2005年6月30日  予約制外来[医学・科学関連]

普段はそんなに忙しくもなく、ネットでネタ探しするいいチャンスになる外来が、今日はなぜか新患が何人か重なってしまい、お茶を挽くどころか一口飲むヒマもない有様だった。そんな日があるのも仕方ないとして、解せないのはそのうちの何人かが口をそろえていうのが、「他の病院に受診申し込みをしたのだが、予約が一ヶ月ぐらい先しかとれないといわれてここに来た」ということ。

ハイハイ、その点うちはいつもヒマですからね、といささかムッとしないでもなかったのだが、考えてみれば妙な話である。そんなにこの業界が繁盛することなどあるのだろうか。最近、周辺の総合病院では心療内科という名目で、実質的精神科の外来が開設されるところがぼちぼちみられるようになり、結構な事だと思ってはいたのだが、そういうところがもう患者さんをさばききれないほどになっているというのは、自分の経験からすればあり得ないことのように思う。ある程度繁盛するようになるには、せめて1~2年の信頼獲得準備期間というものが必要な場合が多いからである。

それに、精神科や心療内科の外来診療は時間をたっぷり掛けないといけないというのは、私にいわせれば真っ赤な嘘である。だいたい、患者さんに服を脱いで貰う必要もなく、そう検査というものもありはしない。時間がかかる道理がない。新患ならよっぽど複雑な事情がある人でも、30分も話を聞けば事態は把握できるはずだし、ましてや経過のいい人をフォローする場合なら、「どないだす?」「ぼちぼちでんな」「そらまた結構、ほなさいなら」で終わりである。電子カルテ化された今となっては、処方せん発行も瞬時に終わり、約30秒程度もあれば十分ではないか。

足元の怪しい高齢患者の出入りとか、多少は聴診のまねごとをしないといけないような合併症の人とか、時間がかかるにしても、せいぜい数分であろう。午前中に30~40人ぐらいを診ても、たっぷり余裕はある。もちろん、今日みたいに新患がかぶった場合は大変だが、それでも具合のいい人には多少マキで接すれば、いつもよりアタフタする程度で済ませられる筈なのだ。

もしかしたら、最近開設された所では、連日100人近い患者さんが押し寄せ、それらをこなすだけで精一杯なのかも知れない。でも、もしそうなら収入は莫大となるはずで、ほとんど設備資金のいらない精神科・心療内科外来は丸儲けであろう。全国の一般病院は次々に精神科開設にはしり、我々精神科医は引っ張りだこになってドンドン給料はあがり、売り手市場のこの世の春になっているはずである。

でもそんな話は聞かないぞ。知り合いで精神科クリニックをやっている連中も、老人の在宅医療などで着実に稼いではいても、精神科診療そのものは商売としては地味な展開だと覚悟している場合が多い。それでもやっているのは、精神科診療というのは、細分化された現代医療の中では、そのほとんどの部分を先端システムに依存しないで自分なりの方法論が貫ける分野であるからだ。

そりゃもちろん、大興奮でやることなすこと全く無茶苦茶というような状態の人の場合、短期間の入院治療も必要になるわけだが、その場合だって別に最先端の細分化システムに送れば終りという、難病のようなものとは違う。本格的治療が始まるのはそういう急性期がおさまった後なのであって、一番肝腎どころをやり抜くのは市中の治療者なのである。腹痛と風邪っぴきを適当に診て、数で稼ぐようなタルイ生活にはならないから、多少割が悪くてもこの商売をやっているわけだ。

その点からすれば、予約も取れない大繁盛というのは、一線診療機関が困難な症例をたくさん引き受けてくれている証であるのかも知れないが、どうみてもめんどくさい患者は引き受けないようにしているという勘ぐりのほうが正しいような気がする。自殺未遂で大騒ぎ、というような人に一ヶ月後に来いというのだから、そう思うのもあながち間違ってはいないのではないか。

長々とどうでもいいような愚痴話につきあってやることが精神科医の職能であるとしたら、そんなしょうもないことをやりたい後継者はいなくなっても仕方ない。つまらん長話の末に、セルシン3錠処方するだけの精神科医はもう結構。個別の疾患の中に、すばやく独自性と一般性の両方を見いだし、適切な処方と指示がおこなえるような、そんな総合病院精神科医が育ってきてほしいものだ。

なんか、変に忙しかったもので、高揚がまだ続いてるみたいで。

2005年6月29日  湖中の結晶世界[都市伝説・デマ・トンデモ]

crystal_city_s.jpg昨日に引き続き、またもグーグル・マップねた。しかも同じGoogle Sightseeingからの引用。

このブログではグーグル・サテライト・マップの様々な見所を紹介しているのだが、その中のWeirdnessというカテゴリーにあったもの。ミズーリ州カンサスシティ北方にあるスミスビル湖の中に、怪しく蛍光色に光る結晶世界が映し出されているというもの。もとのマップはこれ

あんまり不可思議な画像なので、エイリアンの結晶都市が湖の中に造られているのだというあたりで、それ以上の受け狙いのネタを思いつくのにも、想像力が追いつかない印象である。巨大PC基板だ、というのが多少ましといえるかも。グーグル社がジョークでフォトショップ加工画像を混ぜ込んだんだよという意見もあるが、やはりもう少しわかりやすいジョークでないとねぇ。

あれは冬季に湖面が凍結して、それを撮影したためにハレーションがおこり、衛星内部の構造が映し出されたのだという意見もあるのだが、そんなことあるのだろうか。だいたい、カンサスシティって、そんなに寒いところなの?雷とかつむじ風は多そうだけれど。

そんなわけで、あまり合理的な説明をしてくれる人も現れず、不可思議は不可思議のまま宙づり感覚の中に閉ざされてしまうのだった。どなたか、納得のいくような説明が出来る方がいれば、ぜひ教えてほしい。

Posted at 23:58 | トラックバック (1)

2005年6月28日  グーグルマップのUFO[都市伝説・デマ・トンデモ]

google_ufo_s.jpg掲示板のほうでグーグルマップの衛星写真の話題が出たので、いささか古い話ながら、そこにしばしば出現するUFO風画像についての考察を。

先月初め、グーグルマップが衛星写真の提供サービスをするようになって以来、そこにUFOが写っているという報告が次々に寄せられている。このサービスだけを取り扱うブログ、Google Sightseeingでは、わざわざUFO専門のカテゴリーを作って議論しているほどである。典型的画像は左の写真のように、ちょっとボケた球形の金属を思わせるものである(中には半円とか、不整形のものもあるが)。地表の画像とは明らかに別物で、素直に見れば「空中に浮かんで」いるように見えないことはない。

不思議なのは、今のところフロリダ半島とロサンジェルス付近だけにこの物体が出現することで、私も東京周辺の衛星写真を必死でみてみたが、どこにもこのUFO様物体は写っていなかった。こいつは間違いないと思ったものもあったが、なんのことはない東京ドームだった。もっと不思議なのは、このUFO様物体はかなり集中して現れていることで、しかもそれがかなり整然とした格子状の配置をとることである。例えばロスのこの部分には上から3段階目の拡大レベルで二つのUFO様物体が写っているが、そのまま右に水平移動すると、ほぼ一直線上にいくつもの同じ物体が並んでるのが観察できる。

これが一体何であるかについては、侃々諤々の議論が今も続けられている。いわく、気象観測用の気球である。野球のボール。いや、上がりすぎたゴルフボールだ。人工衛星だろ。宇宙空間のデブリスだね。ありゃ、空飛ぶ忍者だよ。煙でしょ?コンタクトレンズだよ、てな具合。ほぼ一直線に並んでいることから、これは衛星画像をまとめて大きな写真にするときの、一種の補正用プロッティングではないのかという説が一時は信憑性を集めたが、あんな不様な斑点を残すようなソフトなんか今日日ないという専門家の意見の前に雲散霧消してしまった。他にも、政府関係のVIP屋敷をセキュリティ目的で隠しているのだとか、レンズ状雲だというような意見もあるのだが、やはり直線上に現れている事からすれば圧倒的に弱いのである。

結局、有力なものはなく、UFO説に再び回帰しつつあるという*。じゃあ、あの直線上配列はなんなんだといえば、「インデペンデンス・デイをみたろ。一斉攻撃の準備をしているんだよ!」という、まことにわかりやすい説明。地球はかなりヤバイ状況にある様だ。まあ、東京は狙われていないようだから、差し当たってかまわんけど。

*もちろん、衛星カメラレンズについた氷滴がつくった歪みだ、というような合理的解釈もありますが。
Posted at 21:59 | トラックバック (4)

