« 火星人来襲の日 | メイン | レッドスキンズ敗北。大統領選はいかに? »

2004年10月31日  「ロング・グッドバイ」 [本とか映画とかTVとか舞台とか]

THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ」(著:矢作俊彦、角川書店)。矢作俊彦19年ぶりのハードボイルド書き下ろし、という触れ込み。あれれ、「ららら科學の子」がこの前出たばかりじゃないか、と思うのだが、「ハードボイルド」では19年目、ということなんだそうだ。

題名を聞いただけで、これはレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ("long goodby")」へのオマージュというか、矢作なりのハードボイルド世界の再構築なのだとわかる。通じるのはLとRの区別に弱い日本人だけだろうけど。まして、冒頭で人好きのする酔っ払いと知り合いになる展開をみて、たぶん大筋は一緒なのだろうと想像してしまうのだった。

ハードボイルドミステリというのは、本格推理のように謎そのものをショウアップすることをそれほど追求しないので、ネタバレしたらそれまでということもなく、主人公と登場人物が取り交わす気の利いた軽口だけ読んでいたって充分面白いものだ。私は一度でいいから、あんな風に洒落たセリフを現実生活でつかってみたいものだと常々思っているが、出来たためしはない。

だいぶ前に発見したことなんだけれど、どうしても英語をつかってガイジンと話す必要に迫られたとき、自分がフィリップ・マーロウになったと思って事に当たれば(この際、容貌のことは無視)、不思議なことにそこそこ喋れるだけでなく、結構毛唐相手に間を持たせることが出来るのである。ハードボイルドの視点というのが、英語的発想そのものであるからだと思う。

もちろん私はその手の小説を原著で読んだことなどなく、全部訳書で読んだだけなんだが、それでも充分役に立つから面白い。まして、この「ロング・グッドバイ」の場合、日本人が日本語で書いているのに、その目的にはぴったり。そんな実用目的でハードボイルドを読んでいる人もあるまいと思うが、ホントに役立つからだまされたつもりでお試しあれ。

ところでこの小説、テリー・レノックスの役回りの男が予想通りの現れ方をするのはよいとして、肝腎の犯罪そのものではどんな役回りをしたんだろうか。隠蔽には少なくともかかわっていたみたいだけど。結局誰が誰を殺したのか、というところですでにさっぱり判っていないのである。でも面白いのがハードボイルドのハードボイルドたるゆえん。

投稿者 webmaster : 2004年10月31日 22:14

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/252