« 医師の高自殺率について | メイン | 引っ越しはトラウマ? »

2005年06月25日  復券 [医学・科学関連]

某地方で研修医をやっている子供が帰省してきて、例によって大酒飲み中である。日頃の生活を報告してくれるなかで、「普段、よその地方では通用しない言葉をどうも使っているらしい」といいだす。それは何かといえば「復券(ふっけん)」という言葉なのだそうだ。

復券ねぇ、往復切符の帰りの分でしょ?と言うとそうではないのだと。例えばメインの病気で複数診療科がある病院に入院している患者さんがいて、その人がたまたま別疾患にかかったような場合、別の科に紹介することを「復券」というのだそうだ。例えば「皮膚科復券」、「整形外科復券」という具合に。

そりゃ聞いたことがないなぁと、こっそり検索してみると、確かにそういう言い方が医学文脈で使われていて、それも私の子供が出た大学関連だけで使われているのであった。でも、復券がなんで他診療科に紹介する意味になるんだろう。この言葉が使われる地方はよその医学文化圏から比較的自由なところなので、どこかで間違った使い方が固定してしまったのを修正することが出来なかったのだろうか。

もちろん、どこかにこういう使用例があって、それは本来の漢字の意味からすると間違っていないのかも知れないが、我々が普段使う言葉の意味からはかなりの乖離があるとは言えると思う。

医学用語にはかなりのローカルルールがあるのは以前にも指摘したことがあるような気がする。例えば「頻回」というような一見一般用語風の言葉がそうである。「観察を続けるも、なお異常行動は頻回で……」なんて言い方も、まずカルテや看護日誌以外ではお目にかからない。

その点、この「復券」は私自身聞いたこともないが、某地方では日常的に使われる医学業務用語であるようだ。なんでこんな言葉が成立したかを、歴史文化的に確かめるような学問というのがあってもいいような気がしますな。エスノターミノロジーとでも命名しますか。

投稿者 webmaster : 2005年06月25日 23:25

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/478

コメント

どこかのお家のおかーさん。
「娘さんはいかがされましたか?」
と訊ねられて
「おかげさまで入院が決まりましたの」
とあちこちに言いふらしてちょっとした騒動に(笑)。

はいそう、その通り♪
娘さんは大学院へ進まれたわけですね。

復券というのは、各診療科でカルテが行き来する様子を言葉にしたものでしょうか。うーむ。

投稿者 小狸工房 : 2005年06月26日 02:00