2005年6月27日  ヒュー・グラントが捕まった日[今日は何の日]

hugh_grant_s.jpg1995年6月27日の午前1時30分頃、ロサンジェルス警察はイギリス人俳優ヒュー・グラントと、ハリウッド街頭の売春婦であったデバイン・ブラウンを「公衆の面前でのわいせつ行為」を理由に逮捕した。グラントはサンセット通りに止めた自分のBMV(レンタカーだったらしい)に、デバイン・ブラウンを引き入れ、性行為の提供を受けていた。

グラントはすぐに仮釈放されたものの、1180ドルの罰金と、2年間の保護観察を言い渡された。一時は次作の公開も危ぶまれたものの、彼はラリー・キングのTVショーに出演して謝罪するというパフォーマンスのおかげで、無事に映画界に復帰した。

その時の彼の言葉。「人々が私についてしてくれる、『ストレス』や『プレッシャー』そして『孤独』というような説明を受け入れておくことも出来るだろう。でも、それは違うのだ。結局の所、私はただこう言えるだけだ。『私は不名誉で卑しい恥知らずな振る舞いをしてしまった』と。」

役者やのぉー、というしかありません。彼が単なる色男俳優に終わらないで延命しているのは、このあたりが秘密なのかも知れませんな。今後、ちょっと危ない性格俳優として伸びる人かも。

なお、相手の売春婦であったデバイン・ブラウンは、翌年ドキュメントドラマ「落日と聖なるもの」"Sunset & Divine"(ちゃんと自分の名前が入ってる)に、彼女自身の役で出演している。なお、このドラマは"Taken for Granted"(当たり前、の意)という題名でも知られるそうだ。

2005年6月26日  引っ越しはトラウマ?[ニュース]

板橋区で両親を殺して逮捕された高校一年生に対して、また妙な世論形成が目論まれているように感じる。この年頃は、とにかく親とか周囲のベタベタした人間関係がうざったく感じられる年頃で、そこを親のほうから無神経に使用人の一人のようにこき使うような態度に出てきたから、それで切れてしまったのだという説明も何となく理解できるようになってしまうのが、逆に問題を見えなくしてしまう。

うざい親に当たったらそれは不運と受け入れて、さっさと縁を切るための準備をするのが正道だろうし、現実にたいがいの人がそうしているのではないだろうか。一生、自分がしでかしたことから逃れられなくなるような自縄自縛の道をあえて選ぶ人がいますかねぇ。どうしても殺すしかないと決心したなら、せめて完全犯罪をじっくり考えるとかねえ。あんなタイマーとガスの小手先では、証拠隠滅にもならんぞ。空気とガスの配合比を考えて、爆発力をもっと大きくして、現場には自分と同じ年格好の人間の死体を用意しておくとか。人間というものは、やり出したことには責任を持ってベストを尽くさないといかん。

ま、悪い冗談はともかく、私の言いたいことはひとつだけ。こういう少年による犯罪が起こったとき、その経歴に転居があるとかならずそれを問題にする「識者」が現れるのが不思議だと言うことである。人間ってのは、成長過程で定住していないとまずいことになるなんて、どこかに根拠があるのだろうか。その理屈でいけば遊牧民たちなんか、みんなとんでもない人格破綻者ばかりになってしまいそう。

昔書いたことがあるかも知れないが、私も子供時代は親の仕事の関係で何度か引っ越しした。「転校論」という本を書こうかと思った事があるほどで。少なくとも私にはその体験は全然ストレスにはならなかったし、色々な人と知り合いになれて、地域文化の違いを様々に経験できたことは、物事をいろんな視点から見ることの楽しみにつながりましたがなぁ。

なんであれ、この事件は普通の勘ぐりのレベルでは理解できない部分が多すぎるので、妙な因果関係を中途半端に主張しても恥をかくだけなのは間違いない。まあ、「病気」の一言で片づけられてしまうことになるのは、もっと業腹ではあるのだが。

2005年6月25日  復券[医学・科学関連]

某地方で研修医をやっている子供が帰省してきて、例によって大酒飲み中である。日頃の生活を報告してくれるなかで、「普段、よその地方では通用しない言葉をどうも使っているらしい」といいだす。それは何かといえば「復券(ふっけん)」という言葉なのだそうだ。

復券ねぇ、往復切符の帰りの分でしょ?と言うとそうではないのだと。例えばメインの病気で複数診療科がある病院に入院している患者さんがいて、その人がたまたま別疾患にかかったような場合、別の科に紹介することを「復券」というのだそうだ。例えば「皮膚科復券」、「整形外科復券」という具合に。

そりゃ聞いたことがないなぁと、こっそり検索してみると、確かにそういう言い方が医学文脈で使われていて、それも私の子供が出た大学関連だけで使われているのであった。でも、復券がなんで他診療科に紹介する意味になるんだろう。この言葉が使われる地方はよその医学文化圏から比較的自由なところなので、どこかで間違った使い方が固定してしまったのを修正することが出来なかったのだろうか。

もちろん、どこかにこういう使用例があって、それは本来の漢字の意味からすると間違っていないのかも知れないが、我々が普段使う言葉の意味からはかなりの乖離があるとは言えると思う。

医学用語にはかなりのローカルルールがあるのは以前にも指摘したことがあるような気がする。例えば「頻回」というような一見一般用語風の言葉がそうである。「観察を続けるも、なお異常行動は頻回で……」なんて言い方も、まずカルテや看護日誌以外ではお目にかからない。

その点、この「復券」は私自身聞いたこともないが、某地方では日常的に使われる医学業務用語であるようだ。なんでこんな言葉が成立したかを、歴史文化的に確かめるような学問というのがあってもいいような気がしますな。エスノターミノロジーとでも命名しますか。

2005年6月24日  医師の高自殺率について[医学・科学関連]

かのThe New England Journal of Medcine6月16日号の巻頭コラム"Taking Their Own Lives — The High Rate of Physician Suicide"より。こういう観点から逆に見えてくることもある、という典型例。

筆者はハーバード大医学部教官のエバ・シェルンハマー博士。彼女はウィーンで腫瘍内科の研修医をしていた頃、二人の研修医と一人の診療科主任が自殺した経験を持っているそうだ。自分たちの患者を守るだけでなく、まず自分自身の命を守るためのプログラムを作る必要性を痛感したという。

博士がまとめた統計はなかなか興味深い。米国での医師の自殺については様々な調査があるが、それらをまとめると男性医師は同世代の非医師男性に比べ、約40%高い自殺率を示す。一方、女性医師は130%近い増加率を示すという。一般に女性の自殺率は男性より低いため、女性医師と男性医師は、ほぼ同じ割合の高自殺率を示すとも言える。

シェルンハマー博士はその原因として、強いストレスと孤立が背景となって増悪したうつ病が主な原因であり、薬物嗜癖とアルコール中毒がそれを後押ししていると考えているようだ。ライセンスを失う不安から、気軽に精神科的コンサルテーションを受けにくいことも一因だとしている。

女性医師の自殺率の高さは特に外科、救急医療に目立つらしく、性差別的な雰囲気がいまだにその領域に強いことも示唆している。自身の経験もあるのだろうが、露骨なセクハラもまだ健在であるとされている。

しかし、シェルンハマー博士の考察の中で一番目からウロコの感が強いのは、こうした医師の自殺率の高さは、結局「既遂率」の高さであることを喝破しているところにある。彼らはいったん死を決意すると、医学的知識を使って、確実に死に至る方法を取るのだ。薬物を手に入れやすい条件がさらにその可能性を高める。医師の自殺未遂というのは、むしろ希なことなのだそうだ。

一般に女性の自殺率が低いのは、要は未遂率が高い(米国統計では既遂率は15分の1〜10分の1だとのこと)からで、男性が取るような大胆な方法を女性たちが取りにくいのが主要な理由だというのだ。前に、うつ病は女性に多いことが示されているのに、自殺率が低いことについてちょっと触れたことがあり、社会的な要因を考える必要があるようなことを言っていたのだが、こういう点から見れば理由の一端は理解できるわけですな。

精神的な疾患でなくても、医者という連中は自分の病気を人に診せるのには抵抗があるもので、まして日頃の間抜けぶりを知っている人間に命をあずけるようなことは、死んだってやりたくもないものだ。まして自責やら不全感にさいなまれている状況で、他人の専門的意見を聞くようなことは少々困難であっても仕方がないかもしれない。

幸い、日本ではまだ医師の自殺というのはそう多いことではないので(医学生の自殺は多いけどね)、問題が深刻になる前に対策を検討する余裕があるといえるだろう。一番有効な方法は、利権たっぷり、責任逃れはやり放題という、昔ながらのおいしい地位を復活してもらうことかな。

うーん、柄にもなくNEJMなんぞから引用したから、ネタを交える余裕もないぞ。一応ニュースレターは取っているんだが、無料会員なので内容は勤務先の紙媒体の方から。

2005年6月23日  トイレ用標的ゲーム装置[アートとかグッズなど]

