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BMJ最新号の「私の臨床をかえた患者たち」と言う投稿欄の記事。
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救急病院で、シニア・レジデントとして研修を受けていたときのことである。私は救命室である年配の婦人を診るようにと言われた。彼女のトリアージ・カードには、「原因不明の意識消失」と書かれてあったと思う。彼女は特別の救命処置が必要な状態ではなかったので、私は病歴をとって診察を始めた。
多少おざなりな脳神経検査をしていて、第7脳神経(脳からは直接頚部以上の末梢部に分布する12対の神経が出ていて、これを脳神経という。7番目は顔面神経とよばれ、もっぱら顔面の運動を支配する)まで進んだので、私は老婦人に「歯を見せてください」といった(顔面神経の検査では、唇をイーっと動かすのを観察するのが手順になっている)。
彼女はそれに従い、手のひらに自分の入れ歯をはき出して、不安げに私に差し出した。私はそれをちらりと眺めて、とても結構ですねと告げると、彼女はそれをもとの場所に納めた。
それ以来、私が脳神経の検査をするときは、患者さんに「私に向けて歯を食いしばるようにして見せてください」と頼み、自分でその動作をしてみせるようにしている。そのときの私はずいぶん変に見えることだろう。でも、そうやって私は、あの手のひらの入れ歯に償いをしているのだ。
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ええ話やないかい、というべきなのか、英国風の皮肉なのか、もう一つ判断しがたいところがあるものの、検査指示は常にわかりやすくしようねという実用的教訓になる話。
Jonathan Stacey.A patient who changed my practice/A gnashing of teeth.BMJ 2005;331:88 (9 July)
投稿者 webmaster : 2005年07月08日 19:44
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