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2006年03月12日  早起き生活 [医学・科学関連]

XPアップデート作業でほとんど徹夜を強いられてしまい、これで寝てしまうと休みがパーになると、必死に起きていたおかげで、やたらに気分が高揚する日曜日である。ほとんどADHD風になっていた部屋をかたずけ、本をちゃんと分類して本棚にしまうだけで半日仕事だが、結構テキパキ作業が進むのが快感である。

こういう寝不足の気分高揚というのは誰でも経験することで、それを応用した(ホントはもう少し理論的裏付けがあるが)うつ病の断眠療法というのが存在するほどだ。これのやり方にはかなりのバリエーションがあるが、全く眠らない日を作る標準的な方法はやはり患者本人にも周囲にも負担が多いので、かなり前からアドバイスしているのが「早起き」である。実に単純なことではあるが、ちゃんとした適応を考慮すれば、かなりの効果がある。

うつ病には元来、不眠や浅眠、早朝覚醒という睡眠障害が必発するが、あれは本当に基本症状なのかというのは昔から疑問だった。というのは、不眠症状は多くの人が訴えていて、睡眠導入剤処方は内科や外科でも行われているが、それらで不眠が一時的に改善する人のかなりの部分が、結局不眠を悪化させ抑うつ症状を呈するようになるからだ。

そう言う場合、「睡眠剤は体と心にわるい」という神話で皆納得してしまい、それ以上原因が追求されることはまずない。あれは脳がやむにやまれず採用した、不眠という対抑うつ戦略を台無しにするからではないかと、私は以前から考えている。抑うつ状態の危機を察した脳は睡眠時間を減らして自律神経系とホルモンの活性化を図ろうとしているので、それを中途半端に眠らせてしまうから、人は抑うつに追いやられるのではないかと。

もちろんこれは何の定量的な調査結果に基づく訳でもない、私の症例観察からの印象なのだが、一部の脳研究が示している結果とも合致するものだ。そういう眼で不眠を訴える人を見ていると、この人は睡眠導入剤の常用でも大丈夫だが、こちらは抑うつがバックにあるというのは事前判断できるので、実際の臨床場面でもかなり役に立つ。少なくとも、薬が効かなくなったと言う人に、何種類もの睡眠導入剤を多剤投与するようなアホなマネはまず避けられる。

日常生活に組み込みやすい睡眠の意図的抑制法に「早起き」があるというのに気付いたのは、病院などでよくパンフレットが配られている「実○倫○の会」の活動を通してである。ここは通俗的な世間内の倫理を極めたような精神修養を主張する組織で、言っている内容はうんざりするのだが、不思議なことにこの会がメインにやっている「早起き会」の活動に参加する患者さんが悪くなることはまずなく、むしろ改善するのである。

宗教やその関連組織が「精神修養」なんてことを患者さんやその家族に強いると、まず悲惨なことになるのが普通だが、今ひとつ回復が遅れているうつ病に限っては、この早起き会の活動は何故か有効なのだった。彼らは朝暗いうちから起き出し、近所の神社の清掃活動などをやり、それからセミナーのようなことをするようだ。姑との諍いを感謝の心で乗り切ったとか、大体想像できるような内容を語るらしいが、その効能は精神修養というよりも、「早起き」そのものにあると思われるのだ。

多少ハイになっている時に、判りやすい感動ストーリーを共有することが精神活性をさらに高めるのだろう。私みたいにいい加減でバチ当たりな人間には、その内容のあまりの湿っぽさにとてもついてはいけないが、そこさえ耐えられれば効果は倍増というところか。うんざりするような話につきあわないといけないのが世間というものなので、リハビリだと思えばいいのかも。もちろん、そのような精神修養抜きに、早起きと何らかの身体的活動を組み合わせるだけでも充分と思われ、実際これがかなりの効果を示すのだ。

最近、「早起き日記」というウェブサービスが始まっているのに気付いたのだが、これは集団活動が苦手な遷延うつ病者のリハビリにはかなり有用だと思える。基本的には「起床時間をグラフ表示できるブログサービス」なのだが、早起きに日記書きという作業を組み合わせるというのは秀逸なアイデアであろう。デザインからはプロの手が入っているようにも見え、一体どんな団体がこのサイトのバックにいるのか、そこがよく判らないのが少々引っかかる。やっぱ「実○倫○の会」だったりして。

投稿者 webmaster : 2006年03月12日 22:14

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コメント

急性期はまた別で、これはあくまで遷延しているうつ状態への対応です。

早く寝ろというのはうつ病の人には難しいですが、早く起きるのは比較的容易で、しかもそうすれば必ず早寝につながってきます。また、早く起きても、取り立てて光を浴びる必要はないように思いますね。

投稿者 Webmaster : 2006年03月13日 23:18

睡眠不足を強いられるような環境下では逆に鬱を発症することもあると思うのですが。例えば労災認定がおりるような過労死(自殺)。早起きが睡眠を抑制するというのも、、早起きは大抵早寝とワンセットでは?
朝早くから表に出ているわけだから、どちらかと言うと高照度照射療法的な意味合いが強いのではないですか。

投稿者 aaa : 2006年03月13日 04:19