合衆国特許番号:6,908,392号。発案者:G.フリードマンその他。認可日2005年6月21日。特許名:「トイレ便器用標的ゲーム装置」。

概要:この発明は、大便あるいは小便を用いて、便器内の標的を狙うゲームを可能とするシステムの実現に直接的に関わるものである。標的ゲームは標的とそれを取り囲んでいる分割された周辺領域から構成されていて、標的が確実に便器内に位置するようになっている。発明の他の部分は、便器内に標的映像を映し出すプロジェクターシステムに関わるものである。

------
要は便器内の水面に標的映像を映し出し、それに向かってウンチやオシッコすることで得点を競うシステムということ。ウンチやオシッコがどこに着水したかの情報は、便器内に金属グリッドを置いて検知するらしい。よくイメージがつかめない人は、特許出願書に添付された、無茶苦茶おざなりな説明画像を参考にされたい。

なんでトイレの中で、ウンチやオシッコを使ってまでゲームしたいんだよ、そんな事していたらゲーム脳どころか、ゲーム尻やゲームチンチンになっちまうぞと思ってしまうのだが、発案者はどうも、子供に対するトイレットトレーニングを目的にしているようである。それにしても、センサーグリッドはウンチまみれになると思いますがなぁ。向こうの人は水で流す程度でも、不潔感なんか感じないのかもしれんけど。

2005年6月22日  ライオン、誘拐された少女を救う[ニュース]

アジス・アベバ発AP>エチオピア警察の発表によると、強制的な結婚目的で誘拐された12歳の少女が、3匹のライオンによって助けられた。ライオンたちは犯人を放逐した後、警察や少女の親族が救出に来るまで彼女を守っていたという。

「犯人たちは少女を7日間にわたって監禁し、繰り返し暴力をふるっていた。ライオンは犯人を追い払い、家族や警察がやってくるまで半日の間彼女を警護していたんだ」、現地の警察官、ウォンディム・ウェダジョ巡査部長は、電話取材にそう答えている。

「ライオンたちは私たちが来るまでの間彼女を守りつづけ、それから彼女を贈り物みたいにそこに残すと、森の中に消えていった」、「ライオンが雄だったか雌だったか、よくわからない」、「もしライオンが救いに来なければ、事態は最悪だったろう。誘拐された少女たちは繰り返し暴行されることで、意に沿わぬ結婚を受け入れてしまうものだから」。「誰だってこれはある種の奇跡だと思う。ふつう、ライオンは人を襲うものだからね」、ウェダジョ部長はそう付け加えた。救出劇があったのは6月9日であったが、それが伝わるのには少々時間がかかった。

野生動物の専門家によれば、誘拐された少女が暴行を受けてすすり泣いていたことが助かった理由だとのことだ。「その泣き声が子ライオンの鳴き声に聞こえたんだろうね。少女がライオンに食べられなかったののも、同じ理由だと思うよ。そうでなきゃ、普通は食べられちゃってるよ」。警察発表では、少女は4人同朋の末子で、強いショックを受けて怯えており、現在暴行でうけた傷を治療中だという。容疑者4人がこの事件で逮捕され、さらに3人が手配中である。

エチオピアでは誘拐が結婚制度の一部を形成しており、恥ずべき暴力と悲しみの伝統が続いてきた。国連の調査によれば、エチオピア人口の大部分が住む農村地帯での結婚の70%は、拉致によるものと見積もられている。
---------引用以上。

ライオンの性質に言及して合理的説明がされているとはいうものの、いささか"Too good to be true"の香りがしないでもないニュースである。ライオンはともかく、いまだに略奪結婚がまかり通るというのは、二日前のアマルティア・センの学説を裏打ちするような話である。てなわけで、オチも今ひとつ考えつきません。

なお、記事の引用以降の部分は、国家の象徴でもあるのに、密猟によってエチオピアの野生ライオンは1000頭以下になってしまったというもの。「だめになってしまった王国」の悲しい現実ですなぁ。どっかの国も、こんな風にダメになっていくんだろうか。

2005年6月21日  これはチーズか体臭か[医学・科学関連]

オックスフォード大学実験心理学教室が行った、いかにもイギリス人っぽい実験の報告論文(PDF)。臭覚という要素的な知覚体験が、言語イメージによってその認知的な意味合いまで左右される、ということを確かめるもの。

オックスフォード大学のイワン・アラウジョとその同僚たちは、汚れた靴下の臭いの成分であるイソ吉草酸と、普通の空気の検体を二つずつ用意し、それらに「チェダーチーズ」、「体臭」というラベルをつけて12人の男性被検者(23~35才、すべて右利き)に8秒間嗅いでもらい、その快・不快の印象を5段階に評価させた。コントロールとして、スミレの花の香料として使われるαーイオノンと、界面活性剤であるオクタノールにそれぞれ、スミレ、焦げたプラスチックというラベルを張って嗅いだ結果との比較を行った。

その結果、イソ吉草酸であろうと、普通の空気であろうと、「チェダーチーズ」と「体臭」とラベルされた検体では、後者のほうを不快と評価した被検者のほうが、統計的にも優位に多かったのである。被検者たちは単に主観的な評価をするだけにとどまらず、ファンクショナルMRIによって検体を嗅いだときの脳活動も記録されたが、やはりコントロールで示された快/不快判断と同じ脳部位の活性化パターンが見られたのであった。

大概の人間は、これはチーズだよといわれると、履き古しの靴下の臭いもありがたがるものだ、ということを示した実に意地の悪い実験である。シャンパンと紅茶以外について、味にうるさいことを言わないことにした、イギリス人の自己正当化みたいな実験といえよう(名前はじぇんじぇん英国人ぽくないけど)。

言語イメージが知覚を歪めるメカニズムについては、昔から有名な研究があって、特にワインのティスティングを例にした有名論文がある。前から解説しようと思っているんだが、結構ややこしいので放り出したまま。こちらの方はfMRIまで使っている割には、主張が簡略なので取っつきやすかった。ウンチク用にはワインのほうが圧倒的に有用なので、そのうち紹介して見ますね。

Ivan E. de Araujo et al. "Cognitive Modulation of Olfactory Processing";Neuron. Volume 46, Issue 4 , 19 May 2005, Pages 671-679.

2005年6月20日  喪われた女性たち-貧困か?ウイルスか?[医学・科学関連]

ベンガル出身のインド人経済学者、アマルティア・センという人がいるそうである。経済効率や成果というものを追求する現代経済学には距離を置き、個人の自由と倫理道徳の達成を主眼にした経済を提唱しているという。世にはよく知られているようで、98年にはノーベル経済学賞を受賞している。当然、私はこの人の名を聞くのは初めて。この歳になっても、世の中知らんことばっかりですわ。

この人が提起した、「喪われた女性たち」(Missing Women)という問題があるそうである。アジアでは女性人口が男性に比べて著しく少なく、その差は性差別による嬰児殺害、不作為の育児放棄や虐待に帰せられるというものである。一億人以上の女性がこれで消えたというのがセンの主張で、世界的にも大反響を呼んだそうである(私はまるで知らなんだが)。

そのセンの主張に、公衆衛生学とウイルス学の知見をたてに、真っ向から反論したのがこの論文、"Hepatitis B and the Case of the Missing Women"、ハーバード大学で経済学学位を目指して研究中の大学院生、Emily Osterによる草稿(PDF)である。

エスター院生は、B型肝炎ウイルスに感染した女性の男子出生率は優位に高く、生まれた女児の死亡率も高いことを示し、女性人口が少ないとされるアジアの国々では、ほぼその減少率はB型肝炎ウイルスの感染率と逆相関することを統計的に明らかにしている。その上で、アジアの国々で行われて来た対策の結果、B型肝炎ウイルス感染率が減少していて、同時に女性人口も上昇していることも示し、その主張の根拠を強化しているのである。

さてさて、ヒューマニズムをベースにした世界的学究の考察が正しいのか、即物的なウイルス説が正しいのか。そういう二者択一の問題ではないのか。エスター院生の論文が正式に公開され、侃々諤々の議論が起こるのを期待したいものである。

ところで、私は「B型肝炎ウイルスに感染した女性の男子出生率は高い」ということすら知らなんだなぁ。経済学なんぞ知らんですむが、自分の関連分野も怪しいのでは、かなり反省せにゃなりません。

2005年6月19日  「裸のゾロ」参上[ニュース]

zorro_s.jpgペンシルバニア州フィラデルフィアの郊外にあるドイレスタウンという街に、この一ヶ月というもの、奇妙な「ヒーロー」が出現しているという。先月21日、街の中心部の通りを、白いスニーカーと怪傑ゾロ風のマスクだけをつけ、あとはスッポンポンという格好の男が、歩いている女性に「俺はゾロだよ」と声をかけて走り去るというのがその発端であった。(この報道が一番わかりやすいが、読むには登録(無料)が必要)

