« 「精神科医を訴える」 | メイン | HTML文法チェック »
土曜日だというのに、午後を使って電子カルテ導入の最終段階リハーサルにつきあわされる。今まで個別的に操作講習会を開いていたのが、各部署との連携もふまえた、具体的な使用状況をシミュレートするというものである。30人ほどの職員が患者役になって、それぞれ割り振られた症状を訴えて受付を訪れ、各科に割り振られて受診し、いろいろな検査や治療を指示され、次回受診予約をしたあと精算するというごく普通の病院業務の流れを再現するわけだ。
すでに予約してある再来患者と、その日の新患が半分ずつという設定なんだけれど、待合室にはニセ患者たちがあふれているのに、肝心のPC画面の方には、その連中が受診登録した情報が現れないのだった。二時間のリハーサル予定の半分近くになって、やっと受診登録がぼちぼち出て来はじめる。
そりゃそうだ。今までは患者が保険証をもって病院にくれば、さしあたって保険種別のスタンプを押したカルテ用紙に名前だけ書いておけば、受付での事務処理は終わっていたのだ。それが、今日のリハーサルでは、一挙に20人近くの新患の住所氏名電話番号などの情報を、慣れないフォームに書き込む必要がある。あせってパニくる受付の女の子に、それを数分でやれというのが無理であろう。
電子カルテ自体の実際の診療場面での使い勝手はそう悪くなく、今日みたいな診療ごっこなら、実に余裕をもって対処できるのだが、いざレントゲンや検査に割り振るとその後がいけない。いくら電子カルテ上では依頼がそれらの部署に伝えられていても、別に患者がオンラインでそこまで行くわけではないのである。
今までなら伝票を渡して、どこそこに行くように伝えられたのが、ペーパーレスのおかげでそういう目安がない。バトンなしのリレー、タスキなしの駅伝みたいなものである。今まで以上に診療の進行具合を把握して、患者の動きをうまく管理する、気の利いた診療マネージメントが要求されることになる。そしてどこの病院でも、どんなシステムを使っていようと、この部分は大概ぽっかり穴があいているものなのである。
今日も巧まずしてそういう全体管理の不在が露呈し、意味なく関係ない検査室で待ち続ける患者役若干名、ちょっとした手違いで診療終了にされて、空しく待合室に放置される患者役数名という有様。繰り返すようだが、電子カルテ自体の使い勝手はきわめてよく(何しろ、システムを選んだのはこの私なもので)、そういう混乱を客観的に観察する余裕がたっぷりあるのが救いである。
大混乱のリハーサルを終え、反省会となったのだが、結局普段の患者接遇を別の視点からみなおすという、結構実りある話し合いになったのが収穫だろうか。もちろん、こんなシステム導入しやがって、切腹ものだぞという、私への非難に転化しなかったのが最大の収穫。
投稿者 webmaster : 2005年03月05日 22:59
このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/368
初めてお邪魔します。我が職場の二年半前を思い出します。
全く同じような感じでした。
「紙(伝票)が動かない」という事が
あんなに不安だったのが懐かしいです。
ちなみにうちはリハーサル後、患者役の院長が採血室前に放置されてました。
投稿者 ami : 2005年03月13日 20:26
画面に情報が出ないのは、システムにバグが発生したせいかと思いましたよ。今後もデータが消えてしまったり、他人の調剤を表示してしまうような重篤なバグが出ないことを祈ります。(人命にかかわるだけに充分なテストは行われているとは思いますが、システムを作ってるのも人間ですので)
投稿者 yoda : 2005年03月06日 22:20
ですよね、
新技術の導入に伴う一時的な混乱を非難するのではなく、その新しい方法に合わせて物の流れと手順そのものをまた新しくする。
できることなら他所で有効であると証明されたノウハウがそっくり移植できれば手っ取り早いのではありますが。
それでも我が身を持ってその有用性を証明されんとしたwebmaster様は偉い!
さてと、とりあえず欲しいのは患者さん側からも情報の流れが把握できるシステムですか(これは同時に医療者側からも俯瞰できるシステムを指しています)。
けど気をつけないと患者さんの治療内容が部署によっては丸見えになってしましますねー。
んだから問診→検診→触診→尿検査→血液検査→レントゲン撮影→診断→投薬→お会計、の流れがポップアップでいつでも呼び出せるように…院内モバイルシステムが欲しくなりますね。
指紋照合による個体識別システムと併用すれば完璧ですね。
などと妄想は果てしなく広がるのでありました。
投稿者 小狸工房 : 2005年03月06日 09:45