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2005年10月17日  きょうの猫村さん [本とか映画とかTVとか舞台とか]

更新再開をどんな話題で始めるかというのは、誰も気にとめもしないのは判っていながら、自分にとってはかなり意識するところだ。あんまり専門話に片寄るのもなんだし、といって露骨なエロ系も避けたいところ。そんなわけで最近話題らしい、ネット漫画の「きょうの猫村さん」(ほし よりこ)の感想など。

これはあるCATV会社の会員専用サイトのコンテンツの一つで、たまたま私が加入していたのもここだった、というわけ。非会員でも導入部がここで読めるし、このたび単行本にもなったと言うことなので、一部の人しか読めないと言うことはないだろう。

どんな話か、と説明するほどではない。人間の言葉もしゃべることが出来て、炊事洗濯掃除という家事もこなすという超常能力ネコが家政婦になり、派遣先家庭の危機を解決していく(らしい)という内容。猫村ねこという名前のこのネコがその能力を身につけたのは、捨てネコだった自分を拾い、可愛がってくれた家庭の「ぼっちゃん」の愛に応えるため、必死になって覚えたという経由である。そういう設定のためか、この猫村さんが人に尽くすかたちには、漱石の「坊ちゃん」にでてくる「清」を思わせるところがある。彼女は家政婦として働きながら、外国に行ってしまったぼっちゃんに再会するため、せっせと貯金をしながら外国語も勉強している。

画調もいわゆる「ヘタウマ」(というより『ヘタヘタ』か?)で、派遣先の家庭が抱える問題とか、全体的な人々の暮らしぶりも、なんだか昭和30年代風である。無償の愛というものを、ペットの擬人化というような照れ隠し技を使いながらも、こういうベタな日常とメルヘンのハイブリッドという絶対的虚構で表すところには、今の閉塞感というものが反映されているのかという古典的な感想を抱かざるを得ない。いわゆる、平成≒大正見立てという、旧サヨク的枠組みである。昔のほうなら、宮沢賢治とか……、うーん後が続かんが。そういえば、村上春樹も東京奇譚集で似たようなことをやっていたような。

そんなこと関係なく、ペット擬人化枠組みの中だけでも、結構楽しめる一品。もちろん、偶然のおかげでタダで読めるという特典があるからこそ、こうして読んでいるわけですけど。作者に置かれては、ぜひ皮肉な結末などは避けて、猫村さんが無事にお金を貯めて、ぼっちゃんの住む外国に行き着き、末永く一緒に暮らすというハッピーエンドをお願いしたいものだ。

投稿者 webmaster : 2005年10月17日 22:42

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コメント

こんにちは。いつも興味深く拝見しています。コメントははじめてです。

『今日の猫村さん』を私は単行本を買って読みました。気のせいでしょうか、全編、鉛筆描きのように見えます。また、いわゆる「ベタ」さが全体にくまなく行き渡っていて、すぐ再読する気にはなれませんが、処分することもなく、一生なんとなく持ち歩く本になるような予感がします。

投稿者 pyonpyon21 : 2005年10月20日 13:11