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ベンガル出身のインド人経済学者、アマルティア・センという人がいるそうである。経済効率や成果というものを追求する現代経済学には距離を置き、個人の自由と倫理道徳の達成を主眼にした経済を提唱しているという。世にはよく知られているようで、98年にはノーベル経済学賞を受賞している。当然、私はこの人の名を聞くのは初めて。この歳になっても、世の中知らんことばっかりですわ。
この人が提起した、「喪われた女性たち」(Missing Women)という問題があるそうである。アジアでは女性人口が男性に比べて著しく少なく、その差は性差別による嬰児殺害、不作為の育児放棄や虐待に帰せられるというものである。一億人以上の女性がこれで消えたというのがセンの主張で、世界的にも大反響を呼んだそうである(私はまるで知らなんだが)。
そのセンの主張に、公衆衛生学とウイルス学の知見をたてに、真っ向から反論したのがこの論文、"Hepatitis B and the Case of the Missing Women"、ハーバード大学で経済学学位を目指して研究中の大学院生、Emily Osterによる草稿(PDF)である。
エスター院生は、B型肝炎ウイルスに感染した女性の男子出生率は優位に高く、生まれた女児の死亡率も高いことを示し、女性人口が少ないとされるアジアの国々では、ほぼその減少率はB型肝炎ウイルスの感染率と逆相関することを統計的に明らかにしている。その上で、アジアの国々で行われて来た対策の結果、B型肝炎ウイルス感染率が減少していて、同時に女性人口も上昇していることも示し、その主張の根拠を強化しているのである。
さてさて、ヒューマニズムをベースにした世界的学究の考察が正しいのか、即物的なウイルス説が正しいのか。そういう二者択一の問題ではないのか。エスター院生の論文が正式に公開され、侃々諤々の議論が起こるのを期待したいものである。
ところで、私は「B型肝炎ウイルスに感染した女性の男子出生率は高い」ということすら知らなんだなぁ。経済学なんぞ知らんですむが、自分の関連分野も怪しいのでは、かなり反省せにゃなりません。
投稿者 webmaster : 2005年06月20日 22:27
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ご安心を、私、経済学が専攻ですが、こういう人物がこういう賞を受賞したという概略しか存じませんです。
そもそも在学中はウェーバーとかばっかり吹き込まれてたし。
しみじみと金にもならない浮世離れしたことばっかり考えてたなぁ。
というより彼の研究活動は今なお続くアジアにおける性差別と、生存権の確立という観点から語られることが多いように思われます。
この二人の論争から基本的人権の概念の普及と発展途上国における公衆衛生の改善へと昇華されればしめたものなのですが。
持参金の額ゆえに花嫁にガソリンかけて焼き殺すのを地方文化として認めるのには、私としても抵抗があります。
投稿者 小狸工房 : 2005年06月21日 20:50