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2005年4月19日  Dr. Livingstone, I presume? [日常]

殊能将之さんの日記記事に、ご自分の「外国人相手にギャグを言う悪い癖」について書かれてあった。パーティで一度会ったことのあるラリィ・マキャフリイに本屋で出くわしたとき、"Dr. McCaffrey, I presume."と言ったのに全然ウケなかったのだそうだ。別の例も書かれていたのだが、昔からあの言い回しがどういう文脈でギャグになり得るのかと疑問であっただけに、ウケなかったのは殊能センセーのせいばかりではあるまいと思われた。

ご存じのように、殊能センセーのフレーズは"Dr. Livingstone, I presume?"のもじりである。1871年、アフリカ奥地で行方不明になった探検家、リビングストン博士を救出するために現地に赴いたアメリカの新聞社特派員、スタンレーが、タンガニーカ湖のほとりの村で博士を発見したとき、感激のあまり、やっと発することが出来た言葉とされている。「リビングストン博士とお見受けしますが……?」という婉曲表現の中に、スタンレーの感動がよく表現されているのだそうだ。

こんな言葉を私が知っていたのは、昔々のMacOS用の冗談機能拡張、Bongo-Bobで見たことがあるからだ。この機能拡張はOldMacOSが立ち上がるとき、ランダムに気の効いたアフォリズム箴言を表示するのである。その中の一つにこれがあり、意味がわからないので腹が立ち、必死に調べたことがあるからだ。この言葉は、スタンレーとリビングストン博士の出会い状況を超えて、ジョークとして広く使われることになったと言うのだが、それがわからない。

Googleで"Dr & presume"を調べると、元の"Dr Livingstone, I presume"という題名をもった古いジャズとか、ムーディ・ブルースのプログレッシブ・ロックがあるようだ。TVドラマのERには、"Dr.Carter, I presume."という題名がついた回があるし、スタートレック(DS9)にも、同じようなものがある。スパイ映画の台詞にも使われていたりする。しかし、その程度なのである。

リビングストンなんて名前の人はそういるわけではないから、実際に使われる時は、ドクターをつけてもおかしくないような人に対する呼びかけに使うことになる。ところが言葉全体が特異性に乏しいので、意味をずらすことから生まれる換喩的おもしろみを感じにくい。よっぽど息のあった人同士でないと、これがジョークとして成立するのは難しい。

私がNYの街角でどこかの医師と待ち合わせたとして、待ち合わせ相手と思える相手に、"Dr.Jones, I presume?"と、私としては勇気を振り絞ってジョークの第一声をかけたとしても、"Yes, exactly."と返事されて終わりだと思う。あまりにもジョークらしさにかけるからである。

日本語で、日常的な短い語句がジョークとして成立する例というのが何かあるかとかなり考えてみたのだが、いい例が見つからない。「無法松の一生」の「ボン、ボンじゃござんせんか」なんかは、まったく同じような使い方が出来そうだが、あれは小倉弁という唐突さと俳優物まね風のしゃべり口が、ジョークモードへの切り替え信号になっている。ほかにも思いつく短い語句もないではないが、パフォーマンス優先であったり、やはりマイナー系の方言であったり、五七五リズムにのせるというような特異性が工夫されている場合が多いのである。

英語の場合も、もしかしたらウエールズ出身であったスタンレーの訛りを真似するような約束事があるのかも知れない。向こうの人は、文面からでもそういうニュアンスを読み取るのかも知れないなぁ、などと考えるのであった。なんでこんなどうでもいいことをグダグダ書いているのかというと、これがジョークとして一般的に成立するなら、向こうの研究者が来るパーティなどでは、実に心強い武器を得たと思っていたからである。殊能センセーでもダメらしいというのを読んで、ちょっとアセっているというわけ。

全然関係ないが、Googleで"Dr.Livingstone,I presume?"を検索していて、一番たくさん引っかかったのが、ブログに対するコメントスパムの文面である。この語句が入った怪しい薬物通販のスパムを、そのまんまにしている人がたくさんいるらしい。スパマーの意図がまんまと実現されてしまっているので、身に覚えのある方は早めに対策を取られたほうがよろしいかと。

投稿者 webmaster : 2005年4月19日 22:57

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コメント

雨の日のスーパーマーケットで店員さんと

「ニャンコとワンコ」
「はぁ?」
「ニャンコとワンコ」
「なに言ってんだよ?さっぱりわかんねーよ!」
「よく降るね」
「ああ、なんだそれなら分かるよ」

ハイ、店員さんはイギリス人でした(笑)。

投稿者 小狸工房 : 2005年4月20日 07:25