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2005年06月21日  これはチーズか体臭か [医学・科学関連]

オックスフォード大学実験心理学教室が行った、いかにもイギリス人っぽい実験の報告論文(PDF)。臭覚という要素的な知覚体験が、言語イメージによってその認知的な意味合いまで左右される、ということを確かめるもの。

オックスフォード大学のイワン・アラウジョとその同僚たちは、汚れた靴下の臭いの成分であるイソ吉草酸と、普通の空気の検体を二つずつ用意し、それらに「チェダーチーズ」、「体臭」というラベルをつけて12人の男性被検者(23~35才、すべて右利き)に8秒間嗅いでもらい、その快・不快の印象を5段階に評価させた。コントロールとして、スミレの花の香料として使われるαーイオノンと、界面活性剤であるオクタノールにそれぞれ、スミレ、焦げたプラスチックというラベルを張って嗅いだ結果との比較を行った。

その結果、イソ吉草酸であろうと、普通の空気であろうと、「チェダーチーズ」と「体臭」とラベルされた検体では、後者のほうを不快と評価した被検者のほうが、統計的にも優位に多かったのである。被検者たちは単に主観的な評価をするだけにとどまらず、ファンクショナルMRIによって検体を嗅いだときの脳活動も記録されたが、やはりコントロールで示された快/不快判断と同じ脳部位の活性化パターンが見られたのであった。

大概の人間は、これはチーズだよといわれると、履き古しの靴下の臭いもありがたがるものだ、ということを示した実に意地の悪い実験である。シャンパンと紅茶以外について、味にうるさいことを言わないことにした、イギリス人の自己正当化みたいな実験といえよう(名前はじぇんじぇん英国人ぽくないけど)。

言語イメージが知覚を歪めるメカニズムについては、昔から有名な研究があって、特にワインのティスティングを例にした有名論文がある。前から解説しようと思っているんだが、結構ややこしいので放り出したまま。こちらの方はfMRIまで使っている割には、主張が簡略なので取っつきやすかった。ウンチク用にはワインのほうが圧倒的に有用なので、そのうち紹介して見ますね。

Ivan E. de Araujo et al. "Cognitive Modulation of Olfactory Processing";Neuron. Volume 46, Issue 4 , 19 May 2005, Pages 671-679.

投稿者 webmaster : 2005年06月21日 23:54

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コメント

ナポレオンと奥方に関する有名なジョークを引用しようとして、あまりにセンスがオッサン臭い(笑)ので思いとどまる。
参考:執事とチーズとジョセフィーヌ。

友人はイギリス旅行の思い出として、オクスフォードが街ごと学問の砦であることと、とにかく食事が不味いことを熱心に語ってくれました。
ワインはそれなりに気に入っていたようです。

そういえば要素に到ると、良い匂いも悪い臭いも元は同じだったりするそうですね。
ある種の香水はウ○○と同じ成分を持つそうですし、なんといったか鰯の缶詰にはまさしく蒸れた靴下と同じ臭い成分を持つとか。
これが鰯の缶詰であるという期待感が脳の反応部位を決定するのでしょうね。
ここまで書いてふと、こまわり君のことを思い出す。

投稿者 小狸工房 : 2005年06月22日 01:07