その後、このゾロはあわせて13人の女性の前に現れた。彼は今のところ、女性の体に触れることもなく、声だけかけては素早く建物の陰に走り去るというパターンを守っているという。この6月6日には、少し離れた町に同じ格好の男が現れ、警察では模倣犯なのか同一犯なのか判断しかねているという。

この16日、地元警察は「裸のゾロ」の人相書きを発表した。それによると男は白人で25歳から30歳程度、やせ形で身長は173cm~180cm、少し癖のあるブロンドヘヤーで、薄い口ひげをたくわえているとのこと。

ドイレスタウンではこの「ニューヒーロー」の出現を記念して、さっそくTシャツを作って売ろうという人まで現れた。Tシャツ前部には「裸のゾロの故郷」、背中には「本物のゾロは立ち上がってくれるのか?」と書いてあるという。

地元警察は、「今まで人を傷つけていないことや、その格好から彼をエンターティナー扱いする向きもあるようだが、そんな笑い事ではすまされない。この男は正真正銘の犯罪者であり、一刻も早く裁きを受けさせる必要がある。この男を発見した人は、自分で立ち向かおうとか、親しく話し合おうなどと思わず、即刻警察を呼んでほしい」と訴えている。

ゾロの似顔絵だが、こちらのサイトのほうがちょっとアントニオ・バンデラス風でいい男っぽい。縦横の比率が違うだけだけど。最後の"No description of his sword was given."(彼の剣についての記述はない)というラインがちょっと決まっていますかな。

Posted at 22:13 | トラックバック (0)

2005年6月18日  「保存版 ”うつ”に負けない」[本とか映画とかTVとか舞台とか]

することもない土曜の午後に、ぼんやりとTVをザッピングしていたら、NHK教育で「ETVワイド ともに生きる」という再放送があって、「保存版”うつ”に負けない」という総集編をやっていた。コメンテーターが顔見知りであった(向こうは多分覚えていないが)こともあって、しばらくは真面目に見ていたが、そのうちうたた寝してしまい、気がつけば「お母さんといっしょ」になっていたのであった。

そんなわけで、内容はいまになってウェブ経由で確認しているような訳なんだけど、まあそこそこリーゾナブルなことが告げられているというべきなのだろう。ひとつだけ正直ではないことがあるとすれば、うつ病というものに対して、オーソドックスな精神科医はそれほど真摯に対応してくれるわけではない、という周知の事実をはっきり示していないことだと思う。

こういったマスコミ啓蒙番組でかならず言われることは、「うつ病は適切に治療すればかならず治る」ということである。その一方でここまで啓蒙が必要と言うことは、「適切な治療」というものが必ずしも得られないと言うことであろう。今日の保存版を見ても、患者の側が治療を拒否することとか、周囲の人間は正しい対応をしないことがうつ病の回復がうまく得られないことの理由であるような色づけがされていた。その一方で、医療がちゃんとした説明をしないことがその根本原因であるようにいうのも、マスコミとしては譲れない点であるようだ。

実際、呼ばれているうつ病経験者の芸能人のコメンテーターからして、10年以上すっきりしないまま治療を受けていた人なのだ。なーんも「かならず治る」例になってないじゃないか。彼の治療がどう不適切であったかを、じっくり検証するほうが世の人のためになるとおもいますがなあ。

一般向け啓蒙番組でこういうぐらいなのだから、医者の側ではうつ病というのは今の医療レベルではほぼ制圧されているつもりなのだ。薬物(主要にはSSRI)をちゃんと投与すれば、ほとんどのうつ病は3ヶ月ほどで治るが、まれには2年たってもクスブルこともある程度の疾患だと思っているわけ。ちゃんとした説明をして、患者側にそれなりの対応を覚悟させ、周囲の人に理解をもとめてあえて悪化させるようことさえしなければかならず治るのに、そのあたりがわからんアホが多くて困りますなぁ、というのが公式的意見になっている。

でも、そんなことが嘘っぱちなのは、ネットにあふれるうつ病者自身によるブログやサイトを読めば一発で判る。そういう具体的例を見る限り、彼らは医師の指示を気持ち悪いぐらいにちゃんと守り、周囲の人も過剰なまでに配慮して対応しながらも、さっぱり治りもせずに自己憐憫をつのらせ続けているのである。

その原因として何があるのか、というのを考えると正直言ってよくわからない。分裂病という、治療的使命感をもってあたると手ひどく敗北感に浸ることになる疾患を相手にしている多くの精神科医は、うつ病なんてタルイ疾患に真面目にやってられるかよ、と思っているところもあるのだ。総じて、彼ら(といって自分もそうなんだけど)は「まともなことを言う人に弱い」のである。

彼らにはまともで、かつ自己主張の強い人にたいして、「こいつはボーダーラインだ」といって逃げる道があるほどである。ちょっと訳のわからんことを言い出す人には対応できない一般身体科医と、患者から発せられるごく普通の人間的尊厳を求める主張を理解できない精神科医の解離が、日常的な医療でどう統合できるのか、私にはよくわからない。結局個々の医師の能力に帰せられることなのか、もっとちゃんとした方法論(バリントとかバイツゼッカーとか、たたき台理論は山ほどあると思うけど)を学ぶように強いるべきなのか、ちょっと判断停止するしかない。

途中で寝てしまったのには、その辺の突き詰めの甘さが目についたことが大きい。少なくとも、キューブラー・ロスの妙な改竄をもって、家族の対応への指針にする(それ自体は決して間違っていないが)ような自助団体に対して、プロが何にもコメントしないのはいけません。うつ病が遷延する最大の理由は、本人の不適切な治療態度でもなければ家族の無理解でもなく、ましてや職場の不適切対応でもない。それは単に治療自体の不適切さが第一なのだ、ということを主張しないかぎり、すべては無意味なのだから。

2005年6月17日  牛生殖器官触感シミュレーター[医学・科学関連]

cow_simulator_s.jpgまたもAnnals of Improbable Researchサイトからの情報で心苦しいのだけれど、様々に突っ込みしたくなる物件だったので思わず紹介。

ブリストル大学で獣医学を学び、獣医として働きつつ、ロイヤル大学で家畜産科学の研究を続けていたサラ・ベイリー研究生は、2001年、グラスゴー大学のコンピューター科学教室で、医学分野での情報工学の研究を始める。彼女のテーマは、獣医学を学ぶ学生に、牛の生殖器官の触診を学ぶためのシミュレーターを提供することだった。

試行錯誤の末完成した彼女のシミュレーターは、2003年の英国家畜医科学会で発表された。これはグラスファイバー製の牛の下半身(というのかねぇ?)の形をしており、生殖器官と骨盤辺縁部が模型で再現されている。

それらの模型にはセンサーが仕込まれているらしく、学生の触診手技が傍らのPC画面に映し出されるようになっており、教官はその手技の習熟の判定を容易に行うことが出来るというもの。これを使うことで、いろいろなケースを安全に体験でき、動物にとって危険な侵襲のある手技も適切に教育できるというふれこみである。

そういえば、産科学の実習のはじめの方で、マネキンの胴体みたいなところから、赤ん坊の人形を取り出すようなことをやった、かすかな記憶がありますな。しかし、それにPCがついたら、何かメリットあるのかいな。牛の胴体はがらんどうみたいだし、教官が中をのぞいていれば、ちゃんとした操作をやってるかどうか、一目瞭然のような。

流し読みした限りでは、様々な状況がヴァーチャルに設定できるようなコトが書いてあるんだが、触覚とのインターフェースはどうやっているんだろう。PCで設定した妊娠状況が、触ってわかるように再現されるならすごいと思うんだが、どうもその辺はあまり詳しく書いていないんですな。なんか、読み落としているのか、それこそがこの大発明のゆえんで、うかうかとウェブなんぞに載せてられないところなのかも。

2005年6月16日  医学的ビッグ・バン研究[医学・科学関連]

イグ・ノーベル賞を主催しているAnnals of Improbable Researchのコラムに、ビッグ・バン理論(医学版)と題して、外科手術中に体内ガスが爆発した症例についてのガーディアンの記事が紹介されていた。確かに、この話は学生時代に聞いたことがあるし、啓蒙的解説のマクラに使われたりすることはあるのだが、具体的な例というのは確かめたことがなかった。ガーディアンで紹介された論文集のうち、全文が読めるものがあったので、何かの役に立つかもと読んでみた。これはBMJの卒後研修生向け雑誌、Postgraduate Medical Journal の2002年版に公開されたものである。

「腹腔内遊離ガス:高周波メスにとっての最後の危険」

手術室の火災や爆発というものは希ではあるが、機材や人命に対して破滅的な影響を持つものでもある。可燃物、酸素、そして発火元が爆発を起こす三要素である。腸管穿孔の緊急開腹術の際に起こった爆発事故は今まで報告されたことがなかった。我々はここに、胃穿孔から漏出した可燃ガスと、心肺救命処置の際使用した酸素が遊離ガスの形で腹腔内にのこり、高周波メスが発火源となり、患者を死に至らしめた例の報告を行いたい。

