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スラッシュ・ドット・ジャパンに、「脳内汚染」なる新刊書にかんするスレッドが出来ていて、これを書いている今現在、250近いコメントがついて大にぎわいである。「脳内汚染」は精神科医の岡田尊司という方が書かれたもので、現代のアノミー的社会現象の多くが、PCゲームやネットの蔓延によるものだという、はなはだ判りやすい煽りを展開しているものらしい。
「らしい」と書くのは、私はこの本を読んでいないからなのだが、先週末、毎日新聞の書評で、鹿島茂氏がこの本を絶賛しておられるのを読んで、かなりガックリきたものだ。鹿島氏ともあろう方が、こんな「ゲーム脳の恐怖」の二番煎じみたいなクズ本を(*)褒めそやすとは、なんたることであろうか。これには絶対何か修辞学的理由があるに違いないと思ったほどだ。
(*)読んでもいない本を批判するのはおかしいではないか、という「原則的」批判をいただいたが、そんなこといえばどんなトンデモ本であっても読まなければ批判出来ないことになる。私には鹿島氏の適切な要約がこの本をクズ本だと判断するには必要十分だと思える。
しかし、何度その書評を読み返してみても、鹿島氏は「ゲームをしていると脳内にドーパミンが大量に放出されて快感が引き起こされ、麻薬と同じような効果がもたらされ」「麻薬や覚醒剤などへの依存、ギャンブル依存と変わらない依存を生む」という、おいおい、そんな単純化はありえんだろうといいたくなるような「脳内汚染」の主張に同調されるばかりなのである。私にとっては、サンジェルマン伯爵が万引きしているところを目撃したような気分である。
職業的PCオタクの巣窟ともいえるスラッシュ・ドット・ジャパンでは、元著書のトンデモ内容への反発が渦巻いているのだが、その反発のかなりの部分に、「あの鹿島氏がこんなものに同調するとは」という、私と同じような裏切られ感覚が含まれているように感じた。鹿島氏の幅広い教養というのは、要はPCオタクと全く同じ熱意を文化事象全般にむけたもので、微妙な欠落を感じさせるところまで相同関係にあると私は思っていたんだが。
元の岡田氏の著書に関していえば、私自身は「麻薬や覚醒剤だって上手に使えば役に立つ」と思っているし、現に日々の職業的実践に応用している。だから「ゲームも時間を決めてやればいいという議論は、麻薬でも少量ならかまわないという議論と同じく、成り立たない」(孫引きゴメン)などと、それを絶対的悪基準点にするような論理には失笑するしかない。大量だってかまわんのよ、合理的目的達成のためなら。
それにしても岡田氏は、世が世なら女子どもを空き地に集めて、鬼畜米英撃滅のかけ声かけて竹やり訓練させるのにふさわしい人材だということを実証するに過ぎない主張を、なんでわざわざやられるのだろうか。私にはちょっと理解できない。黙っていれば「医療少年院勤務の精神科医という苛酷な現実の最前線に立つ」なんて誤解を、当世一代のインテリにしてもらえる立ち位置にいるのに。
こんな無意味で目に付くことをしていたら、専門家なら誰でも知っている「臨床家として使えない奴が司法精神医学に(以下自粛モゴモゴモゴ)」なんてことが一般にばれてしまうではないか。権威はあるが実体はない位置というものは、かなり居心地がよくないものなのかもしれませんな。エリートとされながら、空しい日々を過ごしている人の心の叫びとしてみれば、この本を読んでみる意味も見つけ出せるかも。
投稿者 webmaster : 2006年01月19日 22:43
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今週の本棚:鹿島茂・評 『脳内汚染』=岡田尊司・著
◇精神科医が説くゲーム、ネットという麻薬
書評のルール違反は覚悟の上で、本書が大ベストセラーになっ... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2006年01月21日 14:54
» [サイト]医学都市伝説:なんだかなぁ「脳内汚染」 from Anno Job Log
妙に共感。 http://med-legend.com/mt/archives/2006/01/post_757.html >こんな無意味で目に付く... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2006年03月14日 07:20
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トラックバック時刻: 2006年05月07日 08:34
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殺戮系ゲームを繰り返しプレイしていくうちに、殺人に対して無感覚になる。
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トラックバック時刻: 2006年10月12日 17:05
>スラッシュ・ドット・ジャパン
「スラッシュドット ジャパン」 では?
投稿者 DF : 2006年01月20日 05:38