« 一酸化炭素は拒否反応を抑制する? | メイン | ベーコン数 »
今年の5月に、夜間の筋痙攣やむずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)に対して、石鹸を足下に置いて寝るという民間療法について紹介した。Ann Landersというアメリカの有名なコラムニストが、読者から届いた手紙を自分の人生相談コラムに紹介したところ、それがあちこちに広まったというものだ。睡眠中の筋痙攣は、我が国でも中高年女性を中心によく見られる訴えである。結構薬物療法が奏功するが、眠るときに足下に石鹸を置いておくだけでかなり症状を軽減できるというのは、試してみても損はなかろう。
というわけで、自分の外来に来る患者さんで、薬物療法だけでは十分おさまらない夜間筋痙攣患者とRLS患者にたいして、「こんな民間療法があるらしいですよ」と、えらく責任逃れの姿勢で紹介してみることにした。以下はその結果の報告である。
【対象者】6月上旬より2ヶ月間、10名の夜間筋痙攣患者(50~80才。♂:♀=2:8)、および2名のRLS患者(2名とも60代女性)に対して、この足もと石鹸留置療法を勧めたところ、実際にこれを実行したのは夜間筋痙攣患者3名とRLS患者2名の計5名であった。他の7名の脱落理由は、「忘れていた」、「冗談だと思った」とのことであった。筋痙攣患者の脱落がメインであった理由としては、コントロールが困難とはいえ、薬物療法によってほぼ発作は月2~3回に軽減されていた事が大きいであろう。RLS患者では症状軽減が得られていたとはいえ、なお入眠障害や途中覚醒が頻回におこっていたため、こうした民間療法への期待があったと考えられる。
【方法】上に述べたような事情のため、共通の素材を用いた治験を行うことは困難であった。5名の対象患者が自己治療に使った石鹸はすべて違う製品で、洗濯用棒石鹸から洗顔石鹸、殺菌剤配合の薬用石鹸と、各種の素材を使用していたものの、両下腿外側部に2個の石鹸を置くという方法は共通していた。石鹸による布団やシーツの汚れを防ぐため、布製の袋に入れることを勧めたが、対象患者たちは、タオル、ハンカチで包む、古い靴下に入れるなどの工夫を凝らしていた。
【結果】調査期間中、対象患者すべてに自ら肯定的評価を下す効果が示され、効果の漸減などは見られなかった。夜間筋痙攣患者は発作回数が半減し、RLS患者では入眠障害、途中覚醒を来す下肢の異常運動はほとんどなくなったと報告した。
【考察】薬理学的機序は全く不明ながら、足もとに石鹸を置く民間療法は、患者にとって充分満足な結果を示した。これらの効果は即時的で、ほとんどの患者は石鹸を使用した夜から効果が出現した。これらの治験は共通の治験用製剤を使用しておらず、当然全くランダム化手順を踏んでいないため、石鹸そのものに果たして効果があるのかということを示すエビデンスとなるには至っていない。共通化された比較物質を用いた、大規模なランダム化比較研究の実行が望まれる。
投稿者 webmaster : 2005年08月02日 23:02
このエントリーのトラックバックURL:
http://med-legend.com/mt/mt-tbcba.cgi/514
なんと、薬物副作用にも効くとなると、錐体外路系にかなり本質的な作用があると考える必要がありそう。
こりゃちょっと真面目に大規模治験をやってみないといけませんな。
投稿者 Webmaster : 2005年08月07日 22:53
はじめまして。いつも楽しく拝見しております。
妻が統合失調症で、セロクエルとセレネースを
服用しています。足がむずむずする副作用が出るので、
ヒベルナとタスモリンも処方されています。
日によっては、それでも足がプルプルするみたいです。
そんなある日、この記事を読んで、早速石鹸を投入。
シーツと布団の間に、ハンカチにくるんだ石鹸(西友で買った
普通の手洗い石鹸)を2個入れておいたところ、
むずむずプルプルしなくなったと申しておりました。
現在のところ4日間、石鹸をシーツの下に入れていますが、
効果は持続しているようです。
投稿者 scarab : 2005年08月07日 15:17
ほーう、香料説はこれでほぼ敗退ですな。
1.まだまだ負けません。
石鹸中の酸敗した脂肪酸が発する揮発物・・・
2.今更思い付き。
石鹸の比熱等の物理的性質の問題・・・一種の罨法
として作用しているのではないかという点。
3.避難路。
逃げ口上としては石鹸の心理的な効果。
投稿者 二人目 : 2005年08月05日 23:59