症例:77歳の女性が突然起こった上腹部痛と嘔気のため、救急外来を受診した。彼女の腹部は膨満し、強い抵抗が認められた。腸雑音は消失しており、腹部腫瘤も触知されなかった。末梢循環は悪く、予後不良が伺われた。胸腹部X線写真は横隔膜下に遊離ガスをしめし、胸部には腸管の累積像が見られた。これは拘約性の横隔膜ヘルニアの存在と、腸管の穿孔を示している。血液検査には大きな変化はなかったが、動脈血は高度の代謝性アシドーシス所見を呈していた。

彼女は救急室で心室細動を起こし、心肺停止となったため、カウンターショックを含む蘇生処置が行われ、30分後、心調律は回復した。彼女はそのまま胃穿孔治療のため、手術室に運ばれ、麻酔と純酸素による換気の元、開腹術が始まった。皮膚正中切開の後、深部を高周波メスで切開していたとき、突然閃光を伴う爆発が起こった。外科医は一瞬視力を失い、眉毛と睫毛を焦がしたが、それ以上の外傷は負わなかった。

爆発の後、患者の血圧は低下し、著しい不整を伴う徐脈に陥ったが、アドレナリン投与によって血圧は回復した。腹部はガスが放出されたために平坦化していた。開腹術は進められたが左の横隔膜には大きな裂傷が生じ、肋骨付着部にも激しい傷害が見られた。脾臓表面にもいくつかの大きな傷が生じ、腹壁筋層にも裂傷が何カ所か生じており、すべてが爆発によるものと考えられた。

それらの傷の修復、および本来の裂孔ヘルニア修復や胃穿孔の閉鎖術が行われ、傷害された脾臓も摘出された。術創の縫合の前には、胸腹腔内に数本のドレーンが留置された。術後、患者は強いアシドーシスを呈し、血圧低下が続き、無尿となって3時間後に死亡した。(以上、経過のみをかなり抄訳)

いったんやり出したことを放り出すわけにはいかないとはいえ、外科医というのは几帳面な人たちだといささか感心する。私ならはじめの時点で、家族へのムンテラの文句を考えるだけでしょうな。腸内ガスが手術中に爆発するのはほとんど直腸ガス、つまりオナラの場合らしいんだけど、これは胃から漏れたガスが爆発したという珍しいケース。長期にわたって胃内の消化物停留があって、発酵した可燃ガスが溜まっていたと言うことなんだろうか。

いかに奇妙なことであれ、起こりえることは起こるという例。そんなことを言うと、膣痙攣みたいな脳内現象まで擁護するヒトがまた出てきそうだけど。不運が重なった患者さんは本当にお気の毒でした。しかし、術前に胃管は入れてなかったのかな?


A R Dhebri and S E Afify. "Free gas in the peritoneal cavity: the final hazard of diathermy":Postgraduate Medical Journal 2002;78:496-497

別館の方も更新。

2005年6月15日  Musical Baton[PC・MT]

img150_musicalbaton.gif私生活上でもネット上でも、友人とか懇意にしている知り合いというものが極端に少ないことで定評のある私に、麻酔科学の世界的権威であるスミルノフ教授からミュージカル・バトンなるものを渡される。まことに光栄かつ面映ゆい事態であり、この重責を如何に果たさんものかと朝から緊張気味である。以下、フォーマットがあるみたいなので、それを利用させていただく。

■Total volume of music on my computer:

自宅や二つの職場に散在しているPCやMacのファイルを足すと、約35GBほど。これを全部納めるために40GのiPodを買ったほどで。CDから移したのもあるけど、結構ネットから落としたものも多い。HDDクラッシュでジャックスの「からっぽの世界」を失ったときは泣きました。

■The last CD I bought:

The lastと言ったって、ここ2年の話なんだけど。ロシアの怪しいサイトから落としたのは、買ったうちには入らんかしら?
  • Russell Watson · The Voice
  • 小林万里子:ファースト・アルバム
  • IZZY [ENHANCED]
  • ■Song playing right now:

  • John Mayall:Hard Day's Night  仕事がちょっとキツイ日は、これ聞くといい加減な気分に戻れる。
  • ■Five songs I listen to a lot, or that mean a lot to me:

  • バッハ:ゴールドベルク変奏曲 悪だくみするときはこれ。
  • ショスタコービッチ:交響曲5番「革命」 関西人には「部長刑事のテーマ」として知られる。
  • Santana:Europa 結局行き着くところは演歌です。
  • 小林万里子:すんまへんのブルース 人生における基本的態度を知る。
  • Bette Midler:The Rose ベットで淫らな人なのか、と思ってました。
  • ■Five people to whom I’m passing the baton:

    うーむ、これが一番の難問。知り合いおらんし。というわけで、スミルノフ教授にならって、根回し無しの勝手リンク。相手にしてもらえるかどうかは知らん。
  • Letter from Yochomachi Boris Vianはちゃんと取っておきました。
  • 徘徊老人-LOG あの…、出来れば自作曲以外で…
  • 躁的防衛の日々 同業者ということで。どうもご実家が近くらしいし。
  • 塩かりんとうブギ ミュージシャンの立場でよろしく。
  • For How Much longer Do We Tolerate Mass Murder? 絶滅近いオーディオマニアの視点を期待。
  • Posted at 20:54 | トラックバック (0)

    2005年6月14日  トーキョーは切り札を切る準備完了…[ニュース]

    ネタ探しのサイト巡回をしていたら、こんな記事を見つけた。「トーキョーは切り札を切る準備完了」"Tokyo is ready to play his trump card..."、南アフリカのニュースサイト、IOLの記事である。海外からの視点で報じられる日本関連のニュースというのは結構面白いので、ヒマなこともあって流し読み。

    --------

    Posted at 23:21 | トラックバック (0)

    2005年6月13日  アイス・スパイクはなぜ出来るのか?[医学・科学関連]

    icespike_s.jpgイグ・ノーベル賞サイトより。
    雪の結晶造形の妙を教えてくれる科学啓蒙サイト、Snowcristals.comの1コーナーにあった記事
    --------------
    アイス・スパイクとは何か?

    アイス・スパイクとは、冷蔵庫の製氷皿で、時に形成される奇妙な釘状の氷のことです。冷蔵庫の中で見られる奇妙な物資の中でも、これは氷そのものであるという点が特徴です。アイス・スパイクは生物学的なものではなく、物理学的な原理で形成されるものなのです。

    --------------
    以下、記事はアイス・スパイクが出来る原理を説明する。製氷皿の中で氷が出来ていくとき、まず周りから凍っていくので、内部に閉じこめられたまだ凍っていない水は、表面に飛び出していき、そこで氷の堆積をつくるのだ。だからこんな氷が釘のように飛び出した構造になるのだと。この模式図を参照されれば、判りやすいであろう。

    なるほど、そんな機序であんな面白い氷ができるのかと納得しようとして、ふと考え込んでしまう。あんな釘状氷なんて、今まで一度も見たことないぞ。元記事には製氷皿の表面に、ボコボコとスパイクが飛び出している製氷皿の写真がいっぱい写っているんだけれど、誰か日本国内であんな風になっている冷蔵庫の製氷皿を目撃した人います?

    なんでこれを見たことがないのか、その理由を考えようと、結構まじめに記事とその元になった論文(PDF)を読んでみるのだが、どうも理由は日本とアメリカの水道水の水質の違いと、冷蔵庫の温度設定の問題であるようだ。

    簡単に言ってしまえば、日本の水道水は塩分濃度が高いのである。アイススパイク記事によれば、これが出来る確率は水の塩分濃度に反比例するとのことだ。何しろ、一番出来やすいのは蒸留水を使った場合だというのだ。普通の水道水であっても、アメリカの水道水は日本のそれと桁違いに低い塩分濃度であるらしい。(ざっと調べた限りでは、千葉県の水道局サイトが「ナトリウム化合物」の濃度を発表していたので、それを論拠にしているが、一般的にそういえるかどうかは不明)

    それともう一つの理由は、日本の冷蔵庫の製氷器は向こうよりも低温に設定されているらしいことである。ざっと日本の冷蔵庫メーカーの冷凍庫温度を調べてみると、大体マイナス18℃ぐらいになっていて、製氷器もそこに置かれる設計になっている場合が多いようである。その点、アイス・スパイク記事によれば、一番スパイク形成の確率が高いのはマイナス7~8℃というところらしい。

    私らが子供の頃、アメリカのホームドラマを見ていて一番憧れたのが、キッチンに置いてあったでかい冷蔵庫であった。ガキが帰ってきて、そこからビックリするほど大きな牛乳瓶を取り出してグビグビ飲んだりしやがるのですわ。鬼畜米英許すまじ、いつか目にモノ見せてやると、当時の日本人はみな思ったものだ(かなり小さいサンプルからそういってるので、一般化は出来ないと思うけど)。

