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2004年10月18日  「生首に聞いてみろ」 [本とか映画とかTVとか舞台とか]

生首に聞いてみろ」(法月綸太郎:角川書店) 私はどうも自分の好みだけで読む本を選んでくるということが出来ないので、ちょっと気に入った本があったら、同じ作者のものを全部読むというような読書に傾きがちである。同時に、その作者がほめる別の作者の本も言われるままに読むほうなので、時々、聞いたこともない人の本を読む羽目になり、これもその一つ。ちなみに、ほめていた人は殊能将之さん。もっとも、それだけが理由というわけではなく、この題名に注目したから。

というのは、私が日本の職業作家としてまずナンバー1だと思っている都築道夫の長編に、「なめくじに聞いてみろ」というのがあって、この題名はどう見てもその本歌取り。かの幻の名作といわれた映画、「殺人狂時代」の原作となった(といっても、えらく別の話も混じってたような気が)ものなのだけれど、あれが何らかの形でフィーチャーされているに違いないと思ったわけ。

で、読んでみた結果、都築作品がどこかに引用されている雰囲気を感じ取ることは出来なかったものの、なかなかの物件であったと認めざるをえない。まあ、一言で言うと、「部分と全体の相似」という原則が貫かれているというのが秀逸。導入部の写真展の場面で示されるテーマ、「鏡像」というのが、最後まで繰り返されるわけですな。

殊能将之さんもいうように、「抽象的」で「数学的」な構造には感心するのだが、その分ミステリィとしての強引さには欠けるところがあり、この人が被害者になるのかお気の毒に、と思う人が殺されて、この辺が犯人なのだろうなというあたりがやっぱり犯人という、はなはだ淡々としたつくりになっているのが惜しまれる。人となりがちゃんと描かれていて、かつそう落ち度もない人が殺される話ってのも、あんまり気分よくないし。

犯人側の動機には、ゲージツが絡んでいるんだけれど、どう考えてもあれで危機を感じて人殺しして、その上かなりアブノーマルな迷彩をかましたりする原因になるとは思いがたい。作者と同姓同名の探偵は、物語構造の乱れというものを推理のヒントにする場合が多いのだけれど、そういう意味では犯人側のエートスにはかなりの不連続がありすぎるんではないだろうか。作中で誰かが言う、「猟奇殺人する奴なんだから、一貫してなくて当然(大意)」ということで済ましてしまうのかな。

この物語のあらすじ(ネタばれなし):
探偵「キサマが血に飢えた狂気の殺人鬼だったんだな!なぜあんなことをした!」
犯人「だってオレ、血に飢えた狂気の殺人鬼なんだもん」

投稿者 webmaster : 2004年10月18日 20:50

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コメント

というわけで「X-メン」、いや、「Xファイル」から

好むと好まざるとに係わらず、否応無く「その人の死に様」を予知してしまう、冴えない保険外交の中年男。
謎の連続猟奇殺人犯は占い師ばかりを次々と手に掛ける。
事件の鍵を握るひとつの謎-犯人はなぜ占い師ばかりを狙うのか?

目の前に遺留品を並べられた男はカエルの置物を手に取り
「おや気の毒に、これを作った職人は前立腺癌で亡くなったよ」
「いいからこちらを見てくれ」
水晶球を手にした男は深く嘆息する。
「ああ…何てことだ…こりゃ酷い…!」

不本意ながらその能力ゆえに(本人は大迷惑)殺人犯に追われる立場となった中年男をモルダーはホテルの最上階に保護する。
「ここなら安全だ」
食事は全てルームサービス。いいなぁ。
「食事をお持ちしました」
顔を合わせた途端閃く二人。
「おやおや、こんなところにいたのかい」
遂に殺人犯は捜し求めていた「本物の予知能力者」に巡り会えたのであった。
「最後にひとつだけ教えてくれ、どうして僕は人を殺さなきゃならないんだい?」
「そりゃお前さんが薄汚い人殺し野郎だからだよ」
「なるほど!」

これだけ書くとなんとなくコメディみたいですが、本編は「老いの孤独」をテーマにした物悲しいお話です。

「ビニール袋を被って窒息死だなんて、最低の死に方だと思わんかね」


ああ…気をつけないとまた書き過ぎてしまう…

投稿者 小狸工房 : 2004年10月19日 21:10