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2005年02月13日  謎の「皮膚寄生虫」疾患 [医学・科学関連]

いま合衆国のベイエリアで、奇妙な疾患が拡がりつつあり、ちゃんとした診断がつかず治療もままならない現状に、患者たちの不満は高まる一方なのだという。その疾患については、すでに患者とその家族による解説サイトまで立ち上げられているのだが、医学界の主流はその疾患の実在性を疑い、一種の集団妄想とすら考える傾向にある。こちらの報道を抄訳して、この奇妙な疾患について概略をおってみよう。

医師を困らせる謎の疾患、患者の不満はたかまる一方

[サウサリート発2月6日]知られざる疾患がベイエリアを襲っているのか、単なる集団妄想なのか?ICUに勤務する看護婦であるシンディ・ケーシーなら、謎の疾患とは現実のもので、苦痛に満ちたものだというだろう。ケーシーさんは、ベイエリアに少なくとも150人はいるこの疾患に冒された住人の一人だ。この疾患は無数の傷とそこから生える奇妙な糸のような物体で特徴付けられる。

「とっても奇妙だから、人が信じないのもわかるのよ」、そうケーシーさんはかたる。「痛みのある打ち身みたいな傷からはじまったの。ちょっと腫れた打ち身ね。そして、糸みたいなのが生えてくるのがとても不気味なの」。彼女が医師にかかった時から、イライラは高まるばかりだ。彼女が勤務する病院の皮膚科医達は、彼女は精神疾患だというのである。「彼らにはこの状態が理解できなかったので、手っ取り早い結論に飛びついたってわけよ。『こんな事はありえない。あなた、自分でこの傷を作ったんでしょ』とね」。(以下略)

この状態の苦しみだけでなく、まともに医療に対応してもらえないことから、うつ状態になってしまった人が自殺したケースまであるそうだ。奇妙なことに、1200人ほど確認されているこの状態を持つ人の多くが医療関係者であるという。

医師の中には、この状態はダニによって媒介されるライム病を背景にした免疫低下状態なのではないかという説を唱えている人もいるらしい。その場合でも、傷口に多数見られるという糸状物質が一体何なのかというのは、全くわからないそうだ。別報道によれば、患者や家族が集めてくる糸状物質は、単なる糸くずでしかない場合もあるというし、何らかの生物学的構造を認めるという報告もあるようだ。

そういえば、昔々、日本でも「傷口から綿がでてくる奇病」というのが報告されたことがあるが、あれは患者の詐病だと片付けられていたはずだ。これについても、今のところそれと同じ見方をしているのが医学界の主流というところらしい。なお、自助グループはこの疾患を「モルジェロン病」とよんでいるが、これは300年以上前に記述された小児疾患から取られたもののようだ。参考サイトは正直いってあまり実証的な主張をするつくりになっておらず、医学者が訴えを認めてくれないうらみつらみが先立ちすぎているきらいがあるのが残念。

全然身体症状を欠きながら、なお「皮膚の下に何らかの虫が這いまわっている」と訴える人は今まで沢山みましたがね。こういうのはまだみたことがありません。もっとも、訴えのかなりの部分は、「慢性疲労症候群」とか「線維筋痛症候群」と呼ばれる人々とカブる部分がありそう。ってな事いうと「お前も精神疾患とみるつもりか」と怒られそうだが、まあ、人間というのは精神機能と身体機能をそうきっちり分けられるものでもないので、治療するにしても、そうハイテク医療技術が出る幕のなさそうなこういう疾患は、まずよく話を聞いて病型をきっちり現象学的に記述分類するところから始めるべきだな、と職業的な経験が告げているのだといいわけしておこう。

投稿者 webmaster : 2005年02月13日 22:18

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