    落ちぶれたりとはいえ、アメリカではなお冷蔵庫で氷を作るのにも、透明になるようにゆっくりと製氷されるような余裕をかませるらしいのである。ええい、軍事力をバックに一国利害ばっかり追求しやがって、こうなれば一億火の玉となって独善的グローバリズムに抗してやるのだと、関係もない科学啓蒙サイトを前に、意味なく右翼チックに盛り上がるのであった。

    Posted at 23:08 | トラックバック (2)

    2005年6月12日  蘇我入鹿、暗殺される[今日は何の日]

    西暦645年の今日、飛鳥板蓋宮において中大兄皇子や中臣鎌足(後の藤原鎌足)たちにより、蘇我入鹿が暗殺される。いわゆる「大化の改新」の始まりとされる事件である。それまで蘇我氏は大和王権の担い手であり、初期の天皇制は早い話がこの一族が構成していた。日本書紀で「鞍作り」なんて差別的な呼ばれ方をすることでもわかるように、彼らは大陸からやってきて日本原住民を征服した天孫族=騎馬民族、崇神朝以降の初期王権勢力そのものであったのである。

    日本原住民はもっぱら海洋系のルートで日本に到来して、神武・綏靖…と神話化される天の朝という王朝を作り上げていたが、後からやってきた蘇我氏=崇神朝は原住民たちを征服したのち、この天の朝王権を根絶やしにするのではなく、自らの傀儡支配体制としてそのまま利用する。反抗を続ける被征服民には徹底した弾圧をする一方、彼らの奉じる政治権威に自分たちが巧みに同化する方法をとったのである。

    この体制がほぼ確立した7世紀、蘇我氏よりは遅れてやってきた渡来人集団=後の藤原氏によって、密かに権力簒奪の計画は進む。それが着手されたのが1360年前の今日、と言うわけ。このクーデターによって、かっての日本原住民と同じ立場になった蘇我氏の末裔たちは、やがて蘇我一族の権力が復活する日がくることを信じて、「蘇民将来」というお札をその家に掲げて再興を期したのであった。

    昔はまりまくった八切止夫の歴史観からすれば、大化の改新はおよそこういう話になるんだけど、こちらの方が学校で習う歴史よりよっぽど面白い。私は受験のために日本史を勉強するときも、全部こんな具合の裏歴史で理解するようにしていたが、実に能率が上がったものだった。記述問題で、たまに裏理解の方を書いてしまって、真面目な教師に不審がられることがあったのが、欠点と言えば欠点。

    2005年6月11日  米国特許自己臀部蹴上器[アートとかグッズなど]

    buttkicker_s.gif合衆国特許6,293,874号。「自分自身のお尻を蹴り上げることが出来る自己アミューズメント機器」とのこと。

    その動作メカニズム自体は実に他愛ないものなので、これのどこに特許とされるアイディアがあるのかよくわからないのだが、これが認められるということは、特許というものはこの程度のものということであろうか。

    もしこの特許に不服のある人がいたら、杉浦茂の漫画の一コマでも証拠提出すれば充分、というような気がしないでもないものの。ホントにこんなので特許とって、なんかメリットあるのかしら。

    特許詳細はこちら。詳しく読んでも、やっぱどこに独創性があるのか判りません。

    こちらも時々更新しているのでよろしく。

    2005年6月10日  飛行機は5月と8月に落ちる?[都市伝説・デマ・トンデモ]

    どんな経緯で見つけたのか忘れてしまったのだが、このフィリピンのTV局が報じる国内記事が妙に気になってしまう。なんでもフィリピンではここ最近、飛行機事故が相次いでいて、3ヶ月の間に6件の事故がおこり、23人が死亡したのだそうだ。それも4件は5月に集中したという。「何故だかわからないか、何か不穏なパターンがあるんだな」、そう関係者は語っている。

    「なぜ飛行機事故は5月に起こるのか」という記事の表題にもかかわらず、この記事はその後一般的な航空事故の説明になってしまうが、私は日本の場合にも、こういう集中的連続パターンがあるのか調べてみたくなった。

    というわけで、こういうサイトを探し出し、簡単な集計をしてみる。ここは死傷者の有無にかかわらず、事故調査委員会の調査対象となったものをすべてひろってあり、対象は大型航空機からウルトラライトプレーン、ヘリやグライダーまでをも含む。ただし、エンジン付きパラグライダーは含まれていないようだ。あくまで操縦席を含む座席と、枠のある翼を持った飛行体というしばりのようだ(自信なし)。

    74年から05年までの30年間に、実に1159件の事故が起こっているのだが(私の集計では空中衝突は二件としているので、これより10数件多くなる)、これを月別発生数だけに注目してグラフ化したものがこれである(05年の記録は除外した)。一見して、8月と5月にピークが著明な夏期に偏った発生パターンを示していることがわかる。一番多いのは8月で、一番少ない12月と比べると、実に3倍である。

    はてさて、これはどのような理由によるものだろうか。一番考えやすいのは、8月や5月は休暇シーズンなので、空のトラフィックが増えるからというものだが、それでこんなに差がつくものだろうか。それに、事故のなかでは軽飛行機が占める率が一番高く、利用されるのにそんなに季節による差があるものだろうかとも思われる。

    ウルトラライトプレーンも含まれることから、あんな機体では冬なんか飛んでられないからだというのも次に考えるのだが、生データでは結構冬だってこれらの事故は起こっているのである。暑苦しくて判断力が鈍るとか、台風の影響とかの複合的要因ということなんですかね?

    こんな大雑把な集計で何かを言うことは出来ないとは思うものの、まことに謎の結果が得られて、いささか当惑するのであった。こりゃ、8月のフライトは控えておいた方がいいかな。

    2005年6月 9日  MTアップデート[PC・MT]

    今日はMTをつかっているサイトオーナーに、何ヶ月かに一回、シックス・アパート社が素敵なプレゼントを贈ってくれる日である。MT使いはこれのおかげで、少なくともその1日、ネタを考える必要がなくなるのである。前々から6月9日にアップデーター配布とアナウンスされていたのに、昼休みにシックス・アパートのダウンロードサイトを覗いてみても、まだ旧バージョンしか置いてなかったので愕然としたのだが、さすが天下のシックス・アパート、ちゃんと夜になったらプレゼントが用意されていた。これでツッコミやすいお茶目なポカでもあったら、誠にオイシイのだが、そこまでのサービス精神はないようで。

    ところで私はシックス・アパートというのは、ボロい六軒長屋みたいなところで起業したことを表現しているのだと思っていたら、「すぺての人は六人の知り合いを介してつながれている」という社会学理論から来ていたのですな。「友達の輪」って奴だ。この実験について、以前調べたことがあるのだが、まったく内容を覚えておらず、しかもどんなキーワードで検索したかも思い出せない。six apartではMT関連しか出てこんのだし。

    非常に気になってしまうのだが、最近のパフォーマンス低下状況を考えると、まあ、今日はアップデートだけでよしとしよう。

    2005年6月 8日  極東ブログ「フロリダのハリケーンが残していったもの」[都市伝説・デマ・トンデモ]

    論評系ブログの中でも、とりわけその冷静な視座と解析能力の鋭さが高く評価されている、かの「極東ブログ」にこんなエントリーがあった。

    「フロリダで時ならぬベイビー・ブームが起きている。短期で見ると出生率が倍増ということもあるというのだ。なにが起きたのか。時は十月十日(とつきとおか)前に遡る、というのは旧暦的な月齢換算。実際には280日くらい。米国ではナイン・マンス(九か月)と言われる。そ、そのベビーたちが受胎した時期だ。ハリケーンがフロリダを襲っていた」(一部段落改変)。

    ま、まさか、かのfinalvent氏に限って、これと同じことを主張されようと言うのではあるまいな、と我が目を疑ったのだが、コトはどうもその通りであるようなのだ。

    停電や自然災害などで、人が自宅に閉じこもらざるを得なくなった結果、10ヶ月後に時ならぬベビーブームが起こるというのは、昔から様々な形で語り継がれている伝説だ。1966年、ニューヨークで起こった大停電のあとにベビーブームがおこったとニューヨークタイムズが報道して、後追い報道やらで大騒ぎになったのはよく知られるところ。NYTは後に続く記事で実質的にはこの報道を訂正したのだが、公式的には誤報であるとは認めなかった。

