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2006年01月21日  インフルエンザ考 [日常]

職場を変ってからプライマリケアの仕事が増えてしまい、最近は風邪っぴきばっかり延々と見させられ、いささか意気消沈の日々である。人は風邪を引いたからといって、あんなに熱心に病院を訪れるものなんですなぁ。ちょっと驚きだ。昔、風邪に対する薬物処方の妥当性に関して、こういう記事を書いたことがあるが、医療機関が普通の風邪に提供できる治療手段は、ネガティブな意味合いがあるものを含めたって極めて限定されている。

それは脱水もないのに、「早く治りたいから注射してくれ」「点滴してくれ」というような、無意味な要求に対して、意味がないからそれに応えることがないかといわれると実は結構あり、顧客が満足しているのだからそれでイイじゃないかといわれても、あんまりいい気分のものではない。

その点、インフルエンザというのは国策として薬物的対処することが合理化されているので、迅速検査で陽性になった人を見るのはなかなか楽でいい。無意味な風邪薬を出すこともなく、「抗生物質は役に立ちません」という正論もとおる。まあ、今年みたいに、たいして重症化しない例が多いのに、こんなもの使い続けて耐性株が出来たらどうなるんだろうと、かなり不安になるタミフルみたいな薬をださないといけないのがつらいが、今のところそれでいいことになっているので、末端の人間が気にしてもしょうがない。

最近気が付いたのだが、私にはこのインフルエンザ検査で陽性になる人を見抜く特殊能力があるようだ。同じ高熱で受診する人を見ても、「あ、こいつはインフルエンザA(+)で、こいつはそうでない」という微妙な徴候が判るのである。熱もなくて鼻ぐずぐず程度でインフルエンザではないかと心配する人もいるので、そういう人に検査は指示しないから見落としもあるかもしれないが、自分で歩いてこられるレベルで、高熱脱水衰弱を示す人なら、今のところほぼ100%の事前予想正解率を誇っている。

何というか、インフルエンザ(+)の人には、けっこう元気であっても、そこはかとない「陰の気」のようなものが漂っているのである。同じ高熱を発していても、非インフルエンザの人は「陽の極地」という印象があるのと対称的である。私はこの手の一般化しようがない症候論が好きではないが、どこかで何らかの客観的インデックスと結びつくことがあるのではないかとも思う。精神医学分野ではいまだに利用されている、「分裂病くささ」とか、「堅い」「柔らかい」などというような、結局何の役に立ちそうもない印象診断徴候と同じかもしれないが。

おそらく、普通の内科医ならその程度のことは判るのかも知れないが、つきあい範囲の狭い私にはそれを確かめようがないし、何よりそういう微妙な状態像診断というものを実際に適用したような学術的報告も見たことがない。私としては、これはウイルスが入り込むレセプターの反応に裏付けられているに違いないという仮説をもっていたりする。どなたか本格派医学者が、これに関する真面目な研究を展開していただけないかと願うばかりである。

投稿者 webmaster : 2006年01月21日 23:29

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コメント

「不思議の国のアリス症候群」は偏頭痛の特殊なケースで、アルツハイマー病の特殊例といえる「びまん性レビー小体病」とは全くの別物です。生じる幻覚もかなり雰囲気が違います。

意識状態にそう問題がなく、かつ幻視がでる病気という意味では、ひとくくりに出来るかもしれませんが。

投稿者 Webmaster : 2006年01月28日 07:39

関係ない話ですみませんが、
「こういう記事」のリンク先画面に表れた過去記事を
あれこれ読んでいて、ふと思ったことです・・・。
「不思議の国のアリス症候群」に出てきた人って、
あの「びまん性レビー小体病」だったのでしょうか???

投稿者 しろうと : 2006年01月27日 23:21

インフルエンザの人は結構分かります。診察室に入ってきた印象で、ほぼ当たりです。
でも逆に違うと思ったのにインフルエンザ陽性だったということはちらほら。
「陽」「陰」という風にはとらえてないですが…ぜひ研究して下さいませ♪

投稿者 ないかい : 2006年01月24日 22:12

インフルエンザウイルスに感染しているか否かを、検査キットだけで判断するのは、何だかなー、と言う気がしていました。
メーカーによっては、偽陰性がかなり多いという話も聞きますし(上咽頭の奥に綿棒をきちんと突っ込んでも、症状からの予想に比べて陰性が出やすい)、
実際、勤務先の病院で、陰性が出ても、同じ病棟に高熱者が同時に居たりすると、陰性でもタミフルを使用して、すぐに解熱したりすることが続いたので、
検査より、症候からの判断でタミフルを使用するようになりました。
自分のことなら、インフルエンザウイルスに感染したかどうか、上咽頭と全身の独特の感覚ですぐ分かるのですけれどね。
Webmasterさんのように、他覚的に、「インフルエンザ臭さ」が分かるようになれるように、そういう目で見てみることにしようっと。

投稿者 同業者 : 2006年01月23日 00:54