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2005年12月21日  ボ○ックスその後 [医学・科学関連, 日常]

眼瞼痙攣をもつ患者さんへの対応として、ボツリヌス毒製剤である○トックスを使うために、柄にもなく講習会に出て準備した話は以前書いたとおり。実際、これを購入して治療につかおうとしたら、あんまりその手続きがめんどくさかったのでもういいわという気分になったのだが、患者さんの方は少しでも改善できるならという思いは強く、結局なんだかんだで購入することになった。

薬屋さんは親切なことに、「使う時には準備の段階でお手伝いしますので」という申し出。当日、こちらは忘れていたのに、ちゃんと時間通り二人連れで現れ、毒素を生理食塩水に溶くところから、懇切丁寧に指導してくれる。使うのは片方の目尻の4ヶ所で、多少余裕をもって注射器に吸っておくにしても1バイアル100単位のうち10単位にも満たない量である。

治療そのものはかなりアバウトなものなので、数分もかからないが、その間にも薬屋さんたちは隣の部屋でテキパキと働き、バイアル内や、使った注射器や針にのこった毒素の失活作業を済ませてくれていた。まあ、失活といったって、薄めた家庭用ハイターをぶち込むだけのことですけど。

いくら一本10万円近い薬だとはいえ、えらくこまめなサービスをしてくれるものだと感心しかけたが、考えてみればあの作業が意味しているのは、我々に対する不信なのだということに気が付く。もし私か不心得な下心をおこし、コッソリ残った毒素を冷凍保存でもして、非保険治療をするところに横流しされてはかなわんということなのだろう。

もちろん、保険診療の枠内でやっていることなので、残った薬を別の治療目的に使うのは違法である。もしそんなことをすればこちらの保険医資格を危うくする行為でこそあれ、薬を供給する薬屋さんにはなんの責任もないのだが、やはり厳密な対応をしないとイカンという所なのだろう。そういえば、二人組で現れたのも、相互監視という意味があったのかもしれない。

それにしても、残りの毒素を美容外科の相場で使えば、少なくとも数十万円分になったのになと、実に貧乏くさい喪失感にとらわれる冬の夕暮れなのだった。

投稿者 webmaster : 2005年12月21日 22:10

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