    2年前の夏、NYとカナダの一部でおこった大停電の時も一部でこの伝説が引っ張り出されたが、さすがに冗談話以上のものにはならなかった。それを、今度はハリケーンをサカナにして性懲りもない報道があったのを、日本ブログ界屈指の教養と分析手腕が評価される極東ブログが後追いしているのだから、世の中わからんものである。

    finalvent氏によると、切り込み隊長ブログという有名どころがあるそうで、そこは少子化対策として意図的停電政策をおこなえと主張してるのだそうだ。そこも含めて、とても本気で言っているとは思えず、ネタという言葉も使われているので、最後にどかんとオチをかますつもりなのだろうと読んでいったのだが、そうではないらしい。沖縄の高出生率は台風の影響か、などと話は広がるので、やはりこの「災害によるベビーブーム」を、あらかた信じておられるらしい。

    多くの人に読まれ、熱い議論を提供する人気サイトというのは、要は人々の願望にうまく沿った神話抽出能力があるということなのだなと、えらく納得してしまった夕べであった。あ、悪口だとおもわれて、あそこの熱狂的ファン連中に爆撃されたらどうしよう(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル ((((。

    なお、このベビーブーム関連での当方の記事一覧は以下の通り。ほとんどパクリですけど。

    大停電とベビーブーム
    大雪でベビーブーム
    冬ごもりと生まれ月(沖縄って、高出生率とは思えんのですが……)
    生まれ月偏移問題再考(こりゃあんまり関係ないか)

    2005年6月 7日  アラン・チューリングの死[今日は何の日]

    コンピュータというものがまだ影も形もなかった1936年、、「チューリング・マシン」という思考実験上の仮想マシンを用いて、あらゆる論理命題を機械が処理しうることを証明しただけにとどまらず、その手続きでは解けない問題もあることを示し、別のルートでゲーデルの不完全性定理をも再証明したイギリスの数学者、アラン・チューリングが自ら死を選んだのが、51年前の今日、1954年の6月7日であった。

    彼は第二次世界大戦中、暗号解析コンピュータの作成プロジェクトに関わり、コロッサスという名の真空管コンピュータをつくり、それを用いてドイツのエニグマという暗号機械を解析することに成功した。普通、コンピュータの元祖は弾道シミュレーションのために作られたENIACとされるが、コロッサスはこれに2年以上先駆けるものであった。

    いわばチューリングは対ドイツ戦勝利を担った英国の英雄であったのだが、50年代初頭の、米国でのマッカーシー委員会の影響を受けた赤狩り旋風は同国にも押し寄せ、彼は同性愛者として1952年に告発されるに至る。当時、同性愛者は共産主義者=ソ連のスパイと同義語であったという。

    彼は1952年、裁判所に服役を選ぶか、エストロゲン注射によるホルモン治療を選ぶかという屈辱的選択を迫られ、保釈と引き替えに後者を選んだ。その二年後、彼は自宅で青酸カリを塗ったリンゴを食べ、自ら死を選んだ。享年、42。

    しかし、同性愛というものを疾患であり罪であるとする狭量さは置いておくとしても、それをホルモン療法で改善できるとした、当時の医学界は何を考えていたんでしょうかな。同性愛だからとエストロゲン投与するというのは、初歩的、表面的な所での論理整合性すらないような気が。

    精神疾患に関して、同じようなことを善意で無理強いしているようなアホは、今でもちらほら目につきますが。他山の医師、といえばちょっとおちゃらけすぎですか。

    2005年6月 6日  The Museum of Hoaxesより[都市伝説・デマ・トンデモ]

    非難めいたことを言われると、とことん同じ土俵で屁理屈を返さないと気が済まないという、人間のちっちゃさを全面展開することにして、今日もThe Museum of Hoaxesからの引用を。つまらんと思う人は、ここでオリジナリティあふれる所にでもジャンプして頂きたい。

    昨日のThe Museum of Hoaxesの記事に、例のANANOVAにのった「クロアチアの結婚式で膣けいれん」が取り上げられていた。ここの「膣けいれん」に関する姿勢は以前から一貫していて、" it's not very likely to be true"というもの。医学的な背景確認もしっかりしていて、"vaginismus"(膣痙)という疾患があることを認めつつ、それはまったく違う病態であるという、こちらでも昔書いたことがちゃんと指摘されている。

    そりゃ、客観的事実をちゃんとふまえれば、そういう主張になるのは当然のことで、ここの管理人がごく普通の論理思考能力を持っているという証明なのである。今回、The Museum of Hoaxes管理人は、1884年、不義関係のカップルが、行為を目撃されることによって女性器の痙攣をきたし、離れられなくなるという医学報告をおこなった、 Dr. Egerton Yorrick Davisの論文について論考している。

    これは近代臨床医学の父と言われる、サー・ウイリアム・オスラーのペンネームであることがすでに実証されている。彼は科学的な臨床医学研究のかたわら、このペンネームで冗談医学論文を書くことをライフワークにしていたのである。オスラー結節なんてのに、いまでも彼の名は残っているのだけれど、それだけでは満足できなかった人だったわけ。

    私も今までの「膣痙攣」解説ではそのあたりについてちゃんと書いたつもりなんだが、世の中には、「自分の先輩は違うことを言っていた」ということの方が実証性があると思う人のほうが多いんですな。ま、だからこそ「伝説」として語り継がれるわけなんだけど。

    というわけで、世の中には事実よりも幻想が重要だと思う人が多いので、同じような意図を持ったサイトのネタがかぶるのも仕方がないという、はなはだ都合のいい〆が本日の結論。少なくとも向こうはこちらをパクらないけどね。なんせ、日本語読めないし。

    2005年6月 5日  ニワトリが首つり自殺[ニュース]

    suicide_chicken_s.jpg去る5月17日、ロシアのサイト"Russia Makes It Funny"が報じたニュース。

    ツーラ地方の村にある農家で、一匹のニワトリが庭の垣根で首つり自殺した。この予期しがたい事件の目撃者は次のように語る。「うたた寝しとったら、女房が飛んできていうんじゃよ。『アンタ、ニワトリが家の境の垣根で首つったよ』って。何をいっとるんじゃと思って見に行くと、実にその通りだったんじゃな。どうもニワトリは垣根を跳び越えようと思ったらしいんじゃが、ちょっと力が足らなんだということじゃろう」。

    目撃者の息子によれば、そのニワトリは田舎の村で悲惨な暮らしを続けることに絶望して自ら死を選んだのだろうという。ニワトリはか弱く、敏感な生き物で、ストレスの多い生活をうまく乗り切れないことがあるそうだ。このロシアのニワトリは、生きる意志を失ったのだろう。

    なお、この気の毒なニワトリはそのままにされていたわけではなく、ちゃんと料理され、食卓に上った。
    -------
    以上"Russia Makes It Funny"からの引用。なお、このサイトは「ロシアが世界の他の国々とおなじユーモア感覚を持っているのかどうかを実証する」という目的で、もっぱらプラウダ紙に取り上げられたオモシロ記事を紹介するところなのだそうだ。

    オモシロサイトとはいえ、そこはロシア、この自殺ニワトリの記事一つとっても、ロシア伝統の生と死が織り込まれた、実に重厚なテーマを感じさせますなぁ。これで性の問題まで含まれていたら、ほとんどドストエフスキー。

    2005年6月 4日  カルパッチョ祭り雑感[日常・随想]

    カルパッチョなるハンドルネームの医師が開いていたサイト記事に対して、2chの住人が中心になって抗議行動祭りが展開されているんだそうで、私の所のBBSにまでその報告の片鱗が来るほどである。

    どこまで正しいのか知らないまでも、カルパッチョ氏は裕福な開業医の息子で、内科医ながら今は法医学の研究をしているのとこと。趣味は高級車の蒐集というか、買い換え。ボクシングのコミッションドクターもやっているという多趣味というか、多方面の活動で知られる方なのだという。

    大学の法医学教室に在籍して、年収2500万はなんぼ何でも無理ではないかと思うのだが、親が大金持ちでそこそこの操作をしてくれるならそれも可能かも知れない。私なんかとはまったく無関係な話で、クソッとは多少思うものの、貧乏人がそんなところで怒ってみても仕方ないので、それも前世の縁であろうと納得しようとするのであった。

    掲示板で紹介された彼への告発サイトには、彼の悪事なるものが様々に描かれているのだが、正直言って私にはあまり共感できるものはない。まあ、法医解剖の記念写真をアップしたなんてのは、かなりイカレタ行動だとは思いますがね。そんなイカレタ医師サイトって、他にも結構多いですぜ。マスコミの真似をして、他人が非難するから、安心してそう根拠もない非難をするなんてのは、あんまりほめられたことではないのでは。

    例えばマスコミがJR西日本の事故に関連して、まったく関係のないような職員の行動にまで、ほとんど言いがかりみたいな非難をしたことに批判的なネットワーカーは多かったが、このカルパッチョ批判に関わっているネットワーカーがやっているのはそれとまったく同じことである。マスコミを非難するのは簡単だけれど、それと同じことを自分たちがやっていることにも、かなり恥じ入ったほうがいいのではないでしょうかね。

    結局、横並びの同質性を求める談合体質や、セコイ世間の論理を押しつける厚かましさというのは、業界人もマスコミも、当然ネットワーカーも根強く持っているものなのだということを知らしめくれた「事件」といえる。とろい金持ちの息子が、資質もないのにインテリと見なされる連中に紛れて、つまらん自己宣伝していることなんか、放っておけばいいじゃないか。現にやってることがアホなら、アホとして扱っておけばいいのでは。

    え、おまえのサイトの扱いも決まったぞ、って?

