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2004年12月17日  多品目食の効能 [医学・科学関連]

British Medical Journalの最新号、12月18日版に"The Polymeal: a more natural, safer, and probably tastier (than the Polypill) strategy to reduce cardiovascular disease by more than 75%"(1)という、大変長い題名の論文が掲載されている。これは題名の中でもふれられている心血管疾患に対する"Polypill"「多剤投与」という治療戦略に対して、"The Polymeal"「多品目食」という造語をつかったイヤミ論文であるようだ。

もともとの"Polypill"論文(2)は昨年6月、同じBMJに掲載されたものである。スタチン系の高脂血症治療剤に、半量の降圧剤三剤を組み合わせ、それに葉酸と少量のアスピリン(これは抗血栓作用のため)をのむという治療法を行い、11年にわたってその効能を検証したというもの。これによって、55歳以上の中高齢者の心血管疾患イベントを、80%以上減少させることが出来たとのこと。

日本の臨床現場では昔からもっぱら全く別の理由によってこういう総花的投薬が行われているが、そのおかげで平均寿命が長いのかなと、皮肉めいた見方をしてみたくならないでもない物件であるが、やはりこれに一言いいたい人々は向こうにもいたようだ。

今回のPolymeal論文は、1日150mlのワイン、週に4回114gの魚摂取、無糖のチョコレート100g/日、果物と野菜400g/日、ニンニク2.7g/日、アーモンド68g/日を摂取するという個別的なメタアナリシス研究やランダム化対照試験の論文六本をとりあげ、それをメタアナリシス的に結合し、その総合的な効果は約76%の心血管疾患イベントの低下につながったと主張している。

もしかしたらえらく生真面目に検討されたものなのかもしれないが、私には"Polypill"論文に対するイヤミばかりではなく、EBMという考え方とその検証過程にある根本的なウソ臭さについても一太刀浴びせようとしたに違いないと思えるのだ。大体、果物と野菜400g/日をとることの効能をランダム化対照試験で調べるってどうするのさ。対照群には合羽橋で買って来たロウ細工でも食わせるのかね。

別に盲検でなくてもランダム化対照試験は成り立つのかもしれないが、明らかな食生活上の違いを強いて、無作為割付しているから客観的だというのはどこかおかしい。チョコレート100gを毎日食うというのもねぇ。みのもんたにでもきつく言われないと、ちょっと続かんぞ。そういうかなり妙な「EBM」研究成果をあつめ、しかもそれらの主張を結合して、全部やったら効果はスゴイと主張するというのは、ジョークを意図しているとしか思えんのだが。

この論文は次のような言葉で結ばれている。「ここで示した予防戦略はきわめて根底的なものである。科学的予防の成立以後の時代においては、『健康な人間』というのは時代錯誤の概念である。西欧社会では、我々すべてが心血管リスクをしょっていることを認識する必要がある。そしてそれはごく普通に疾患をひきおこし、しばしば致命的なのだ。"Polypill"がいくらかは効果的であることは評価されるべきであろうが、"Polymeal"は非薬物的に効果を期待でき、安全かつ美味に心血管疾患の危険性を低下させ、多くの人に寿命の延長をもたらすのである。」

回りくどい書き方ではあるが、リスクはどこにでもあるのだから、セコイ医学小知恵でがんじがらめになるのではなく、好きなもの食べておいしく暮らそうじゃないかと言っていると思うのですがねぇ。
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投稿者 webmaster : 2004年12月17日 23:49

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