである。日本だけに伝わるギリシャ神話のトリビア派生物なんてのが、ありうるかねぇ。

グーグルでちょこちょこ調べたぐらいでなんともいえるものではないのだが、「へべれけ=ギリシャ語源説」を主張するサイトの文章が妙に画一的で、どうも同じネタ元からの引用を思わせる。そのネタ元というのは、どうもこれ(よみうりTV系のラジオ局がやっているトーク番組のアーカイブ。リアルプレイヤーのストリームで30分近くあるので、ヒマなときだけクリックされたし)ではないかとも思うのだが、単なる推測であって根拠はない。

結局真相はなんだかよくわからないが、都市伝説一般にいえる"Too good to be true"の原則からすれば、懐疑的になるのも致し方のない説であろう。私らの使ってた符丁が一般化した、てなことはないだろうしね。諸説に詳しい方がいれば、ぜひ御教示いただきたいと思う。

投稿者 webmaster : 2004年08月20日 23:25

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