    2005年6月 3日  検証:「結婚式で膣けいれん」[都市伝説・デマ・トンデモ]

    掲示板で教えてもらったBlog記事、「結婚式の最中にセックスし膣けいれん しかし相手は…」があちこちで取り上げられているようだ(たとえばここ)。「カップルが離れなくなるような『膣けいれん』は存在しない」という主張を一貫して続けている私としては、やはり何らかの反応を示しておいた方がよかろうと、暇を見つけて大検索大会である。

    まず、先の記事の引用先であるANANOVAを確認する。ここの記事は先の引用先がほぼ忠実に訳出していて、新たな情報はない。私もネタ切れの時、ここはよくお世話になるのだが、ここの記事は基本的に日時の記述がないことが多い。5W+1Hなんぞクソ食らえなのである。場所もかなり曖昧であることが多いが、これに関してはクロアチアのVarazdinと明記してある。これはVaraždin(ヴァラジュディン)を簡単に表記したようだ。

    私が全く知らない言語で書かれた記事を検索するときは、いつも地名を頼りにするのだが、今回もそれに習い、ANANOVAが引用したというクロアチアの大手新聞"Slobodna Dalmacija"のアーカイブをその地名で検索してみた。すると158の記事が引っかかってきたので(ただし、2005年だけを対象)、それをざっと眺めて「結婚式で……」の記事と思われるものを探し出すことにし、小1時間かけて調べたのだが、それらしいものは見つからなかった。

    クロアチア語なんかなんもわからん癖に、その記事がなかったと言い切れるのかと反論されるかもしれないが、なんぼ知らん言葉とはいえヨーロッパ語の仲間、kulturというのは文化欄だろうし、ekonomijaは経済記事だろう。Minstra何とかがどうした、と書いてあれば政治記事だと知れる。写真がついている記事も多いし、案外、内容は推察できるものなのである。もちろん、見逃した可能性もあるけれど。

    他にANANOVAの記事から語句を拾い出し、英語検索をしてみるが、これを取り上げているのはほとんどがANANOVAの記事丸コピペであった。そうでないのはただ一件、南アフリカのニュースサイトIOLだけだった。ここも私がパクリに時々つかうところなのが、ちょっと悲しい。表現は多少違うものの、内容はANANOVAと同じで、別のソースを持っているとは思えないものだった。

    都市伝説の定義に、"Too Good To Be True"というものがある。話があんまりにも出来すぎていて、ホントのことであるわけがない、というほどの意味である。このクロアチアの膣けいれん記事も、その典型とおもえる。まず、この膣けいれん伝説にはパターンがあのだが、このヴァージョンはそれを忠実に踏襲している。

    膣けいれんで離れられなくなるカップルは、まず(1)不義の関係である。(2)驚愕させられてけいれんが起こる。(3)そのため不義が露見し、当事者はペナルティを受ける。以上の要素を必ず持ち、これは初めて公式的に報告された時から(といっても冗談記事なんだけど)、ずっと守られている伝統なのである。詳しくはこちらでも参照して頂きたい。

    そんなわけで、これはANANOVA自身がでっち上げたか、釣られて書いた記事であると私は確信している。だいたいね、あの部分の特異性にそれほど詳しいわけではないが、他の部分にしたって「びっくりして痙攣した」なんてこと経験した人いるか?脱水とか、疲労とか、循環不全なんかは筋痙攣の原因になっても、程度の悪いヒステリーでもあるまいし、驚愕が原因の部分痙攣なんて医学的にありえんじゃないか。

    まして、骨もなく、歯が生えている訳でもないあの部分に、どうやってくわえ込まれて離れられないなんてことがあるだろう。性というものの奥底には、なお人知を離れた神秘が隠されているのだと思いたい、厨房妄想がすべての源だ、なんて言ったら怒る人がいるかな?

    2005年6月 2日  同一車飲酒運転世界未公認記録[ニュース]

    昨年7月15日、オーストラリア西北部の小さな町、クヌヌルーラの新聞「キンバリー・エコー」が報じた記事。
    -------
    これは世界記録は怪しいにしても、オーストラリア記録は間違いのない同一車による飲酒運転違反のケースである。7月5日の午後9時20分から7月8日の午前12時40分までの間、銀色のミツビシ・マグナ・ステーションワゴンは12回に渡って停止を命じられ、その都度、運転者は酔っぱらい運転で検挙された。それも1人ではない、実に10人の運転者で、そのうちの2人は2回検挙されていた。

    51時間に及ぶ物語は、7月5日午後9時20分、エリスリナ通りで36歳の女性が停止を命じられ、1.51%の血中アルコール濃度を示したところから始まった。10時55分には同じ車を運転していた23歳の男性がスピアグラス通りで止められ、2.05%のアルコール濃度を呈した。彼はまた無免許でもあった。1時間55分後、その車はまたも停止を命じられ、運転していた22歳の女性は1.20%の呼気アルコールを示した。

    警察官はその車を正式な持ち主のところに戻したが、数分後、その車がウィーバープレイン通りを走っているところが発見された。車はバリントニア通りの一軒の家にとまり、一人の女性が走り出てきた。警察官に止められた女性は呼気テストを拒否し、再び走り去ろうとした。もみ合いの中で警官は指を噛まれたため、女性はペッパーガスで制圧された。26歳のその女性は、アルコールテストを拒否した罪、無免許運転、公務執行妨害罪に問われることになった。なお、彼女のアルコール濃度は1.5%であった。

    その後しばらく、その車は静かな時を過ごしたが、翌朝8時30分、1.77%のアルコール濃度を示す23歳の無免許運転男を乗せて停止を命じられることになる。警察官がその男を警察署に連れて行くと、またもやその車が無免許の25歳の男を乗せて、メスメート街を走っているのを発見する。彼の呼気アルコール濃度は1.61%であった。警官は登録者の所に車を戻し、誰にも運転させぬようにきつく言い渡すが、10時30分にはその車はメスメート街に戻っていた。

    無免許運転の36歳の女性は、警察官に偽名をつげ、アルコール濃度1.86%を示した。12時50分、車は28歳の無免許男を乗せてバリントニア通りに舞い戻りる。その男は17時間前に刑務所から仮釈放されたばかりだったが、ちゃんと1.80%のアルコール濃度を呈していた。警官はその困った車に運転防止装置をつけたが、署に帰り着く前に、コンカーベリー通りで見慣れた車を発見することになる。アイアンワード通りで車を止めると、運転していたのは昨夜検挙した23歳の男であった。彼はいまだに1.89%のアルコール濃度を維持していた。

    午後6時30分、車はカジュアリーナドライブに34歳の無免許女性を乗せて登場し、彼女は1.73%をしめした。車はまたも持ち主に戻されるが、7時15分にはビクトリア・ハイウェイに24歳の無免許運転男を乗せて現れ、飲んだばかりというその男は2.21%という高濃度を呈していた。そして翌日の午前12時40分、29歳の男性がこの物語最後のドライバーとしてスピアグラス通りに登場し、1.1%の記録を残した。

    警察当局者はこのような場合、素面で責任が持てる人間が受け取りに来るまで、車は没収されることになると述べた。今後、違反を犯した車はすべて没収され、警察署に預けられる。子供がシートベルトをしていないような場合でも、他の乗員や歩行者に危険があろうとなかろうと、違反として検挙されれば例外ではないと警告した。「車の持ち主は責任を負うべきで、それが出来ないなら車は失うことになる」。この週、クヌヌーラでは16件の飲酒運転が摘発されたが、このマグナはそのうち12件を占めた。
    --------

    Posted at 23:40 | トラックバック (0)

    2005年6月 1日  BBSのアクセス制限について[PC・MT]

    BBSへのしつこい宣伝書き込みを気がつくたびに削除するのにもいい加減アキがきたので、数日前からかなり細かな制限が出来るプラグインをCGIに入れています。

    デフォルトの設定条件ではプロキシを全部はねるようになっていたので、当初、アクセスできなかった人もいたようです。かなり細かな制限とはいえ、ダイアルアップの場合、アクセスポイントレベルで制限していますので、たまたま常習宣伝書き込み者とおなじ界隈からアクセスする人には迷惑をかける可能性があります。もし、いつアクセスしても404になる人がいたら、それは制限のためだとご理解ください。

    その場合、対処法がないではないので、メールをいただければ検討いたします。
    --------

    Posted at 23:43 | トラックバック (0)