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2005年09月18日  クソ忙しい当直と酔っぱらい当直、どちらがイカン? [医学・科学関連]

ちょっと前、どこやらの医師が自分のブログで、酔っぱらって手術をしていたことを書いて問題になったことがあったが、実際、それはどのような悪影響をその医療行為にもたらすものかというのがはっきり示されていたわけではない。米医師会雑誌に今月初めに掲載されたこの論文は、そのあたりのことを解明しようとした画期的なものなので、一般の方々に対しても啓蒙的意味合いが大きいとおもわれ、ここに紹介する次第。
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【内容】研修医に課せられる過酷な労働が、その医療行為に与える影響については以前から問題にされているが、その具体的不具合について、内容を明らかにするような研究は行われて来なかった。

【対象】数回の電話呼び出しが続いた夜間当直後にしめすパフォーマンスと、ほとんど呼びだしのなかった状態で、アルコール濃度0.04~0.05%の酩酊状態とした場合のパフォーマンスを、自己評価と客観的評価両面から比較した。

【実験計画、設定、参加者】34名の小児科研修医(女性18名、男性16名;平均年齢28.7才)を対象に、2001年10月と2003年8月の2回に分けて、前向き調査が行われた。彼らには4っの条件が設定された。(1)呼び出しはまれ、(2)呼び出しはまれで飲酒する、(3)頻回に呼び出される、および(4)頻回でプラセボ飲料を飲む、の4っである。

【実施】研修医たちは期間中の最終週に調査セッションに参加した。軽負荷ローテーション、重負荷ローテーション双方において、彼らはアルコール飲料とプラセボ飲料それぞれを飲用した上で60分間のテスト作業(運転シミュレータ)を課せられ、その作業のあとパフォーマンスの自己評価を行った。

【主な評価点】注意の持続、予測と事前判断能力、眠気の自覚、遂行能力、集中力が評価された。

【結果】調査参加者には十分なアルコール血中濃度が得られた。軽負荷群と比べ、重負荷群は反応速度が7%遅れ、失敗の確率は40%高かった。進路と速度の不安定性も27%から71%高かった。高負荷群と軽負荷+アルコール群の場合、速度の不安定性は前者が29%高く、その他には差が見られなかった。自己評価では、実際の結果との乖離が高負荷群においては著明であった。

【結論】夜間当直における高負荷がパフォーマンスに及ぼす障害は、低負荷でアルコールを飲用した場合と同等であった。こうしたパフォーマンス低下に対する研修医たちの自己評価能力は、一部の課題に限られていた。
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例によって抜粋だけの訳なのでよく判りにくいが、要は、当直で夜中に何度も呼び出されるのと、あまり忙しくなかったのでこっそり酒を飲んでいた場合の能力低下は同じようなものだということである。

実証的な学問というものは、多くの仮説に支えられて生まれるものであるが、この論文ほどその前提となる仮説が、世界中ですでに広く共有されているものは類を見ないだろう。ざっと流し読みしたときは、当直中に酒を飲ませてその医療行為を評価したのかとおもって、ちょっとその大胆さに感心しかけたけど、さすがそんなことしませんわね(個別的予備調査はしたかもしれないが、少なくとも発表はせんだろう)。

というわけで、酔っぱらった医者が診るのも、やたらに忙しい救急病院で夜間に診察受けるのも、同じようなものだということなので、利用者の皆さんはよく御検討の程を。それにしても、夜中に4~5回呼び出されるぐらいで"heavy call"だっていうのは、ちょっと甘いような気がするなぁ。


J. Todd Arnedt, PhD; Judith Owens, MD, MPH; Megan Crouch, BA; Jessica Stahl, BA; Mary A. Carskadon, PhD ; "Neurobehavioral Performance of Residents After Heavy Night Call vs After Alcohol Ingestion",;JAMA. 2005;294:1025-1033.

投稿者 webmaster : 2005年09月18日 23:46

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