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2005年02月15日  「タイタンの妖女」 [本とか映画とかTVとか舞台とか]

タイタンの妖女」(カート・ヴォネガットJr:ハヤカワ文庫)

殊能将之さんのサイトで紹介されていたので、非主体的読書家としては読まんわけにはいかんだろうと購入。カート・ヴォネガットJrには、昔ちょっとはまったことはあるのだが、そのころこれは絶版だったか品切れだったかで、読まないままだったのだ。

SFでは古典に属するらしく、ちょっとネットを一回りするだけでも感想文を山ほど目にすることができる。プロットを一口でまとめると、ある宇宙人(というか、その連中が残した文化)がその気まぐれを実行するために、地球の文明への干渉を行っていた、という内容。こう書くと半村良あたりの大伝奇ものみたいに聞こえるが、そこはK・ヴォネガットJr、おどろおどろしさなどとはまったく無縁なのがありがたい。

もっとも、そういうプロットのまとめ方はむしろメインの筋立てに対するオチともいえるので、本筋は「ヨナの受難劇」をヴォネガット流の無神論で再構築したものといったほうがいいのかもしれない。それだけではあまりにあざとすぎるので、オチのほうも追加されたという感じなのかなと思ったり。

ヨナの受難というテーマは、作者自身によって物語のはじめのほうにヒントが出されているが、あまり人の関心は引かないようで、その点に触れている感想にお目にかからないのがむしろ面妖ともいえる。もとの聖書物語は、絶対的な神によるかなり理不尽な試練と、割に合わない恩寵を押し付けるもので、私ならこんな神様と付き合うのはいやだなと思うだけなのに、ありがたい話として読みつづけられているのが不思議である。

K・ヴォネガットJrはこの小説の中で、神と人間の絶対的な非対称性を拒否する神学を提示していて、それはかなり手の込んだものである。正直言ってよくわからない筋運びの末、「徹底して無関心な神の教会」という、プロテスタンティズムの極致みたいな無神論的宗教が地球を席捲することになり、その教義が長々と解説されるのである。しかし、それを本気でやりたいのか、オチに持ち込むためのギャグなのか今ひとつわからない。

たぶん作者にその点を質問しても、帰ってくる答えは「そういうものだ」であろう、というのが最終的感想。

投稿者 webmaster : 2005年02月15日 23:59

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トラックバック時刻: 2005年11月08日 00:46

コメント

『カッシーニ』、タイタンに巨大クレーターを確認

米航空宇宙局(NASA)の科学者たちは今週、土星最大の衛星タイタンを覆う謎の解明でまた一歩前進した。NASAの土星探査機『カッシーニ』から、タイタンの地表をこれまでで最も鮮明に捉えた写真が地球に送信されてきたのだ。

太陽系の天体では地球を除き唯一、その大気に豊富な窒素があるため、タイタンは世界中の科学者の関心を集めてきた。科学者たちはタイタンに生命は存在しないと考えているが、それでも、数十億年前に地球がどのように形成されたかを理解するうえで、タイタンが手がかりになるとみている。(2005.2.17)

 過去に《火星人》が想像され 描かれたように、土星の衛星”タイタン”の鮮明な映像が送られてくるに従って、《タイタン人》が皆の想像の中に芽生えてきそうですね。 想像の《タイタン人》は太田光の事務所”タイタン”の社長(奥様)に似てくるかも。

投稿者 藍・I : 2005年02月20日 18:08

 爆笑問題 太田光さん 絶賛の本ということですね。爆笑問題の事務所も『タイタン』。 タイタンはここからきていたのでしょうね。事務所の“タイタン”も顧問弁護士の橋下徹氏、長井秀和 等たくさんのタレントさんを抱えて躍進中とか。
初期の村上春樹に大きな影響を与えた作品とも書かれていますね。

投稿者 藍・I : 2005年02月16日 13:31