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左中指の痛みはさっぱりおさまらず、仕方なく読書にふける日曜日。この前の「ジェイン・エアを探せ!」の続編、「文学刑事サーズディ・ネクスト<2>さらば、大鴉」(ジャスパー・フォード:ソニー・マガジンズ)を読み終える。評価はというと、「面白うてやがて悲しき鵜舟かな」というところか。
第一作の活躍のおかげで、すっかり有名人になって特別捜査局の宣伝に利用されまくるサーズデイ。官僚組織の融通の利かなさや、前作でいい加減やっつけたつもりなのに、なお国家を超えた闇の権力を持ち続けるゴライアス社にいらつく一方で、ランデンと結ばれて幸せいっぱいの生活をおくっている。
そのころシェイクスピアの未発表戯曲が発見され、サーズデイらの調査でも本物であるらしいのだが、どうも怪しい雰囲気が付きまとっている。その捜査を進めるうちに、サーズデイは偶然が連鎖するという奇妙な体験の中で危うく死ぬところだったのを時間旅行者の父親に助けられるが、夫を時間をさかのぼって消されてしまうという危機に陥る。しかも父親によれば、世界そのものの破滅もすぐそこまで迫っているのだという。
一方でサーズデイには「脚注電話」なる不思議な方法で弁護士から連絡がくるようになっていて、それによれば彼女は厄介な訴訟の被告人となっているという。どうも前作でフィクションの世界に入り込んだことがきっかけで、彼女は現実とフィクションの両方で危機に陥っているらしい。現実の世界で偶然を操ってサーズデイを危めようとする敵から逃れつつ、フィクションの世界の中でその世界の秩序を守る特殊機関、ジュリスフィクションの一員として虚構世界に招かれる。そこでディケンズ小説の登場人物やら、チェシャ猫の助けを借りて彼女自身の危機と虚構世界、そして現実世界の危機を回避するための大活躍が始まるという筋立て。
実に面白くて、読んでる間は飯食ったり寝たりする時間が惜しいぐらいなんだけれど、あんまりいろいろ詰め込みすぎて、何か消化不良の雰囲気がなくもない。今回の敵なんて、ほとんどキャラになってないぐらいで。大鴉はつるっと触れられるだけだし。それでもカフカの審判やら、ヴォークトの「武器店」ものの筋立てまで器用に詰め込まれ、最後は文学ならぬ「ターミネーター1」の雰囲気で終わっているんだが、これは更なる続編が期待できるということなのだろう。
そんなに面白いのなら、何で「やがて悲しき」なんだといわれるかも知れない。それは結局、サーズデイの世界も虚構だという、至極当たり前の事実に向き合うことになるからだと言っておこう。ま、読んで損はないシリーズであります。
ところで、この本の最後の見開きに"Goliath Book Rating"というのがくっついていて、この本は"Suitable For All"とされているんだが、これは英国の公的な図書評価機関にこんなのがあるということなんだろうか。ちょっと検索してみたが、もう一つよくわからなかった。もし本当にあるのなら、作者が闇の超国家組織にゴライアス社という名前をつけたのは実に気の利いた皮肉。
投稿者 webmaster : 2004年12月05日 20:52
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