« 量子ゼノン効果 | メイン | ネコの回転着地メカニズム »
昨年9月にドイツで出版された、"DAS BUCH DER VERRÜCKTEN EXPERIMENTE"(奇妙な研究に関する書物)の執筆者が、その抜粋を自分のサイトで公開してくれているというので、早速流し読みしてみる。こちらでも取り上げたことのある、風邪の集団感染実験とか、魂の重さが21グラムであることの証明実験とかの懐かしいものもあり、前々から詳細を調べたいと思っていた「ミルグラム実験」、服従状態にある人間の大多数は、他者に害を与えるような冷酷な命令でも平気で実行すると示唆する、いまだ評価が定まっているとはいえない研究なども紹介されている。
それらについてはおいおい紹介するとして、流し読みで一番感銘を受けたのが、誰もがよく知っているあの「パブロフの条件反射研究」の関連トリビアであった。パブロフは20世紀初頭、消化システムの研究をしており、唾液腺の分泌と食物の関係を調べているうちに、研究に使っていた犬が食物が出てくるのを予期しただけで唾液分泌が始まるのを観察する。そこで彼は研究の内容を転じ、かの「条件反射」という現象を見いだすのである。
彼は犬に餌を出すとき、ベルを鳴らしたが、そのときのベルというのは、私が想像していたようなジリジリジリというものではなく、チンと一回だけ鳴るものだったとのこと。なんでそんなことに感心するんだ、といわれてもよく判らんのだが、なんかジリジリの方だと思いこんでいたんですな。また、パブロフは1904年にノーベル賞を受賞しているのだが、それは本来の消化システム研究が評価されたので、条件反射とは無関係なんだとのこと。
当時、彼の研究はとりたてて実用的な意味はなかったのだが、30年後にスキナーによってオペラント条件づけ理論が付加され、教育や医療分野において、より実践的な展開がされるようになった。まあ、実践的というなら、古代から人間はこの理屈を知っていて、動物(大衆というのを含むかも)を飼い慣らすのに利用していたわけなんだけど。
それら以上に、パブロフは学者として他に類をみない特別の記録を持っているということも、この本では紹介されている。その記録というのは、その名前や研究内容から命名された音楽グループの数が群を抜いている、ということであるそうな。70年代には「パブロフの犬と条件反射的ソウル・レビュー、およびコンサート合唱団」というロックバンドが結成され、80年代には「イワン・パブロフと唾液分泌軍団(Salivation Army、なんのモジリかは言うもさらなり)」というバンドが出来ている。90年にはブルーグラスバンドの「パブロフのワン公」というのもあるらしい。21世紀になると、イギリスで「パブロフの猫」というバンドも活躍しているという。
これに匹敵する研究者は誰かいるかと考えてみたが、やはり思いつかない。フロイトなんかはありそうだが、ピンク・フロイドぐらいしか知らんし。しかも綴りが違うし。スターリンというバンドはあったが、ありゃ研究者ではありませんわね。言語学の本は書いたことになっているが。
なお、先ほどの「パブロフの犬と条件反射的ソウル・レビュー云々」というバンドは、73年に「パブロフの犬」という簡潔な名前に改名し、ファーストアルバムを出す前に60万ドルの前渡し金をもらったそうで、これは当時としては最高の金額だったそうだ。しかし彼らはさっぱり売れず、3年後に彼らはレコード会社からクビになり、メンバーは破産、バンドは解散したとのこと。
投稿者 webmaster : 2005年03月09日 23:56
このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/372