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掲示板の方に先に書かれてしまったが、最新号のBMJに載った驚天動地論文を紹介したい。膀胱ガンの患者から採取した尿と、健康な人やガン以外の尿路系疾患の患者からの尿を、訓練した犬に識別させるという研究である。
実験はまず、6匹の犬(雑種6Y♂、ラブラドール7Y♀、コッカスパニエル1.5Y♂、同2Y♀、同5Y♀、パピヨン7Y♀)に訓練を受けさせるところから始まる。これらの犬は人に従うようにしつけられてはいるが、今まで特別な臭覚識別の訓練を受けたことはない、普通の犬である。
隠しておいた膀胱ガン患者の尿を発見させるところからはじめ、水や薄めた健康人の尿との識別という風に複雑化させていき、月経血が混入していたり炎症所見のある尿サンプル6個とガン患者尿を識別させという課題をこなすようにさせる。この訓練には7ヶ月が費やされた。なお、尿サンプルは常に新しいものが使われた。(雑種犬とラブラドールは離れた訓練センターにいたため、乾燥尿が使われた。)
使われた尿サンプルは同意の下に参加した36人の膀胱ガン患者(49歳から90歳、平均年齢69歳、うち23名が男性)から得られたものである。このうち27名の分が訓練に、残りが本実験に使われた。コントロールに使われたのは108名の健康人と非ガン患者から得られたものである。ただ、このうち一名の尿は、訓練課程ですべての犬が常にガンとしての判定を示すため、精査を加えたところ、右腎臓に移行上皮ガン(膀胱ガンと同じ組織系のガン)が発見された。
本実験は膀胱ガン患者尿と健康人、非ガン患者尿6検体、全部で7つの検体の中から、犬にガン患者尿を発見させることを、6匹の犬すべてに9回おこなわせ、その結果が集計された。その結果、すべての犬の判定54例のうち、22例が正解であった。正解率は41%、単なる確率の場合の1/7、約14%を大きく上回っていた。
犬によってその成績はちがい、最下位は雑種犬の11%であったが、他のブランド犬は30%から56%の正解率を示したのである。また、患者尿によっても正解率は変わり、すべての犬が正解したサンプルもあれば、すべて不正解であったサンプルもみられ、病状の違いによって、犬が嗅ぎわける特別な匂いを構成する何らかの物質に変化があるのだろうと考えられている。
著者たちはこの研究が示すのはあくまで逸話的なものであって、科学的な検証とはいえないとしているが、犬がその臭覚を使ってガンを発見できる可能性を世界で始めて示したことへの自負は大きいようだ。結びの言葉は「我々が犬の訓練に用いたアプローチが、今後の同様の研究に対して寄与することを望むものだ」というもの。
この研究が追試を重ねられ、実用化されて、ガン検診に行ったら犬にクンクン股間を嗅ぎまわられる日が来るのか、興味は尽きないところである。まあ、そうなる前に近々にもイグ・ノーベル賞を受賞するのは間違いないと思うけどね。
Willis CM.et al."Olfactory detection of human bladder cancer by dogs: proof of principle study ":BMJ 2004;329:712 (25 September)[元論文全文(PDF)]
投稿者 webmaster : 2004年9月24日 21:25
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人間でも臭覚というのは診療の役に立つものです。相手の体臭が微妙に変わることで悪化を知る、なんてのは結構自分でも経験します。
投稿者 Webmaster : 2004年10月 1日 16:36
犬はメラノーマも嗅ぎわけることができるそうですね。
投稿者 furukawa : 2004年9月28日 02:16
いろんな情報源をお持ちで、たのもしいですね。それに、難しい英文もお読みになれてご尊敬差し上げます。
投稿者 minmin : 2004年9月25日 01:33